2017.07.28 放送
学生やサラリーマンなどが、夏休みを利用して故郷の実家に帰るのが「帰省」。帰省する人を「帰省子」といいます。特にお盆の前後などは、交通機関も道路も帰省ラッシュで混雑します。久しぶりに生家に帰り、父母やきょうだいに会うのは、何よりもうれしいものです。この帰省子は、実家に帰り着いた安堵のせいか、まず深々と眠っています。
(監修:池内)
2017.07.27 放送
干した天草を水に浸して搗き、また干してから煮て溶かし、型に入れて固めたのが「ところてん」。よく冷やして、食べる直前に心太突で突き出し、酢、醤油、蜜などをかけて食べます。この句は、心太を突き出すために桶からとり出すところ。「気配を掬い」という表現が、心太の存在感を絶妙に描いています。作者は大洲市にお住いの俳人です。
(監修:池内)
2017.07.26 放送
夏の夜空をいろどる花火は、16世紀に日本へ伝わり、江戸時代に盛んになりました。大型の打ち上げ花火に対して、発光剤を紙縒に巻き込んだり、細い棒の先につけたりしたものが「手花火」。線香花火などの手花火は、手に持って楽しむ夏の遊びです。小さい妹は、まだ花火を持つのが怖いのでしょう。お兄ちゃんの持つ手花火を一心に見つめています。
(監修:池内)
2017.07.25 放送
きょうは土用の丑の日。土用丑といえば、「鰻」ですね。この日に鰻を食べると夏負けしないという風習は、江戸時代に平賀源内が広めたといわれますが、すでに『万葉集』の時代から土用鰻は食べられていたようです。これは鰻屋の板前さんが鰻を裂いている場面。鰻の目に打ち込んで俎板に固定するための、目打ちという調理器具が使われています。
(監修:池内)
2017.07.24 放送
七月二十四日は「河童忌」。小説家・芥川龍之介の命日です。昭和二年のきょう、龍之介は35歳で自ら命を絶ちました。東大在学中から夏目漱石門下として活躍し、『羅生門』『鼻』『河童』などの名作を残しました。(俳句でも虚子の指導で、名句を詠んでいます。)河童忌に際し、河童の好物といわれる胡瓜を食べながら龍之介を偲んでいる一句です。
(監修:池内)
2017.07.21 放送
植えられた稲の苗が青々と成長した田んぼが「青田」です。見渡す限り広々とつづく稲作地帯の青田、棚のように山頂から麓へと連なる(山国の)青田。いずれも夏の日本を代表する美しい田園風景です。この句のお城は、青田に取り囲まれた平城でしょう。青田からのすがすがしい風が、天守閣まで吹き込んでいます。
(監修:池内)
2017.07.20 放送
積乱雲、いわゆる入道雲の姿を山並みにたとえて「雲の峰」といいます。真っ白に輝く雲の峰は、いわば真夏の象徴です。この句はその白さだけに焦点を絞って、雲の峰を描いています。日本の各地には、積乱雲の発生しやすい地形のところがあり、その地にちなんだ愛称で呼ばれています。「坂東太郎」「山城次郎」「比叡三郎」などがそうです。
(監修:池内)
2017.07.19 放送
今日から夏の土用。一年中で最も暑い季節です。この時季のじっとしていても汗が噴き出てくるような、耐え難いほどの蒸し暑さをいう季語が「溽暑」です。「溽」という字には、湿気が多くて暑いという意味があります。泣き出した赤ちゃんを抱いても、いっこうに泣き止みません。生後間もない赤ちゃんも、のけぞってしまうほどの蒸し暑さなのです。
(監修:池内)
2017.07.18 放送
水の底から茎を伸ばし、水面に大きな葉を浮かべ、白、黄、紅、紫などの清らかな花を咲かせる「睡蓮」。昼間は花を開き、夕方には花を閉じる姿が眠るようだ、というところから睡蓮の名がついたといわれます。この句は、睡蓮の池に棲む亀が水面に浮く睡蓮の花にさざ波を寄せながら、ゆっくりと潜ってゆく情景です。
(監修:池内)
2017.07.17 放送
七月の第三月曜日は「海の日」。海や貿易に関する知識の普及のための記念日です。明治天皇が東北巡幸から船で横浜に帰られた日を記念して、昭和16年に制定された「海の記念日」が平成8年から国民の祝日としての「海の日」となりました。作者は目の前の海を眺めて介護疲れの目を癒しながら、今日が海の日であることに気づいたようです。
(監修:池内)
2017.07.14 放送
きょう七月十四日は「巴里祭」。フランス革命記念日です。一七八九年に、パリの市民がバスティーユ監獄を解放してフランス革命の先駆けとなった記念日。ルネ・クレール監督の映画『七月十四日』の題が、日本で『巴里祭』と訳されて人気を博したことから、季語として定着しました。愛し合いながら別れた二人にも、忘れられない日のようです。
(監修:池内)
2017.07.13 放送
夏の夕方、暑さのこもる室内を避けて、縁側にでて涼むことを「端居」「夕端居」といいます。マンションのベランダでもいいのですが、本来の「端居」は、日本の家屋に縁側があったからこそ生まれた季語といえるでしょう。家の端である縁側に出てじっと庭の方を向いているこの方は、一体何をこんなに熱心に見ておられるのでしょうか。
(監修:池内)
2017.07.12 放送
清らかな地下水が地表へ自然に湧き出し、湛えられているのが「泉」です。農業用水として大切なものですが、かつては炊事、洗濯などの生活用水としても大いに利用されていました。その涼しげなたたずまいから、夏の季語とされています。沸き出す泉の水が、次々と水輪を生み継いでゆく情景を、まことに涼しげに描いた一句です。
(監修:池内)
2017.07.11 放送
海辺の岩礁や廃船などにびっしりと群れをなして棲む「船虫」は、潮の香とともにお馴染みの虫。虫とは言っても甲殻類で、海老や蟹の仲間です。船虫は波の動きや人の気配に敏感で、大群がいっせいに逃げたり、またいっせいに集まったりします。この句、群れをなして逃げる船虫を、「ぶちまけしごとく」という表現で生き生きと描いています。
(監修:池内)
2017.07.10 放送
浅い木の箱などに土を盛り、山や川や池などの自然の風景を作ります。さらに木を植えたり、橋を架けたりして、焼き物の家や人物を置いたりして、ミニチュアの自然ができあがります。「箱庭」は江戸時代から楽しまれてきた夏の遊びです。作者は作り上げた箱庭を見ながら、この箱庭の世界と同様に、いつまでも平和な世の中が続くことを願っています。
(監修:池内)
2017.07.07 放送
今日は二十四節気の小暑。ますます暑さの厳しくなる頃です。蒸し暑い日本の夏に、いちばん欲しいのが「涼しさ」です。朝夕のかすかな風や、風通しのいい緑蔭などで感じられる涼しさ。いっぽう流れる水や風鈴の音には、耳から感じる涼しさがあります。この句も、神前で打つ柏手のきれいに揃った音に感じられる、耳からの涼しさを詠んでいます。
(監修:池内)
2017.07.06 放送
入浴するときに素肌に着た「湯帷子」を略して「浴衣」というようになりました。今では湯上がりだけでなく、夏の普段着やちょとした外出用にも用いられます。浴衣をきりっと着こなした女性の姿は、見た目にも涼しげです。最近は外国の人にも、夏の日本のファッションとして人気で、上手に浴衣を着こなしている姿をよく見かけます。
(監修:池内)
2017.07.05 放送
青梅を塩漬けにして重しをすると、二、三日で梅酢ができます。梅の実を取り出して筵に干すいっぽう、梅酢には紫蘇を入れて色をつけます。日本の大切な保存食であり、健康食品でもある梅干し作りを、俳句では「梅干す」「梅漬ける」といいます。<三日三晩の土用干し>ともいわれ、まさに風が酸っぱくなるほど梅を並べて干す、夏の仕事です。
(監修:池内)
2017.07.04 放送
冷やした豆腐を一口大に切り、花鰹、葱などの薬味を添え、生醤油で食べる「冷奴」。手軽で庶民的な夏のおかずであり、酒の肴にも喜ばれます。冷奴の名は、昔の仲間、いわゆる奴の四角い紋に由来するといわれます。冷奴を味わうのに欠かせないのが醤油。(醤油あっての冷奴です。)作者は、醤油の国・日本に生まれてよかったと思っているようです。
(監修:池内)
2017.07.03 放送
窓辺などに吊して、涼しげな音色を楽しむ「風鈴」。素材としては金属、ガラス、貝殻などがあり、それぞれの音色とともに見た目の涼しさも夏の楽しみです。風鈴の音によって涼しさが感じられるのは、風鈴が人間の脳が涼しさに変換し易い音色を出しているからだといわれます。風鈴は、漁師町の狭い路地裏にも涼しさを運んでくれています。
(監修:池内)
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