2021.08.31 放送
今日は二百十日です。立春から数えて二百十日目、稲の花が咲く大事な時期ですが、台風で天候が荒れることも多く、人々はこの日を「厄日」と呼んで注意してきました。この句も、二百十日に強い雨が降る場面を切り取っています。束になって叩きつける雨が、田んぼを責め立てます。どうか無事に厄日が過ぎ、ゆたかな稔りが訪れますように。
(監修:神野)
2021.08.30 放送
この夏、開催された第2回「センバツ!全国高校生即吟俳句選手権」で、特別賞に選ばれた一句です。学校のトイレの窓から、ふと校庭を見下ろすと、誰もおらず、蜻蛉だけが飛んでいました。秋の学校の、どこかぽっかりと寂しい時間。さりげない口語の言葉で言いとめたことで、現場に立っている感覚が、空気感とともに再現されます。
(監修:神野)
2021.08.27 放送
今年の第24回俳句甲子園で優秀賞に選ばれた一句です。コロナ禍で一年延期された東京オリンピックは、聖火リレーが中止されるなど、不安定な状況に置かれてきました。運ばれる聖火もどこかゆらゆらと儚げです。空蝉も、蝉の抜け殻としての儚さをはらみつつ、脚はしっかりと木をつかんでいます。不安定な今に向き合う意志を、「しかと」の一語に込めました。
(監修:神野)
2021.08.26 放送
今年の第24回俳句甲子園で優秀賞に選ばれた一句です。火にかけた茄子の皮が裂けたら、そろそろ焼き茄子の出来上がりです。皮を剥くとき、茄子の空気はプシュ―と抜けて、ぐったりとしぼみます。焼き茄子の少し寂しげな姿に、今は消えてしまった村のイメージを重ねました。田畑を耕し生きてきた村の記憶が、茄子を介して、十七音に刻まれます。
(監修:神野)
2021.08.25 放送
今年の第24回俳句甲子園で優秀賞に選ばれた一句です。夏の季語である片蔭は、暑い日差しを受け、建物や塀が作る影のことです。町に敷かれた点字ブロックが、片蔭を抜けて海へと続くさまを詠みました。点字ブロックの黄色と海の青、あざやかな色彩の対比も夏らしいですね。この句の先には、海へ出てひらける世界が待っています。
(監修:神野)
2021.08.24 放送
今年の第24回俳句甲子園で優秀賞に選ばれた一句です。戦争に反対し平和を願う反戦詩を、清らかな真清水にたとえました。真清水は夏の季語で、山をほとばしる水や湧き水を指します。水のゆたかな日本にこんこんと真清水が湧くように、反戦への思いもずっと涸れませんように。過去を振り返り未来へ祈る心が、純粋な輝きを放ちます。
(監修:神野)
2021.08.23 放送
今年の第24回俳句甲子園で最優秀賞に選ばれた一句です。ウミユリは太古の海に生きた生物です。その化石が山で見つかるのは、かつての海底が隆起して地層となったから。発掘したウミユリの化石を、湧き出る清水で洗うとき、古代の幻と今この瞬間がゆたかに重なります。十七音の力で、コロナ禍の閉塞感を、大きな時空へと解放してくれました。
(監修:神野)
2021.08.06 放送
今日は原爆忌です。昭和二十年八月六日の朝、広島に原子爆弾が落とされました。十万人以上が亡くなったとされ、その後も被曝による被害は、人々を苦しめ続けています。現在の平和な風景にも、過去を思えば、悲しみの記憶が潜んでいます。道端の石が作る影にも亡き人の気配を思う、広島の夏です。
(監修:神野)
2021.08.05 放送
ボサノヴァはブラジル生まれの音楽です。くつろいだ雰囲気のメロディは、夏のリゾート地などのBGMとして人気です。涼やかなリズムに身を預けるうち、ふと、終わりゆく夏を実感しました。耳から夏が終わるという表現がユニークですね。みなさんはどんな曲を聴くときに、夏の終わりを感じるでしょう。
(監修:神野)
2021.08.04 放送
秋に赤い実をつける烏瓜は、夏の夜に白い網状の花を咲かせます。その花はレースのように繊細で、夜の闇に幻想的に浮き上がります。細かい花のひとすじひとすじを、丁寧に咲かせる烏瓜。その誠実さを、描線を省略しない正確なデッサンにたとえました。今年刊行の最新句集『光聴』に収録された一句です。
(監修:神野)
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