2024.04.30 放送
今日で四月も終わりです。新年度になって一か月、慌ただしく日々が過ぎました。自然界にも、たくさんの花が咲きつぎ、昆虫たちも春を謳歌しています。花の放つ蜜の匂いが、騒がしくにぎやかに混じり合い、世界は甘い風で満たされてゆきます。
(監修:神野)
2024.04.29 放送
春眠暁を覚えずという言葉があるように、春は眠気の兆しやすい季節です。さて、眠たいのは、春のせいでしょうか。それとも、昭和一桁生まれで年を重ねたがゆえの眠たさでしょうか。今日は昭和の日です。昭和を生き抜いてきた世代への敬意をこめて、過去を振り返り、未来を思います。
(監修:神野)
2024.04.26 放送
「行く春」は、終わろうとする春のことで、愛惜の心が込められています。大きな樟木は散歩途中にある親しい木なのでしょう。「抱きに行く」という大胆な表現で、この人の拠り所となっていることが伝わります。春は人が異動する季節。卒業、入学、退職、転勤など。さまざまな変化に心が揺れ動くとき、受け止めてくれる大樟木です。
(監修:谷)
2024.04.25 放送
色紙やセルロイドなどで作られた花形の風車は、春の風をはらんで回転する、心引かれる玩具です。走ると風が起こって回り出します。風車を買ってあげた父は、子どもに見せてあげようと、まず自分が走ってみせました。子どもがはしゃぎ出す姿が目に浮かびます。でも、なんだか父の方が喜んで、ずっと走っている気配です。
(監修:谷)
2024.04.24 放送
潮の満干の差が大きい四月頃は、海辺が遠くまで干上がり、貝や磯物を採りに出かける「潮干狩り」を楽しみます。きょうの句、広がる砂浜に蠢く生き物たちの、きらきらした命を感じています。そして思わず「うれし」と言葉に出ました子規が私たちを、春の干潟へと誘ってくれているようです。
(監修:谷)
2024.04.23 放送
春の田を一面に埋めるピンクの花、紫雲英。れんげ草ともげんげんなどとも呼ばれます。緑肥として植えられたものですが、子どもの頃には花に埋もれて寝ころんだり、首飾りや冠を編んで頭にのせたりもしました。あれほどすてきな記憶はないようにさえ思います。あの頃の自分の心を見つけに、どこかの紫雲英田を探しに行きたくなりました。
(監修:谷)
2024.04.22 放送
祈願のため、四国霊場八十八箇所を巡る遍路。暖かくなる三月から五月にかけて見かけるようになります。歩く人、自転車、またバイクで巡る人もいます。どの手段でもそれとわかる装束を身につけています。群れているのは、夕暮れにたどり着いたお寺でしょうか。「水晶のごとく」という措辞が、お遍路さんの祈りの姿を際立たせて、胸を打ちます。
(監修:谷)
2024.04.19 放送
アロワナは、南アメリカや東南アジアの淡水に棲む魚です。恐竜の時代の地層に化石が発見され、太古から姿を変えない古代魚としても知られています。永遠を感じさせる日永の光の中、大きな体をうねらせ、アロワナが泳いでゆきます。時空を超え、古代までさかのぼってゆきそうな、はるかな後ろ姿です。
(監修:神野)
2024.04.18 放送
四国八十八か所のお遍路を、自転車で巡礼しているのでしょう。札所にお参りしたら、また次の札所を目指して、軽快に漕ぎ始めます。日も永くなってきたので、一日をたっぷり使えます。自転車を使って、コンパクトかつスピーディーに、春のお四国を駆け抜けます。
(監修:神野)
2024.04.17 放送
イスラム教には、日中の飲食を断ち、神様に祈りを捧げる、ラマダーンという期間があります。ガザに住む人の多くも3月にラマダーンを迎えましたが、停戦を呼び掛ける声に応じず、イスラエル軍は攻撃を続けました。救援物資の食料も満足に行き渡らないガザ。人々の無事を祈り、日本にできることを考えます。
(監修:神野)
2024.04.16 放送
犬にレンズを向け、振り向くたびにベストショットを狙ってシャッターを切ります。人間と違って、犬はじっとポーズを決めてくれません。「振り向く度に撮る」というせわしない表現が、はつらつと動く犬や、それに振り回される人間の姿を、いきいきと描き出しています。
(監修:神野)
2024.04.15 放送
美容室でパーマやカラーを施す待ち時間に、ちょっとしたお菓子を用意してくれたのでしょう。コーヒーと一緒に出てきたのは、福岡発祥の銘菓「ひよ子」です。日永の穏やかな明るさと、ひよこの形をしたお菓子のなつかしさとがぴったり。心がほっこりあたたかくなるサービスです。
(監修:神野)
2024.04.12 放送
まるで永遠に続きそうな春の午後、赤ちゃんがころり、またころりと寝返りをします。まだ立ったり喋ったりできない赤ちゃんは、とにかく今は寝返りばかり。日永を使い切るという表現がユニークですね。飽きもせず繰り返される赤ちゃんの動作にも、不思議な達成感が生まれます。
(監修:神野)
2024.04.11 放送
第二次世界大戦終結後も、シベリアに不当に抑留され、厳しい労働を課せられた人々がいました。飢えと寒さに追い詰められながらの強制労働は、筆舌に尽くしがたい苦しさだったでしょう。平和な日永のひだまりの中、かつての辛い記憶を語らない父の、寡黙な胸の内にふと思いをはせます。
(監修:神野)
2024.04.10 放送
ンジャメナはチャド共和国の首都です。しりとりは「ん」がつくと負けと言われますが、この世界には「ん」から始まる言葉もあるんですね。「ンジャメナ」の名前を出せば、しりとりはまだまだ終わりません。日の永くなった春の午後、ンジャメナという奥の手を使い、どこまでも言葉のリレーが続きます。
(監修:神野)
2024.04.09 放送
サニートラックは、昭和の時代に人気を博した、小型のボンネットトラックです。春の午後、宇和海に面した道を、レトロなサニートラックが走ってゆきます。リアス式海岸をくいくいと曲がるたび、車のボディが海の光にきらっと輝きます。「と」で並列させたことで、軽快なリズムも生まれました。
(監修:神野)
2024.04.08 放送
春になると日暮れが遅くなり、少しずつ昼の時間が長くなります。一番昼が長いのは夏ですが、季節の変化をしみじみ感じることから、日永は春の季語です。ゆでたまごの薄皮が剥けないことも、なんとなく許せてしまう、穏やかな春の午後。つるんとした玉子の肌に、春の光が輝きます。
(監修:神野)
2024.04.05 放送
秋に北方からやってきた渡り鳥が、春になって帰ってゆくときの情景が、季語「鳥帰る」です。時空の広がりの中に、残る寂しさも広がっていきます。そんな空の下、地上では寂しさを紛らすように木琴を叩いている人が。木琴は、子どものころから親しい楽器です。バチが弾む、木の鍵盤の音色は、大人の疲れた胃にも確かに優しいですね。
(監修:谷)
2024.04.04 放送
うっすらピンク色の餅に、巻かれた桜の葉の香り。まさに桜時の気分をそのまま表出したような和菓子です。ぷっくりした桜餅を前に、心もぷっくりふくらんできたのでしょう。あるいは、すこし気になっていた自分のぷっくりした身体が、桜餅と同化した気分。「よかったわ」と、肯定できたうれしい瞬間でしょうか。
(監修:谷)
2024.04.03 放送
桜の季節になると口をついて出てくる、シンプルでリズムの良い今日の俳句です。山にぽっぽと現れてくる桜色のかたまりは、春そのもののような気がします。いつもは注目していない山々に、目を見開きます。山桜また山桜と指さしながらわくわく眺めます。あるいは、山道を桜の木に触れながら歩いてみたくなりませんか。
(監修:谷)
2024.04.02 放送
花の雨は、桜時に降る冷え冷えとした雨のこと。 この人は、夜の巷、すなわち町中にいて雨にあいました。でも意識の中の桜が、目に浮かんでいるのでしょう。雨に花の匂いも混じっている気配です。「花の雨」の雅を「巷の雨」と俗っぽく言い放ちました。目の前に桜は無くても、桜の季節が人々の生活を包んでいます。
(監修:谷)
2024.04.01 放送
俳句では、単に「花」といえば桜のこと。「大きく暮れて」が、寺の境内を占める桜の大きさを想像させます。老木でしょう。日が暮れていく中、大きな一本の桜の雄々しさと、憐憫のようなものを感じます。一方で、老木ながら失わない華やぎを「花の寺」という言葉が伝えます。愛媛では、例えば久万高原町の法蓮寺の桜を思い起こすでしょうか。
(監修:谷)
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