2026.09.30 放送
「爽やか」は日常的に使われる言葉ですが、季語では「秋」に分類されます。夏のあとに感じる、秋のさっぱりとした快さが格別だから。「爽やか」と魔除けとは、一見かけ離れています。でも魔除けとされる達磨、シーサー、凧などの決まって大きな目玉は、おかしみもあり親しいです。澄んだ空気の中でいっそう目玉をひんむいて、魔物を寄せつけません。
(監修:谷)
2026.09.29 放送
「桃」という季語をそのまま使うだけでなく、パフェやジュースなどに加工した姿も、楽しい季節の味わいです。桃ジュースを頼むと、通常より太いストローが添えてありました。きちんとミキサーにかけて、果肉たっぷりのジュースなのでしょう。小さな発見が、フレッシュな桃の嬉しさを引き出します。
(監修:神野)
2026.09.28 放送
桃は高貴で高級なくだものです。だからこそ、家に桃があると思うだけで、なんだか嬉しくなります。自分のことを無敵と思うポジティブな日、その明るさを補強する存在として、桃を引っ張り出しました。ナチュラルな話し言葉の文体が、調子のよい勢いを、リズムよく演出しています。
(監修:神野)
2026.09.25 放送
俗世間を離れた理想の楽園を、桃源郷といいます。桃の幻想的なゆたかさに、古来、人々は夢や憧れを重ねてきました。もう若くなくとも、老い続ける夢があることは、生命力、精神力があればこそです。桃の芯にたしかに種があるように、心の芯に夢を育てて、これからを生きてゆきます。
(監修:神野)
2026.09.24 放送
子どもは日々、成長します。はいはいをして、寝返りをして、今日はなんと、つかまり立ちが出来るようになりました。その嬉しさに桃をむくとき、いつも以上に柔らかく感じます。その果肉のナイーブな手ざわりが、抱きとめた子どもの体の柔らかさと、やさしく通い合います。
(監修:神野)
2026.09.23 放送
少し傷がついていたり色が褪せていたり、完璧な状態ではない桃なのでしょうか。あるいは、お礼やお詫びなど、ここに桃があること自体に訳があるのかもしれません。その桃を剥いてくれるスナックのママにも、何かしらの過去があるみたい。訳ありだからこそやさしい、そんな夜のひとときを思います。
(監修:神野)
2026.09.21 放送
パフェも、季節によって果物を変えるなど、趣向が凝らされています。中でも、桃のパフェは、特別感があって嬉しいものです。海の見えるカフェでしょうか。気持ちよく潮風を受けながら、パフェを食べています。秋の日差しが、匙をきらりと光らせ、桃の果実を輝かせます。
(監修:神野)
2026.09.18 放送
石仏に供えられた桃でしょう。古びた石の仏さまの顔に、残暑の日が差し、ざらりと乾いています。それに対して桃は、みずみずしく果汁を抱いています。「乾きて」という言葉を入れることで、桃のゆたかな水気を際立たせました。その土地に息づく静かな信仰を、やさしく切り取った一句です。
(監修:神野)
2026.09.17 放送
松山出身の俳人・正岡子規は、くだものが大好きでした。結核菌にむしばまれ、三十四歳の若さで亡くなりましたが、最後まで俳句を作り文章を書き、その人生を生き切りました。子規さんの二倍の年齢になった今、来し方を振り返りつつ、桃を食べます。「喰らふ」の力強さに、桃の命、私の命が輝きます。
(監修:神野)
2026.09.15 放送
農業高校の学園祭や出張販売でしょうか。学校で育てた桃を使って、パフェを販売しています。おいしくて、価格もお手頃なので、大人気。「売り切れました」と書かれた文字も、どこか誇らしげです。心をこめて作った桃をみずから手渡す、生産者から消費者への誠実なリレーの場面です。
(監修:神野)
2026.09.14 放送
桃は、中国から伝来し、奈良時代の昔から日本で栽培されてきました。果汁のゆたかさや芳醇な香りが特徴です。金星丘とは、親指の付け根のふくらみのことです。剥いて食べる桃の汁がてのひらに垂れ、金星丘が甘く濡れました。「緩ぶ」という言葉のやわらかさが、桃のもたらす心のゆとりを伝えます。
(監修:神野)
2026.09.11 放送
作者・静雨は、大正十二年現・松山市北条の高縄山のふもとに生まれました。俳人として故郷を詠んだ句集『落人部落』の中の一句です。落ちのびた一族が今では三十戸になった山峡。これからも段々と減っていくだろう落人たちに思いを馳せて「世に遠く」と、詠いあげました。澄んだ秋の中に、肩を寄せ合うように暮らします。
(監修:谷)
2026.09.10 放送
俳句では単に「月」といえば、秋の月を指します。冷やかで空気が澄んで、月を愛でる条件が揃います。今年の仲秋の名月は、九月二十五日です。今日の句も、満月に近い感じです。肩車をした子とまるで同じ高さに月があって、子どもの軽さに月に預けよう、と思いつきました。月もまた、ひょいと受け取りそう。
(監修:谷)
2026.09.09 放送
広辞苑によると、秋思は「秋のものおもい」と解説しています。他の季節に比べて、秋はもの淋しく、感傷的な気分になります。芝生の上とか、あるいは床に二人で寝ころんでいる光景。恋人どうしか、友だちか。気兼ねの要らない仲なのでしょう。二人それぞれの秋思に浸っている。私はうつ伏せて、隣の人は仰向けにて。
(監修:谷)
2026.09.08 放送
秋になっても蝶はいたるところに飛んでいます。ただ、春や夏のように活発ではなく、弱々しく飛ぶのが「秋の蝶」です。道端か秋草に止まった蝶が、翅をゆっくり閉じて、またゆっくりと開きます。まるで翅が重たいかのように。そんな翅の動きをじっと見つめて「しづか」と捉えたこの人を、秋の気配が包みます。
(監修:谷)
2026.09.07 放送
晴れた日の秋の空は澄みわたり、山々の稜線もくっきり見えます。どこまでも広がる爽やかな空です。高い所からの眺めを楽しむ観覧車は、乗り場と降り場が確かに一緒。水車風の大きな輪に吊るした箱に乗って、秋の空に近づきます。そして、空から降りて来た人の現実に戻る顔、これから乗る人のわくわくした表情が交差します。
(監修:谷)
2026.09.04 放送
「星飛ぶ」は、「流星」、「流れ星」と同じ意味の秋の季語です。星が光を発して飛ぶ現象で、八月頃が最も多いとされています。句帖は、俳句を書き付ける手帳のこと。一瞬で消える流れ星を見て、俳句を作ろうと構えていたのかも知れません。そんな句帖には、育児帖のように、我が子の成長も俳句にして刻んでいるのでしょう。
(監修:谷)
2026.09.03 放送
「新涼」は、季節が秋に変わったことを感じさせる涼しさを言います。「秋涼し」、「涼新た」などとも言って、秋の心地よい冷気を味わいます。川の流れの中に見つけた石に一人が立ち、もう一人も飛び乗ったのでしょう。どうにか二人で立てる石の上で、川に落ちないよう、はしゃいでいそうです。秋の涼気の伝わる、絵のような景色です。
(監修:谷)
2026.09.02 放送
まさに「秋暑し」の毎日が続いています。暦の上ではすでに秋ですが、今年の残暑は長引きそう。仕事ばかりでなく、暑さにも疲れます。仕事帰りの電車かバスか。吊革を握る力も残っていない様子。丸い吊革に手首を入れて、かろうじてぶら下がっている感じ。この人の気分がよくわかるだけに、同情しつつ、ちょっと笑ってしまいます。
(監修:谷)
2026.09.01 放送
江戸時代の俳人、加賀の千代女の朝顔の句は、今でもよく知られ、イギリス・ドイツ・フランス語にも翻訳されて海外にまでよく聞こえた句だそうです。朝早く起き出して、井戸から水を汲もうとしたら、朝顔の蔓がつるべに巻き付いている。蔓を切るのは忍びなく、隣の家に水を貰いにいったという句。江戸時代にタイムスリップした気分です。
(監修:谷)
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