2018年2月の俳句

  • 窯跡へつづく苔道 初音かな

    2018.02.28 放送

    作者:大木さつき

    鶯は春告鳥とも呼ばれ、鳴き声を愛でる鳥として親しまれています。(松山あたりでも、そろそろ鶯の「初音」の聞ける季節です。)この句の鶯は、かつて陶磁器を焼く窯のあったあたりへ続く道のほとりで初音を聞かせています。苔道は、いかにも冬から早春の頃の鶯が住みそうな所です。鶯は三月になるとホーホケキョと盛んに鳴き、四月頃には山へ帰っていきます。

    (監修:池内)

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  • ふきのたう 糺の森の 日溜りに

    2018.02.27 放送

    作者:名村早智子

    野や山に自生している蕗は、早春に地下茎を伸ばし、苞に包まれた花芽をのぞかせます。これが「蕗の薹」です。早春らしい香りとほろ苦さが好まれ、天ぷらや蕗味噌にして味わいます。この句は、京都の下鴨神社で見つけた蕗の薹。京都にお住まいの作者は、糺の森の蕗の薹に春の訪れを感じているようです。

    (監修:池内)

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  • 梅紅白 夫唱婦随のごとく咲く

    2018.02.26 放送

    作者:高橋悦男

    梅は春の訪れを知らせる花。早春のまだ冷たい空気のなかで、香り高い五弁の花を開きます。単に「梅」とだけいえば白梅で、紅色の梅は紅梅といいます。まず凛とした姿の白梅が開き、やがて追いかけるように艶やかな風情の紅梅が開きます。この句は、そんな紅白の梅を夫唱婦随と見立てています。

    (監修:池内)

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  • 淡雪と 若草町で すれちがふ

    2018.02.23 放送

    作者:松本秀一(宇和島市)

    全国にある若草町という地名。若草という春らしい言葉をふくんだ、素敵な名前です。松山にも、お城のほとりに若草町がありますね。淡雪は、あわく消えやすい春の雪のこと。なごりの雪と、はじまりの若草とが、まさに今ここですれ違う、季節の交錯する早春らしい一句です。

    (監修:神野)

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  • おそるべき 椿の赤さ 伊予豆比古

    2018.02.22 放送

    作者:江崎紀和子(東温市)

    今日から、松山市にある椿神社のお祭り、椿さんが始まります。椿神社の正式名称は伊予豆比古命神社。伊予豆比古とは、まつられている神さまの名前です。神社に咲く椿の赤さを「おそるべき」と表現したことで、神への畏敬の念や、お祭りの人出の多さが思われます。

    (監修:神野)

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  • 子馬が街を 走つていたよ 夜明けのこと

    2018.02.21 放送

    作者:金子兜太

    今日未明、戦後俳句を代表する俳人・金子兜太さんが亡くなりました。98歳でした。戦争などの社会問題をテーマに、自由で新しい俳句の世界をひらき、生きることの意味を問い続けました。夜明けの街を走る子馬は、何にも縛られないで、とても自由です。兜太もまた、激動の時代を、駆け抜けました。

    (監修:神野)

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  • 城跡の鳥静かなる雨水かな

    2018.02.19 放送

    作者:三好万美(東温市)

    一年を二十四の季節に分ける二十四節気、今日から「雨水」です。降る雪も雨に変わり、氷が解けて水になるころです。かつて栄華をほこった城も今は消え失せ、ぽっかりと広がる城跡に、ただ静かに鳥が鳴きかわすのみ。ひんやりとした風の日向に、春本番が待たれます。

    (監修:神野)

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  • 旧正の みづうみに 水満ちゐたり

    2018.02.16 放送

    作者:茨木和生

    きょうは旧暦の一月一日。旧正月です。俳句では略して「旧正」ともいいます。旧暦ではこの日が季節の上でも春のはじまりで、新春という言葉にも実感があります。かつては農業や漁業は旧暦の節季に従って手順が決められ、特に旧正月は農作業の大きな節目でもありました。満水の湖を見ながら、作者はこの一年の豊作を願っているのでしょうか。

    (監修:池内)

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  • 薄氷の 空気の珠を 宿したる

    2018.02.15 放送

    作者:土肥あき子

    春になって暖かくなった頃に、突然また寒さが戻ってきて薄い氷が張ることがあります。「薄氷」です。(早期に池などに張った薄氷は、昼すぎには解けて薄い断片となって流れ、消えてゆきます。)冬の氷と違って、「薄氷」という季語には淡くはかない情感があります。この句は薄氷に閉じ込められた気泡に注目したもの。作者のすぐれた観察眼の感じられる作品です。

    (監修:池内)

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  • 恋猫の 極道鳴を 憚らず

    2018.02.14 放送

    作者:山地春眠子

    猫の繁殖期は年に数回ありますが、早春のこの時期もっとも激しく発情します。(「猫の恋」「恋猫」といいます。)牝猫が発情して落ち着かなくなると、それを追って牡猫が集まり、まるで赤ん坊が泣くような鳴き声で牝に求愛し、ときに牡同士の修羅場となります。そんな牡猫の鳴き声を、あたりを憚らずわめき散らす極道者の叫び声に見立てた一句です。

    (監修:池内)

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  • 畔焼く火 にじりてゐしが 立ち上がる

    2018.02.13 放送

    作者:邊見京子

    早春の風のおだやかな日に、田の畦の枯草を焼くのが「畦焼」です。害虫を駆除するとともに、焼いたあとの灰が肥料となる効果もあります。畦焼や畑焼は、昔の焼畑農法の名残ともいえるかもしれません。はじめは畦をのろのろと這っていた火が、いきなり大きく立ち上がりました。その瞬間をとらえた一句です。

    (監修:池内)

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  • 街道の 松の枝張る 菜の花忌

    2018.02.12 放送

    作者:川崎慶子

    二月十二日は、作家・司馬遼太郎の命日。司馬さんの愛した菜の花に因んで「菜の花忌」と呼びます。司馬さんは大阪生まれ。産経新聞記者から小説家としてデビュー。特に正岡子規が好きで、『坂の上の雲』などの作品で子規を描きました。この句は街道の松に寄せて、『街道をゆく』などの取材で各地を旅した司馬さんの生涯を偲んでいます。

    (監修:池内)

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  • クローバーに 春めく雪や 日曜日

    2018.02.09 放送

    作者:芝不器男

    昭和初期に活躍した松野町の俳人、芝不器男の俳句です。春らしくなってきたころ、思い出したように雪が降りました。野原に萌えはじめたクローバーの緑に、白い雪がかかってとってもきれい。のんびり野原で遊ぶ休日です。さあ、この日曜日、どんな春めく風景が見られるでしょうか。

    (監修:神野)

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  • イチゴジャム煮ており 青き炎にて

    2018.02.08 放送

    作者:中居由美(松山市)

    いちごを煮る鍋の赤と、ガスの炎の青さ、色彩の対比があざやかです。甘くてあたたかいキッチンにいて、青い炎のつめたさに目をとめた作者は、一抹のさみしさを心に秘めているのかも。ちょっと大人の味のいちごジャムが出来上がりそうです。

    (監修:神野)

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  • 伊予人に 伊予柑食ひの 下手もゐて

    2018.02.07 放送

    作者:五十崎朗(松山市)

    当然ながら、伊予の人間でも、伊予柑を食べるのが下手な人はいます。食べる難しさにスポットを当てたことで、伊予柑の厚い皮や、デリケートな果肉が、ありありと思い浮かびますね。食べるのがうまい人も下手な人も、みんなで伊予柑を食べる、伊予人のだんらんです。

    (監修:神野)

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  • 早春の 旅の夜明けの 星の綺羅

    2018.02.06 放送

    作者:菊池共子(西予市)

    春になったばかりの今ごろは、まだまだ寒いですが、そのぶん、大気は澄みわたっています。旅先で目覚た夜明け、空を仰ぐと星が澄んで、きらきらと輝いていました。旅の記憶に残るのは、名所旧跡やおいしいごちそうよりも、この句のような、名もない瞬間かもしれません。

    (監修:神野)

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  • ポストまで 歩けば二分 走れば春

    2018.02.05 放送

    作者:鎌倉佐弓

    きのうは立春、暦の上ではもう春です。家からポストまでは、歩けば二分ほど。走ればもっと早く着く、というのかと思いきや、「走れば春」と意外な答えです。かけ出したときに感じた風や光に、春を実感したのでしょう。手紙を出しに行く日常のひとコマにも、季節はたしかにめぐってきます。

    (監修:神野)

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  • 日光と枯木 二月に入りにけり 

    2018.02.01 放送

    作者:相馬遷子

    きょうから二月。暦の上では、間もなく春に入ります。「二月」は春の季語ですが、実感としてはまだ寒さの厳しい季節です。しかし、次第に日ざしが明るくなり、春らしさの増してくる月でもあります。この句は、日光と枯木という、それぞれ春と冬を象徴するような素材を並べることによって、二月の始まりを端的に描いています。

    (監修:池内)

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