2017年12月の俳句

  • 暁闇に 飛び出す火の粉 餅を搗く

    2017.12.28 放送

    作者:百合山羽公

    今年も残すところあとわずか、そろそろ新年の鏡餅を用意するころです。餅つきの日には、まだ暗い朝方から、もち米を蒸かす火を焚きはじめます。たきぎをくべると、あかつきの闇の中に勢いよく飛び出す火の粉。その赤々とした光が、餅つきのおごそかなはじまりを彩ります。

    (監修:神野)

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  • 先生や 屋根に書を読む煤払

    2017.12.27 放送

    作者:夏目漱石

    煤払いとは年末の大掃除のこと。あわただしい家の中から逃げて、先生は、なんと屋根にのぼって本を読んでいます。そこまでして本を読みたいなんて、よっぽど変わり者ですね。寒空の下、大真面目で読書する先生は、漱石の自画像でしょうか。生徒の視線で切り取った、コミカルな一句です。

    (監修:神野)

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  • 日記買ふ 中学生に 疾き日ざし

    2017.12.26 放送

    作者:久米正雄

    次の年の日記帳を買うのも、新年の準備のひとつとして、冬の季語になっています。店頭で日記を選ぶ中学生に、日差しがまっすぐ差し込みます。光陰矢の如し。飛ぶように過ぎ去る少年の今が、きらきらと輝きます。日記帳は新しい一年をともにする相棒、さて今年はどんな一冊を選びましょう。

    (監修:神野)

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  • クリスマス 「君と結婚 していたら」

    2017.12.25 放送

    作者:堀井春一郎

    かつて、何らかの事情で一緒になれなかった恋人と、ふたたび出会ったのです。あのときもし君と結婚していたら…クリスマスのロマンチックなムードの中で、こんなセリフをささやく人には要注意です。あったかもしれない今に、ふと思いをはせながら、人は目の前の日常を生きてゆきます。

    (監修:神野)

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  • 干し物の 生乾きなる 冬至かな

    2017.12.22 放送

    作者:藤崎実

    今日は二十四節気の「冬至」。北半球では太陽が空の最も南寄りを通るので、昼の時間は最も短くなります。(今日の松山での日の出から日の入りまでの時間は、9時間55分。)今日を境に昼は少しずつ長くなって行きます。冬至は暦の上では冬の真ん中ですが、本格的な寒さはこれから。当分は、洗濯物がなかなか乾かないような天候が続きます。

    (監修:池内)

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  • 枯れしこと忘れて 一樹立ちつくす

    2017.12.21 放送

    作者:大串章

    この句の季語は「枯木」。枯木といっても本当に枯れてしまった木ではなく、冬に葉を落とし終えて、まるで枯れたように見える木のことです。「裸木」ともいいます。この句は、葉を落とし尽くして裸木になったことなど忘れたかのように、冬空へ超絶と立ち尽くす一本の樹木。そこには堂々とした風格さえ感じられます。

    (監修:池内)

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  • 湯豆腐を 東西南北からつつく

    2017.12.20 放送

    作者:大高翔

    豆腐を鍋で煮るだけの手軽な料理ですが、簡単にして奥が深いのが「湯豆腐」。まず鍋は土鍋を用い、出しの昆布を敷いた上に豆腐を沈めて煮ます。魚の切り身や春菊などの野菜を入れることもありますが、やはり豆腐と薬味だけというのが湯豆腐本来の姿。この旬のように大勢で鍋を囲むことこそ、湯豆腐の一番の楽しさではないでしょうか。

    (監修:池内)

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  • 一枚といふ 重さある 古暦 

    2017.12.19 放送

    作者:浅井陽子

    十二月になって来年の新しい暦が配られると、いま使っている今年の暦は古びたものに見えます。(季語では「古暦」「暦の果」などといいます。)新しい暦には来年への期待感がある一方、古暦には残り少ない今年の名残が感じられます。これは、月別カレンダーなのでしょう。残りの一枚に、作者はこの一年へのさまざまな感慨をこめています。

    (監修:池内)

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  • 息白し 言葉さがして ゐるときの

    2017.12.18 放送

    作者:高田正子

    冬になると、特に朝夕は人の吐く息が白く見えます。(俳句では「息白し」「白息」といいます。)口から出た温かい息が、外気に急激に冷やされて細かい水滴となり白く見える現象で、空気が乾燥しているほど白く見えます。元気な子供の吐く白息などは、愛らしい冬の風物です。これは話し相手が言葉を探している時の、かすかな白息に注目した一句です。

    (監修:池内)

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  • はらはらと 小鳥立ちけり 雪の原

    2017.12.15 放送

    作者:野間叟柳

    雪の野原に小鳥が飛び立つさまを「はらはら」という頼りない質感で表し、厳しい冬を生き抜く命のはかなさを表現しました。叟柳は正岡子規の幼なじみ。愚陀仏庵で療養する子規から、俳句の手ほどきを受けた松山の俳人たちの中心人物です。その後の子規の俳句革新を、松山から支えました。

    (監修:神野)

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  • 父に湯たんぽ 父に家 捨てさせて

    2017.12.14 放送

    作者:高田正子

    母を亡くし、一人暮らしをしていた父を、実家から呼び寄せ、一緒に暮らすことにしたのです。父のためを思っての行動は、父に家を捨てさせることでもありました。老いた父のため、湯たんぽを用意するとき、ふと、本当にこれでよかったのかと、自分に問いかけます。父を思いやる、娘の一句です。

    (監修:神野)

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  • 枇杷の花の ふつうの未来 だといいな

    2017.12.13 放送

    作者:越智友亮

    俳句甲子園出身の二十代の作者の句です。夏に実をつける枇杷は、12月の今ごろ、花を咲かせます。目立たない花ですが、とてもいい香り。地味な枇杷の花くらいの未来でいいから、これ以上悪い未来が来ませんように。将来が不安な時代だからこそ、普通の日常が尊く感じられるのです。

    (監修:神野)

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  • 熊を見し 一度を 何度でも話す

    2017.12.12 放送

    作者:正木ゆう子

    一年を七十二の季節に分類する七十二候、今日から五日間は「熊蟄穴」。熊が冬眠するころです。熊を目撃した体験は、誰にとっても衝撃的なもの。一回きりの出来事を、武勇伝のように、くりかえし語る人間心理を、さらりと捉えました。こういう人、親戚に一人、いますよね。

    (監修:神野)

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  • 全力で 立つ水色の 寒あやめ

    2017.12.11 放送

    作者:高岡周子(愛媛在住)

    あやめは初夏の花ですが、冬に咲く品種もあります。寒風吹きすさぶ青空の下、うつくしい水色の花を咲かせる寒あやめ。大地からまっすぐに伸びた茎を、「全力で立つ」と、力強く表現しました。寒あやめのたたずまいに、冬を生き抜く元気をもらえる一句です。

    (監修:神野)

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  • 熱燗の もう一合と いふ迷ひ

    2017.12.07 放送

    作者:勝又民樹

    日本酒を銚子などの器に入れて温めることを燗をする、燗をした酒を燗酒といいます。よく燗は人肌がよいといいますが、70度くらいに熱くした「熱燗」は、冷えた体を温めるには何よりのものです。以前は鉄瓶の湯に銚子をつけて温めましたが、今は電子レンジで簡単に熱燗ができます。つい、もう一合と後を引くのも、熱燗の魅力でしょうか。

    (監修:池内)

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  • 沈む冬日 一瞬にして 波が呑む

    2017.12.06 放送

    作者:加藤瑠璃子

    「冬日」は、冬の太陽、あるいはその日差しをいう季語です。冬の太陽は南に傾き、やや弱々しい感じもしますが、晴れた日の公園の日だまりなどは、かけがえのない自然の恵みです。この句は海に沈む冬日。一瞬にして波に呑まれてしまうのが、いかにも冬日らしく思えます。(なお気象用語の「冬日」は、1日の最低気温が0度未満の日をいいます。)

    (監修:池内)

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  • 村が町に変りし 山の眠りけり

    2017.12.05 放送

    作者:児玉仁良

    落葉しつくした木々に覆われ、冬日の中にうずくまっているような山の姿を、眠っていると見立てたのが「山眠る」という季語です。(急峻な高い山よりも、身近な里山などの方にふさわしい季語です。)愛媛でも、以前はいくつもあった村が、平成の大合併の結果、一つもなくなってしまいました。かつては村であった町の山も、今は静かに眠っています。

    (監修:池内)

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  • 黄金の 枯野以外は 空の紺

    2017.12.04 放送

    作者:落合水尾

    草の枯れ果てた冬の野原が「枯野」です。冬の日射しに照らされたり、枯草を風が揺らしたりする風情は、中世以来「わび」「さび」に通じる美しさとして詩歌に読まれてきました。この句は、冬の日ざしを浴びた枯野の色を黄金と見なし、晴れた空の紺と併せて一幅の絵画のように描いています。

    (監修:池内)

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  • ケーキ詰めて 箱やはらかし 冬夕焼

    2017.12.01 放送

    作者:今泉礼奈(松山出身)

    作者は松山市出身、二十代の俳人です。外出の帰り、ケーキを買おうと洋菓子店へ。ケーキも、ケーキを詰めた箱も、やわらかくてどこか頼りなく思えるところに、冬という季節の寄る辺なさがにじみます。崩れやすいケーキを大切に抱いて、淡い冬夕焼の中、幸せを分かち合う人のもとへ帰ります。

    (監修:神野)

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