2020年1月の俳句

  • 車窓より 瀬戸の島山 春隣

    2020.01.31 放送

    作者:星野立子

    もうすぐ立春。春がすぐそこにある明るい気分を、俳句では「春隣」といいます。旅の車窓に、瀬戸内海の島々が見えてきました。島山とは、島にある山のこと。やさしい瀬戸の海光に、まあるく立つ島山を見ていれば、おのずと心の角もとれ、あたたかい気持ちが湧いてくるでしょう。おだやかな瀬戸内の風景が、春の予感をもたらします。

    (監修:神野)

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  • がんばりの 利く古釘や 日脚伸ぶ

    2020.01.30 放送

    作者:小川軽舟

    一月も終わり、ますます日が長くなったなあと実感できるころを「日脚伸ぶ」といいます。日差しの届く庭先でのんびり過ごしていると、打ち付けられた古釘が、錆びながらも頑張って役目を果たす姿が目につきました。相応に年を重ねてきた自分も、まだもう少し頑張りが利くかもしれない。古釘に励まされ、また前を向く一句です。

    (監修:神野)

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  • 水仙にさはらぬ 雲の高さ哉

    2020.01.29 放送

    作者:正岡子規

    水仙は、冬の終わりに白く清らかな花を咲かせます。風に揺れる水仙に触れることなく、空の高みを静かに流れてゆく雲。はるか頭上に輝く雲の光が、水仙という花の高潔さと響き合います。水仙のすがすがしい香りも、世界に満ちはじめた光も、春がすぐそこへ近づいていることを教えてくれます。

    (監修:神野)

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  • いくさなきを ねがひつかへす 夜の餅

    2020.01.28 放送

    作者:大野林火

    かつての太平洋戦争中には食料物資が不足し、白米や餅はなかなか食べられない御馳走でした。戦後ぼろぼろに疲弊した日本は、もう戦争はしないと誓い、長い時間をかけて復興を遂げたのです。あんな悲惨な戦争が二度と起きませんようにと願いながら、餅をひっくり返してあぶります。餅を焼くささやかな日常の動作にも、平和への祈りがこもります。

    (監修:神野)

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  • 石鎚山の 風の真下の 寒菫

    2020.01.27 放送

    作者:石川さゆり

    標高約二千メートルを誇る石鎚山。その頂から吹き下ろす石鎚颪は、日本三大悪風として、眼下の町へ吹きすさびます。寒菫は、春を待たずに咲く野山の菫のこと。「の」という助詞を連ねることで、石鎚から菫へ、まっすぐに風が吹き下ろしてくる勢いが伝わりますね。冷たく激しい風にも負けず土に根を張る菫の、たくましさがみなぎる一句です。

    (監修:神野)

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  • 水仙の 姿正して 雨を待つ

    2020.01.24 放送

    作者:星野椿

    冬の終わりに白く清らかで香り高い花を咲かせる「水仙」。原産は地中海沿岸ですが、日本各地の海岸などに群生地があります。雨を待ち、春を待つかのように、凛とした清楚な姿勢を保っている水仙を描いた一句です。高浜虚子のお孫さんである作者は、今年卒寿を迎えるにあたり「俳句のお蔭で長寿に恵まれた。これからも俳句とともに生きて行きたい」とコメントしておられます。

    (監修:池内)

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  • 水餅の水替へて 家眠らしむ

    2020.01.23 放送

    作者:仲村青彦

    餅は黴が生えやすく、干割れもしながちなので水に漬けて保存します。これが「水餅」で、近ごろは正月の餅の余ったものを漬けておくことが多いようです。寒の水は水餅によいといわれますが、毎日のように水を替えることが必要です。夜更けに水餅の水を替えて、安心して眠りに就いた一家の様子がうかがえる作品です。

    (監修:池内)

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  • 三寒に勝る 四温の母郷かな

    2020.01.22 放送

    作者:池田啓三

    冬の気候は低気圧と高気圧が交互に通過するため、三日ほど寒い日が続いたあとは、暖かい日が四日ほど続くといわれます。これを「三寒四温」といいます。久しぶりに帰ったふるさとは、三寒の日々が過ぎて四温の暖かい日差しがあふれていました。このように寒い日と暖かい日の変化を繰り返しながら、春の足音が聞こえてくるのです。

    (監修:池内)

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  • 寒鯉の 重心正す ひとゆらぎ

    2020.01.21 放送

    作者:村上鞆彦

    寒中の鯉は水底に潜ってじっとしており、滅多に動きません。そんな静かな姿を表す季語が「寒鯉」です。寒鯉の肉は脂がのって一年でいちばんおいしいのですが、ほとんど餌を食べないので釣るのは難しいといわれています。水底に沈んだまま不動の姿を保っていた寒鯉が、一瞬だけ揺れ動きました。その動作は、身の重心を正しているかのようです。

    (監修:池内)

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  • 大寒の雲 かたまりとして昏るる

    2020.01.20 放送

    作者:高室有子

    今日は二十四節気の「大寒」。読んで字のごとく一年で最も寒さの厳しい季節です。北日本では雪に閉じこめられるような日々ですが、南国の愛媛では間もなく梅の便りも聞かれそうです。この句は大寒の頃の空に垂れ込めた灰色の雲。凍雲とも呼ばれる陰鬱な感じの雲が、凍てついたようにかたまったまま、短い冬の日が暮れようとしています。

    (監修:池内)

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  • 風の子は 炬燵がきらひ 雲がすき

    2020.01.17 放送

    作者:室達朗(松山市)

    昔から「子どもは風の子」というように、寒風吹きすさぶ中でも、子どもたちは元気に走り回ります。そんな彼らだから、きっと炬燵は嫌い。とても、ひとところにじっとしていられないのです。炬燵を飛び出し外へ出て、きらきら光る雲の下、はつらつと遊ぶ子どもたち。冬になっても失われない生命力に、見ているこちらも、おのずと力が湧いてきます。

    (監修:神野)

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  • 頭より入りて 炬燵の火星めく

    2020.01.16 放送

    作者:村上瑠璃甫(大阪府)

    そういえば幼いころ、よく炬燵にもぐって遊んだものでした。いわれてみればたしかに、炬燵の中の暗く赤い光は、闇に浮かぶ火星の赤色を思わせます。ドラえもんの世界で、引き出しを開けたらタイムマシンがあるように、炬燵もまた、もぐれば別の世界へつながる入口なのかもしれません。日常の炬燵から宇宙の火星へと発想を飛ばした、想像力の光る一句です。

    (監修:神野)

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  • 志望校変えたと 炬燵で寝てをりぬ

    2020.01.15 放送

    作者:砂山恵子(西条市)

    受験を控えた子どもが、勉強もせず、炬燵でごろごろしています。聞けば、志望校を変更したとのこと。ちゃんと将来を考えているのかと不安になりますが、寝ているようで案外、子どもは子どもなりに考えているものかもしれません。炬燵でたっぷり充電したら、また前を向いて頑張ってくれるはずです。将来への不安を抱えるモラトリアムの時間を、やさしく抱きとめてくれる炬燵なのでした。

    (監修:神野)

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  • 娘さんを下さい」  言い出せぬ炬燵

    2020.01.14 放送

    作者:佳山(茨城県)

    お付き合いしている彼女の実家を訪ねると、炬燵へ案内されました。結婚の許しをもらおうと意気込んできたのに、くつろいだ雰囲気の中ではかえって言い出しにくいものです。「娘さんを下さい」、心の中でせりふを繰り返すばかり。きっと、たまりかねた彼女に、炬燵の中で足を突っつかれて、ようやくもたもたと切り出すのでしょう。炬燵を小道具に使い、人間ドラマを描き出しました。

    (監修:神野)

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  • 残業を 終へて飛び込む 炬燵かな

    2020.01.13 放送

    作者:宍野宏治(松山市)

    1月のお題は「炬燵」。冬の団欒に欠かせない暖房器具です。炬燵に蜜柑の組み合わせは、日本の冬を象徴する風景ですね。この句は、仕事を終えて帰宅した解放感が詠まれています。「飛び込む」という言葉の勢いが、炬燵に入って一刻も早くくつろぎたい思いを代弁しています。何はともあれ炬燵に入ればホッとする、生活の癒しとしての炬燵ですね。

    (監修:神野)

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  • をりをりは どつと笑うて 句座始

    2020.01.10 放送

    作者:辻桃子

    新年になって最初の句会が初句会。この句のように「句座始」ともいいます。正月気分覚めやらぬうちの句会で、中には着物姿の女性もいたりして、めでたい気分が漂います。初句会なので、入選句の披講も初披講と呼ばれます。真剣な選句や句評が行われる中にも、折々はどっと笑い声が起るのも、句座始ならではのめでたきではないでしょうか。

    (監修:池内)

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  • 大空へ はづみたがらん 竜の玉

    2020.01.09 放送

    作者:前澤宏光

    藪の中などに自生している蛇の髯というユリ科の多年草の実が「竜の玉」です。細い葉が冬も青々としており、庭にもよく植えられています。花のあとにできる豌豆ほどの実は、冬に瑠璃色となって輝きます。また竜の玉は堅くてよく弾むので、はずみ玉といって子供たちの遊具にもなります。鮮やかな瑠璃色の竜の玉は、思い切り大空へ弾みたがっているのかもしれません。

    (監修:池内)

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  • 松明けの酒肆の 一番客となる

    2020.01.08 放送

    作者:天野小石

    お正月の門松を立てておく期間の過ぎたことを「松過」あるいは「松明」といいます。地域によって異なりますが、一月七日過ぎを松明けというのが一般的です。作者はかなりお酒の好きな方なのでしょう。松明けを待ち兼ねたように、行きつけの酒場の暖簾をくぐっています。どうやら新年一番乗りの客となったようです。この酒場、いつも俳句仲間の集う店なのかもしれませんね。

    (監修:池内)

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  • 土鍋より噴く 野の香り 七日粥

    2020.01.07 放送

    作者:西山睦

    正月の七日に七種の野草を摘んでお粥に炊きこんで食べ、一年の無病息災を願うのが「七日粥」。「七種粥」ともいいます。七種は芹、薺、御行、繁蔞、仏の座、鈴菜、鈴白の七つ。このうち鈴菜は蕪、鈴白は大根なのですぐ手に入りますが、他の五つは寒中に摘んで揃えるのはなかなか困難です。しかしこの句の七日粥は、自然のままの七種がしっかりと野の香りを放っています。

    (監修:池内)

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  • 日本に タモリと鶴瓶 初笑

    2020.01.06 放送

    作者:朝妻力

    新年になってから初めて笑うことを「初笑」「笑初」といいます。笑う門には福来たるの諺のとおり、笑いはめでたさにもつながります。テレビもお笑い特番で視聴者を笑わせます。作者はタモリろ鶴瓶という、日本の東西を代表するお笑いタレントの芸に大いに初笑を楽しんでいます。新年といっても今日は寒の入り。大いに笑って寒さを吹き飛ばすのは、健康のためにもいいようです。

    (監修:池内)

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