2022年7月の俳句

  • アロハシャツ 額買へば絵も 付いてきて

    2022.07.29 放送

    作者:野住朋可

    暑い夏の日、アロハシャツを羽織って、ふらりと出かけた町で、素敵な額を見つけました。これ、ください。額を買ったら、はめこまれていた絵もまとめて、渡されました。絵よりも額のほうに価値を見出しているのが面白い視点です。作者は西条市出身。関西を拠点に、若手俳人として活躍しています。

    (監修:神野)

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  • 日蝕に サイダーの泡 ふえてゐる

    2022.07.28 放送

    作者:片山一行

    日蝕とは、月に隠され、太陽が欠ける現象です。古代には天変地異の先ぶれとして畏れられ、現代では天体ショーとして人気です。日蝕の進むとき、ふと見れば、サイダーの泡が増えていました。ささやかな変化も、太陽の影響だとしたら、面白く、不思議です。作者は宇和島市生まれ、松前町在住。今月刊行の第一句集『凍蝶の石』所収の一句です。

    (監修:神野)

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  • 火蛾落ちて 夜の濁音と なりにけり

    2022.07.27 放送

    作者:堀本裕樹

    夏の夜、街灯などの明かりに群がる蛾を、火蛾といいます。ふっと明かりからこぼれ落ちた蛾は、暗がりへ沈んでゆきます。その火蛾の存在を「夜の濁音」と表現しました。濁音とは「がぎぐげご」「だぢづでど」などの濁った音です。蒸し暑い夜の感触が、くすぶる火蛾の命を通して、ざらりと伝わってきます。

    (監修:神野)

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  • 木のことば 燦燦と降る 夏暁

    2022.07.26 放送

    作者:森川光郎

    短い夏の夜が明け、はやばや白みはじめた空に、木々が涼しく葉を広げます。暑い夏でも、暁はひんやりと心地よい時間です。木々も、すがすがしい明け方に、まるで言葉を降らせているかのよう。「燦燦と」という表現に、朝の光も感じます。早起きして木々の中を歩き、彼らの言葉を受け止めたいものです。

    (監修:神野)

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  • 遮断機の前で 握られ鳴く蟬よ

    2022.07.25 放送

    作者:秋元不死男

    今日、七月二十五日は俳人・秋元不死男の忌日です。不死男は、太平洋戦争前夜に思想弾圧を受けて投獄、戦後は俳句「もの説」を唱え、「もの」のもつ象徴性を生かすべきだと主張しました。この句も、遮断機や蝉という具体的なものを通して、じりじりとした緊張感や命の哀切が言いとめられています。

    (監修:神野)

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  • でで虫や 日のあるうちに 隣まで

    2022.07.22 放送

    作者:岩宮鯉城

    でで虫は、かたつむりのこと。でんでん虫と呼んで親しい生き物です。二対の自在な長短の触角の長い方の頂に目があります。その目を揺らしながら、ゆっくり、でもきっと一生懸命に進んでいます。「日のあるうちに隣まで」は、そんなかたつむりを応援するなんともやさしい眼差しです。私などは、つい邪魔をしてつまみ上げてしまいますが。

    (監修:谷)

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  • 母の手の 葱の匂へる 帰省かな

    2022.07.21 放送

    作者:阪本謙二

    帰省は、学生や働く人たちが夏休みを利用して故郷に帰ることです。育った家のなつかしさは、例えば母親の作ったおみそ汁。母から何かを手渡されたとき、ふっと葱の匂いがしたのでしょう。コロナ禍では三年近く、帰省の我慢を強いられました。帰省の第一の目的、父母の安否を伺うことがようやく叶い始めました。

    (監修:谷)

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  • 夕涼みがてら小銭を 持つて出る

    2022.07.20 放送

    作者:青池亘

    暑さのおさまりかけた夏の夕方には、サンダル履きで家を出たくなります。そのとき、ついポケットに小銭を持って出る気分、わかる気がします。ひと昔前なら公衆電話とか、あるいは煙草を買うためだったでしょうか。今は、ジュースあるいは寄り道の古本屋さんで掘り出し物を探すため?。小銭はお守りのようでもあります。

    (監修:谷)

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  • 硬きまで 乾きしタオル 夏日にほふ

    2022.07.19 放送

    作者:篠原梵

    真夏は灼けつくような日差しに、洗濯物があっという間にバリバリに乾きます。熱をはらんだ洗濯物を取り入れるときは、気持ちの良いものです。硬いとまで感じるくらい乾いたタオルは、顔に当てると痛そう。最後に置かれた「夏日にほふ」が詩的で、この人は硬いタオルを通して、夏の日差しの匂いを呼吸している。

    (監修:谷)

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  • 海の日の 海の音して 羽たたむ

    2022.07.18 放送

    作者:陽山道子

    羽を持つ生き物、例えば鳥たち、蝶々や蝉、天道虫などいろいろ思い浮かべます。海の日には、それら生き物が羽をたたむときには、海の音がするというのです。山でも、道端でも、庭でも羽をたたむそれぞれの羽の向こうに青い海が透けて見えるようです。今日の「海の日」をすてきに具象化した一句です。

    (監修:谷)

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  • 撃て向日葵 種を平和の弾として

    2022.07.15 放送

    作者:中村彰正(久万高原町)

    侵攻するロシア兵に、ウクライナ人女性が、「戦死した場所で花が咲くよう、向日葵の種を持っていきなさい」と迫る映像が、広く拡散されました。向日葵は、ウクライナとロシアそれぞれの国の花です。今回、向日葵というお題に、平和を望む多くの俳句が寄せられました。明るい花に希望を託し、人々の無事を祈ります。

    (監修:神野)

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  • 向日葵の 百本分の 恋でした

    2022.07.14 放送

    作者:音羽凜(東京都)

    一本でも相当な存在感のある向日葵が、なんと百本分の恋だとは。一生分の恋という言葉もありますが、それに匹敵するほどの、人生で一度っきりの一途な恋。「でした」と締めくくる過去形に、恋が終わってしまった寂しさと、そんな素敵な恋ができた充足感とが香ります。夏のまぶしい記憶です。

    (監修:神野)

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  • ヒロシマのデルタ 向日葵叫び続け

    2022.07.13 放送

    作者:石浜西夏(大阪府)

    広島平野は、太田川の運ぶ土砂で形成された、大きなデルタ、三角州です。広島平野に向日葵が咲けば、原子爆弾が落とされた、昭和二十年の夏を思い出します。熱線の被害を受けた多くの人が、水を求め、太田川に飛び込みました。今も暑さの中、全力で立つ向日葵は、人々の魂の叫びを代弁し続けているのかもしれません。

    (監修:神野)

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  • ひまわりを 勝手に教室にかざる

    2022.07.12 放送

    作者:藤田咲(松山市)

    向日葵はエネルギッシュな花ですが、心が弱ったときは、その明るさが少し負担になることも。なのに、みんな好きでしょと言わんばかりに、誰かが教室に飾ります。多様な価値観を持ち寄る場だからこそ、向日葵の選択を押しつけがましく思うのかもしれません。向日葵の存在感がグイッと迫る一句です。

    (監修:神野)

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  • ひまわりの まの字あたりが 孫の背か

    2022.07.11 放送

    作者:友健(四国中央市)

    向日葵は、夏を代表する植物です。暑さの盛り、二メートルもの茎を育て、あざやかな大輪の花を咲かせます。この句は、孫の背丈と向日葵を比べました。ひまわりの「ま」の字あたりなら、一メートル五十センチくらいでしょうか。ユニークな表現で、向日葵に迫る孫の成長を捉えました。

    (監修:神野)

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  • 投票所の 体育館に 蚊遣香

    2022.07.08 放送

    作者:杉木美加

    今週末には参議院議員選挙が控えていますが、投票所も俳句の素材になるんですね。体育館など、公共施設を中心に設置される投票所。暑い時期、投票に来る人を思って、蚊取り線香が焚かれていました。さりげない思いやりを発見した一句です。さて、みなさんの訪れる投票所に、蚊遣香はあるでしょうか。

    (監修:神野)

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  • うれしさや 七夕竹の 中を行く

    2022.07.07 放送

    作者:正岡子規

    今日は七夕です。願い事を書いた短冊を笹や竹に吊るし、星に祈ります。全国各地で、七夕のお祭りも盛んです。子規さんも、七夕竹の飾られた街を歩き、その賑わいに心が弾んだのでしょう。「うれしさや」という素直な書き出しに、あふれる微笑みの無邪気さまで見えてきます。

    (監修:神野)

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  • テレビ越しに 花火は映えて 餃子に酢

    2022.07.06 放送

    作者:越智友亮

    自宅で花火大会の中継を見ています。テレビ越しの花火は、さすがベストポジションから撮影しているだけあって、直接見るより、かえってきれいに画面に映えます。さあ、餃子も用意して、ビールでも飲みながら、続きを楽しみましょうか。「酢」の存在にまで焦点を絞ったことで、さりげない生活の一場面がリアルに再現されました。

    (監修:神野)

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  • 母を見て 又子の昼寝 つゞきけり

    2022.07.05 放送

    作者:稲畑汀子

    昼寝をしていた子が、うっすらと目を開け、母がいることを確認して、また眠りに落ちました。無意識に母を求める子どもの姿が、さりげなくも的確に言いとめられています。たっぷり寝て、大きくなあれ。今年二月、九十一歳で逝去した作者の、若き子育て時代の一句です。

    (監修:神野)

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  • 亀の子の滑る 琺瑯洗面器

    2022.07.04 放送

    作者:種谷良二

    亀の子が夏の季語です。日本特産の石亀の子どもは、銭亀とも呼ばれ、可愛がられてきました。飼っている水槽を洗うために、亀の子を洗面台に移したのでしょうか。琺瑯で出来た洗面器に、亀の子はつるつると滑ります。その懸命なさまに、小さな命の愛おしさがあふれます。

    (監修:神野)

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  • 迎ふるも 送るも青田風の中 

    2022.07.01 放送

    作者:竹本俊夫

    稲の葉で青々と覆われた田に風が吹きわたり、その中の畦道の、なんとも気持ちのよい情景です。心まで広々としてきます。いろんな場面が想像できます。里帰りした子を迎え、そしてまた送る姿。あるいは朝夕の幼い子の送り迎えかもしれません。日々のささやかな喜びと寂しさが、夏の田園風景のなかに描かれました。

    (監修:谷)

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テレビ愛媛ではみなさまから
俳句を募集しています!

7月のお題「風鈴」の
応募は締め切りました

応募フォーム、メールアドレス、ハガキの中からご応募ください。メールアドレス、ハガキでのご応募は、お題を含む俳句(ふりがな)・氏名(ふりがな)・住所・電話番号・メールアドレスを記載してお送りください。一人何句でも応募可能です。選ばれた俳句は、EBC Live News「きょうの俳句」コーナーでの放送のほか、テレビ愛媛のホームページ等で紹介します。作者の氏名(ペンネームの場合はペンネーム)、お住いの市町名(ジュニアの場合は学校名)も紹介されます。
(採用された方には放送日を事前に連絡し、記念品を贈らせていただきます。)
※俳句の募集は、毎月第2月曜日、午後6時から開始します。

応募規約

・応募作品は未発表で、ご自身の作品(著作権がご自身にある作品)に限ります。
・他人の作品に著しく類似、または他人の作品の盗用など、第三者の権利を侵害する可能性があると判断した場合は、応募の対象外とします。
・テレビ愛媛は応募作品による権利の侵害等に対し、一切の責任を負いません。

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