2017年5月の俳句

  • 山河よく晴れたる 茅花流しかな

    2017.05.31 放送

    作者:三田きえ子

    イネ科の多年草である茅萱の穂綿のことを茅花といいます。その茅花の季節に吹く南風が「茅花流し」です。「流し」は湿気を含んだ南風を意味し、筍が生える頃には筍流しと呼ばれます。銀白色の茅花をなびかせて吹き渡る風情は、日本ならではの田園風景です。よく晴れた山河を吹き渡る茅花流しは、梅雨の前触れともいわれます。

    (監修:池内)

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  • 咲き割れて 泰山木の 薫りたつ

    2017.05.30 放送

    作者:長嶺千晶

    初夏の木の花は白いものが多いのですが、その中で最も風格が高いのが「泰山木の花」です。泰山木は北米原産の常緑高木で、明治初期に日本に入ってきました。5月から6月ころに、直径15センチもある蓮に似た形の大輪の花を咲かせます。木の高みに開く泰山木の花は薫りが高く、どこかに神秘的な雰囲気を漂わせています。

    (監修:池内)

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  • 西に向く 町家の軒の 初簾

    2017.05.29 放送

    作者:中路素童

    夏のあいだ、日差しを除けたり風通しをよくするために軒や窓に吊すのが「簾」。(細く削った割竹などを意図で編んで作ります。)上浮穴産の篠竹で編んだ伊予簾は、『源氏物語』にも登場する良質の簾として知られています。これは「初簾」ですから、今年はじめて出された簾なのでしょう。西日をさえぎるように町家の軒に吊るされた簾が、新鮮に見えます。

    (監修:池内)

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  • 青空の ひかりの器 朴の花

    2017.05.26 放送

    作者:長島衣伊子

    朴は山などに自生するモクレン科の落葉高木で、高いものは20メートルにもなります。初夏に咲く白い「朴の花」は、大きな葉に抱かれるようにして芳しい香りを漂わせます。九枚もの花びらからなる花は、見上げると白い大盃のような姿です。この句は、そんな朴の花を青空からの光を満たした器に喩えています。

    (監修:池内)

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  • 産土に やさしさもどる 麦の秋

    2017.05.25 放送

    作者:松村多美

    麦が黄金色に熟して刈り入れも間近な頃を「麦の秋」といいます。この「秋」は四季の秋ではなく、収穫の季節という意味です。音読みの「麦秋」も気持ちのいい季語です。近年麦の作付面積が減り、麦の秋らしい光景が少なくなっています。作者は、村中が熟れた麦の黄金色に包まれた姿こそ、ふるさとにふさわしいやさしい情景だと考えています。

    (監修:池内)

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  • 花のみかん香りて 島の恙なく

    2017.05.24 放送

    作者:芳賀かをる

    蜜柑といえば、ふつう温州蜜柑をさします。日本一の温州蜜柑の産地といわれる愛媛県では、初夏のこの季節、島も山も蜜柑の花ざかりです。「みかんの花」は星のような形の白い五弁の香りのよい花で、愛媛県の県の花にもなっています。柑橘で知られるこの島は今年も蜜柑の花の香りに包まれ、穏やかで平和な明け暮れが続いています。

    (監修:池内)

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  • ラムネ干す 決まりのやうに 空仰ぎ

    2017.05.23 放送

    作者:國分貴博

    夏の渇きをいやす清涼飲料水にも色々ありますが、歴史の古いのは「ラムネ」です。明治5年5月に東京で製造が始まったといいますから145年の伝統があります。ラムネの名は英語のレモネードが転訛したもので、飲むときに瓶とガラス玉の触れ合う音が涼しげです。この句のように空を仰ぎながら飲み干すのも、ラムネならではの楽しさです。

    (監修:池内)

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  • 草笛の曲 みな悲しからざるや

    2017.05.22 放送

    作者:吉川一竿

    草の葉や木の葉を、唇にあてて吹き鳴らすのが、「草笛」。一枚の草の葉が楽器に変わる楽しさがあり、唇にあてる角度や息の強弱で音色が変わりメロディーが吹けます。しかし正確に曲になるにはコツと修練が必要で、初めはピーッとしか鳴りません。そのせいか、どんな曲を吹いても悲しげに聞こえるのも、草笛ならではのよろしさかもしれません。

    (監修:池内)

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  • 風薫る 雲の広さの大欅

    2017.05.19 放送

    作者:阿部月山子

    「風薫る」は、若葉の香りを運んでくるような、初夏の柔らかい風にぴったりの季語です。春の「風光る」という視覚的な季語が、立夏を境にして嗅覚的な「風薫る」に変るのも、日本人の季節感を象徴しています。雲に匹敵するほど広々と若葉の茂る、欅の大木を吹き抜けてゆく初夏の風。まさに、風薫るにふさわしい情景です。

    (監修:池内)

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  • 母の年 越えて母恋ふ 豆の飯

    2017.05.18 放送

    作者:中田千恵子

    莢を剥いたえんどう豆、いわゆるグリーンピースを炊き込んだご飯が「豆の飯」。「豆御飯」です。豆の採れる初夏ならではの味と風味を出すには、薄い塩味にするのがいいようです。豆飯はいわば母の味。豆飯を食べるたびに思い出すのはお母さんのこと。幾つになっても母が恋しのは、人の世の常なのでしょう。

    (監修:池内)

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  • 花桐や 二階の窓を 開け放つ

    2017.05.17 放送

    作者:小川玉泉

    桐は高さ10メートルにもなる落葉高木で、初夏に枝先に花を咲かせます。紫色で筒型の「桐の花」は、遠くから見ると空が紫色にけむっているような美しさです。木の高みに咲くため、咲いていることに気づかず、香りでようやく気づいて花を仰ぐこともあります。作者は、そんな桐の花をしっかり見ようと、二階の窓を開け放っています。

    (監修:池内)

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  • 今生の 白をひろげる 白牡丹

    2017.05.16 放送

    作者:伊藤敬子

    花の王様といわれる牡丹は、(中国原産の落葉低木。)平安時代に薬用として渡来し、おもに寺院に植えられました。江戸時代、鑑賞用の多くの品種が生み出されました。紅、黒紫、黄など色彩もさまざま。なかでも「白牡丹」は、気品の高さで人気があります。この句は白牡丹の豪華な花の盛りを描きながら、散り際のはかなさまでも見通しているようです。

    (監修:池内)

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  • 百年の家 百年の柿若葉

    2017.05.15 放送

    作者:福谷俊子

    艶やかでまぶしいほどの「柿若葉」。輝くような萌黄色は、若葉の中でもとりわけ明るく新鮮です。果樹である柿の木は庭木としてもよく植えられ、初夏の家を明るく彩ってくれます。この句は何代も受け継がれた家の柿の木。樹齢を重ねるほどに、若々しく力強い柿若葉です。作者は、松山市にお住いの俳人。俳句雑誌「花信」主宰です。

    (監修:池内)

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  • 吾子の世も 新茶楽しむことあれよ

    2017.05.12 放送

    作者:押野裕

    <夏も近づく八十八夜>でお馴染みの唱歌のタイトルは、「茶摘」です。この歌のように、茶摘みの最盛期は八十八夜の前後。そして五月半ばには「新茶」が売り出されます。つまり「茶摘」は晩春の季語、「新茶」は初夏の季語です。作者は新茶の香りを味わいながら、幼いわが子が成人する時代にも、この風味を楽しめるようにと願っています。

    (監修:池内)

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  • 蚕豆の はしりと言ひて 十粒ほど

    2017.05.11 放送

    作者:水原春郎

    初夏を代表する食べものが「蚕豆」。この時期、何よりも蚕豆を食べたくなるものです。ふつう茹でて食べますが、莢ごと火で炙ってもおいしく食べられます。はしりの蚕豆を愛でている作者は、水原秋桜子の長男として生まれ、お父さんと同じように医学の世界でも活躍された方。昨年九月、94歳でお亡くなりになりました。

    (監修:池内)

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  • 葉桜となりぬ 風呼ぶ木となりぬ

    2017.05.10 放送

    作者:有光令子

    桜の花が散ったあと、枝々には若葉が満ちてきます。初夏のこの時期の桜を「葉桜」といいます。花のあと葉桜となるまでの期間は短く、気がつくと葉桜の季節です。この季語には、花を惜しむ思いとともに、この句のように若葉のすがすがしさを愛でる思いが込められています。作者は、松山市にお住いの俳人。俳句雑誌「花」主宰です。

    (監修:池内)

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  • きらめきて 飛び立ちさうな 新樹かな

    2017.05.09 放送

    作者:布川直幸

    初夏の木々は、青々とした若葉が目にも美しく感じられます。「新緑」が若葉に焦点をあてた季語なのに対し、「新樹」は木の姿を印象づける季語です。この句からは、明るい日ざしに包まれた高い街路樹の姿が見えて来ます。枝先が風に揺れる木々を見上げていると、新樹はきらめきながら空へ舞い上がりそうな感じがします。

    (監修:池内)

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  • 大川の うねる流れや 夏きざす

    2017.05.08 放送

    作者:鈴木勘之

    夏真っ盛りにはまだまだ遠いのですが、自然の姿にも人の生活にも目立って夏らしさが感じられる頃を「夏めく」あるいは「夏きざす」という季語で表します。「めく」や「きざす」の表現には、季節の動きに敏感な日本人の感性が反映されています。作者は、少し前よりは強く感じられる大川のうねりに、夏のきざしを見ています。

    (監修:池内)

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  • ネクタイを変へて お洒落の夏きたる

    2017.05.05 放送

    作者:山口みちこ

    今日は二十四節気の「立夏」。暦の上ではいよいよ夏に入りました。俳句では「夏立つ」「夏に入る」「夏きたる」などの季語が使われます。衣服も軽快な夏物に変える時期。上にまとうものを脱ぎ捨てるため、服装の細かい部分が目立ちます。これは、ネクタイを涼しげなものに変えて、この季節ならではのお洒落を楽しんでいる男性の姿です。

    (監修:池内)

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  • みどりの日 人数分の 茹で卵

    2017.05.04 放送

    作者:野木桃花

    今日は「みどりの日」。自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心を育む、という主旨の国民の祝日です。以前は4月29日でしたが、平成19年に4月29日を昭和の日とするのに合わせ、5月4日に変更されました。家族で茹で卵などを持ってのお出かけ。ゴールデンウィークの最中でもあり、野山の自然に親しむ絶好の季節です。

    (監修:池内)

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  • 石を蹴る 憲法記念日の鴉

    2017.05.03 放送

    作者:大坪景章

    5月3日は「憲法記念日」。現在の日本国憲法は、昭和22年のきょう施行され、後にこの日は国民の祝日と定められました。この憲法については賛否両論があり、国際情勢の緊迫化もあって改正か否かの議論も活発です。楽しいゴールデンウィークの最中ではありますが、世界の平和や日本の将来を静かに考える日としたいものです。

    (監修:池内)

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  • 山上湖凪いで 八十八夜かな

    2017.05.02 放送

    作者:青木華都子

    今日は立春から八十八日目の「八十八夜」。<夏も近づく八十八夜/野にも山にも若葉が茂る>と唱歌「茶摘」にあるように、野山は満目の緑。茶摘みだけでなく、あらゆる農作業の忙しくなる頃です。「八十八夜の別れ霜」という言葉のように、天候も安定して季節はいよいよ夏へと移って行きます。波が荒れがちだった山の湖も、穏やかに凪いでいます。

    (監修:池内)

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  • 競ふもの 天地に満ちて 五月来る

    2017.05.01 放送

    作者:池田啓三

    一年で最も麗しい月といわれる「五月」に入りました。五月は緑も美しく、風薫る季節です。自然界はみずみずしい生命力にあふれ、木々の緑は競うように天へと伸び、野鳥の声で満たされます。そんな五月の自然を称えた一句です。なお、カトリックで聖母月と呼ぶことから「聖五月」という季語もよく使われます。

    (監修:池内)

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