2023年2月の俳句

  • 薄氷の 裏を舐めては 金魚沈む

    2023.02.28 放送

    作者:西東三鬼

    薄氷は、春に寒気が戻って、薄く張る氷のことです。「薄氷」「春の氷」とも言います。庭の甕に飼っている金魚でしょうか。薄氷を通して金魚が見る空は、もう明るい陽射しの春の空です。眩しみながらその空を、いえ氷の裏を舐めてみては、また暗い水の底に沈んで行く。見上げては、また昇って行く金魚の春の日です。

    (監修:谷)

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  • えひめマラソンの 選手をぬらす名残り雪

    2023.02.27 放送

    作者:竹内加代

    去る2月12日、三年ぶりとなる愛媛マラソンが開催されました。1万人以上が参加したこの日は、晴れでした。例年は、マラソンの当日になると寒く、雪がちらつきました。名残り雪です。冬の名残りとして最後に降る雪のことで、沿道の声援を一身に受けてひた走る選手を、やさしく濡らすのでした。

    (監修:谷)

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  • 終点の 駅は久万町 春の雪

    2023.02.24 放送

    作者:岩渕晃三(松山)

    愛媛の中でも、特に標高の高い久万高原町は、雪がよく降る地域です。バスの終点でしょうか。どんどん山道をのぼってゆく車窓に、しずかに春の雪が降りはじめます。終点を降りれば、雪景色の町が。終点という言葉には、冬が終わり春がやってきた、季節の区切りも感じます。

    (監修:神野)

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  • 閑さや 星降るやうに 春の雪

    2023.02.23 放送

    作者:宍野宏治(松山)

    「閑さや」で始まる俳句といえば、松尾芭蕉の〈閑さや岩にしみ入る蝉の声〉が有名ですが、春の雪の静けさもまた、美しく心惹かれますね。夜空を星が流れるように、音なく光りながら、春の雪が降りつぎます。現実を忘れ、眼前の風景に見とれるひとときです。

    (監修:神野)

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  • 夫の名を 忘れし妻へ 春の雪

    2023.02.22 放送

    作者:たわらご 小島里世(西予)

    認知症が進むと、記憶があやふやになり、大切な人のことも少しずつ忘れてしまいます。長い年月をともに過ごしてきた夫の名前も、忘れてしまった妻。その瞳に、春の雪はどんな風に映っているでしょう。冬を忘れたころに降る春の雪が、眠っている記憶をひととき、呼び覚ましてくれるようにも思います。

    (監修:神野)

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  • 明日からは おためし保育 春の雪

    2023.02.21 放送

    作者:くぅ(福岡)

    保育園では、入園が決まったら、まずはお試し保育です。はじめは数時間、慣れてきたら時間を伸ばし、園になじませます。明日から保育園という前日は、預ける側の親も、心配してそわそわしてしまいます。折しも降り出した春の雪が、不安をひんやりと代弁しつつ、きっと大丈夫だと光っています。

    (監修:神野)

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  • 桜隠し舞ふ 木簡に 倭歌

    2023.02.20 放送

    作者:武井日出子(松山)

    桜の咲くころに降る雪のことを「桜隠し」といいます。倭歌とは、大陸から伝わった漢詩に対し、日本固有の詩歌を指します。木簡に書きつけられた言葉の中には、春の雪を詠んだ歌もあったでしょうか。千年の時を超え、美しい言葉の歴史は、今も俳句の中に息づいています。

    (監修:神野)

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  • 仰ぎ見る 石鎚は碧 春の雪

    2023.02.17 放送

    作者:十亀剛一(西条)

    霊峰・石鎚山は、西条市と久万高原町の境、四国山地に位置する、西日本で一番高い山です。春の雪が降り、稜線も白く染まっていますが、山全体は碧く輝いています。「仰ぎ見る」と言うことで、その遥かな存在感も伝わりますね。光に包まれた石鎚を、春の雪がやさしく彩る、美しい一句です。

    (監修:神野)

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  • 春の雪 解けたいって 巻貝が

    2023.02.16 放送

    作者:澤田 紫(埼玉)

    巻貝は、らせん状に巻いた殻をもちます。ところが、その貝が、固くきゅっと巻いているのを、もう解きたい、と言ったのです。春の雪がやわらかく降る光の中で、巻貝も、もっと自由に解放されたいと思ったのかもしれません。貝の心に寄り添うことで、春を迎えてのびやかにありたいという人間の心も見えてきます。

    (監修:神野)

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  • 進学を 諦めし子や 春の雪

    2023.02.15 放送

    作者:ピアニシモ(松山)

    春の雪が降る早春は、受験シーズンでもあります。しかし、進学を望んでいても、さまざまな事情から諦めざるをえない若者もいます。今もどこかで、複雑な思いを抱きながら、空を見つめる子がいるでしょう。彼らの進む道に光を灯すように、春の雪が静かに降りかかります。

    (監修:神野)

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  • 淡雪を払ひ 帆布を画廊へと

    2023.02.14 放送

    作者:葉村直(大阪)

    春の雪は、冬の雪と違い、淡く溶けやすいので「淡雪」ともいいます。帆布とは、絵を描くキャンバス生地のこと。展示する絵を画廊へ運び込む途中、淡い春の雪が降りかかります。その風景自体が、まるで一枚の絵のように、美しく十七音(じゅうななおん)に切り取られました。

    (監修:神野)

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  • つげ櫛に 小さき焼印 春の雪

    2023.02.13 放送

    作者:杏乃みずな(長野)

    立春を過ぎて降るのが「春の雪」です。冬の雪と違い、どこか華やかな印象をもつ季語です。つげの木で作ったつげ櫛は、髪結いの道具として古くから愛用されてきました。木材の質を示す焼き印が、小さく押されています。つげ櫛で髪をとかし、ふと窓の外を見れば春の雪が。静かな早春の一場面です。

    (監修:神野)

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  • 城山が 見えている風の 猫柳

    2023.02.10 放送

    作者:川本臥風

    一枚の絵のような一句です。遠景に城山があって、目の前には揺れる猫柳が描かれているシンプルな絵です。余白は、わたしたち読者が好きなように埋めていきます。城山の上には、春の雲。木を描いて鳥も止まらせてみたいです。作者は、大正12年旧制松山高校に赴任し「松高俳句会」を興し、篠原梵や八木絵馬などの俳人を育てました。

    (監修:谷)

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  • 世界地図 いくども眺め 春愁

    2023.02.09 放送

    作者:向瀬美音

    世界地図を広げることは、夢や冒険心を呼び起こします。でも、今はその地図の中に悲惨な戦争が続いている場所があります。ふと暗い気持ちが心を塞いでしまったのでしょう。春は心浮き立つ季節ではありますが、そのことがかえって苦しく感じられることもあります。それが例えば今日の「世界地図」なのでしょう。

    (監修:谷)

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  • 島ひとつ 手のひらに乗せ 春の昼

    2023.02.08 放送

    作者:赤坂恒子

    瀬戸内海に浮かぶ、幾多の島の一つを想像します。陸から、あるいは島から、遠くの島を眺めているのでしょう。手のひらを差し出してみると、ちょうど乗る大きさの島がひとつ。手に乗った島をしばらく、いとおしく眺めます。のんびりと、眠気を誘うような春の昼の、なんてすてきな時間でしょう。

    (監修:谷)

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  • 風船を 胸の奥から ふくらます

    2023.02.07 放送

    作者:さくら孝之

    春の季語になっている風船には、紙風船とゴム風船があります。この句は、ゴム風船。「胸の奥から」に、期待が込められます。口先だけの息では、風船は膨らんでくれません。胸の奥から出す息と風船との息が合って、やっとぷくっと膨らんでくれます。一度膨らみかけると、後は一気に好きな大きさまで。油断して、度を越さないように。

    (監修:谷)

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  • 春浅く まためぐり来し 星座かな

    2023.02.06 放送

    作者:芝 不器男

    「春浅く」は、立春から日が浅い頃。まだ寒さを感じる時期のことを表します。樹々や草の芽も固い地上から一転、夜空を仰ぐと、星座が春の到来を教えてくれました。「めぐり来し」に、ゆったりとした宇宙の運行と季節の循環を思います。彼方を見つめる視線に、青春性を感じる一句です。

    (監修:谷)

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  • 豆撒や 子どもに山の星高き

    2023.02.03 放送

    作者:小川軽舟

    今日は節分です。立春という季節の変わり目を前に、豆まきをして邪気を追い払います。鬼は外、福は内。夜の闇へ豆を撒く子どもの頭上には、星が高く輝いています。山の暮らしは自然がすぐそこにあるからこそ、鬼の気配も真実味を帯びるでしょう。春へ向かってまた一歩、季節は明るいほうへ進んでゆきます。

    (監修:神野)

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  • 蒲団めくれば 丸まつて泣いてをり

    2023.02.02 放送

    作者:田口茉於

    夜の寒さを防ぐため、蒲団も冬の季語となっています。悲しいことがあって、子どもが蒲団に逃げこんだのでしょう。ふくらんだ蒲団をめくると、体を丸めて泣いていました。涙を見られまいという意地らしさと、ぬくもりに癒されたいという気持ち。子どもの素直な感情が、蒲団を介して伝わります。

    (監修:神野)

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  • 二月はや はだかの木々に 日をそそぐ

    2023.02.01 放送

    作者:長谷川素逝

    今日から二月です。寒い日が続いていますが、二月四日は立春。あと数日たてば、暦の上では春です。風や空気は冷たくても、光の量が増え、まぶしくなってきます。まだ葉を落としたままの裸の木々ですが、その幹にも日の光は降り注ぎます。みなさんは今、どんなところに、近づく春の気配を感じるでしょうか。

    (監修:神野)

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テレビ愛媛ではみなさまから
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7月のお題「風鈴」の
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応募フォーム、メールアドレス、ハガキの中からご応募ください。メールアドレス、ハガキでのご応募は、お題を含む俳句(ふりがな)・氏名(ふりがな)・住所・電話番号・メールアドレスを記載してお送りください。一人何句でも応募可能です。選ばれた俳句は、EBC Live News「きょうの俳句」コーナーでの放送のほか、テレビ愛媛のホームページ等で紹介します。作者の氏名(ペンネームの場合はペンネーム)、お住いの市町名(ジュニアの場合は学校名)も紹介されます。
(採用された方には放送日を事前に連絡し、記念品を贈らせていただきます。)
※俳句の募集は、毎月第2月曜日、午後6時から開始します。

応募規約

・応募作品は未発表で、ご自身の作品(著作権がご自身にある作品)に限ります。
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