2018年6月の俳句

  • まつすぐに 汐風とほる 茅の輪かな

    2018.06.29 放送

    作者:名取里美

    明日、6月30日は夏越の祓。半年分の厄を落とし、残り半年の無病息災を願う日です。神社の境内には、茅という草を使って大きな「茅の輪」が編まれ、これをくぐると病気や災いを逃れられるといわれています。海の近くの神社の茅の輪に、汐風がまっすぐ吹いてきました。汐風の香と茅の草の香と、夏の匂いに満ちた句です。

    (監修:神野)

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  • 鎖骨さびし 夜中のアイスクリームも

    2018.06.28 放送

    作者:門田なぎさ

    眠れなくて、夜中に冷凍庫を開け、アイスクリームを舐めていると、なんだか寂しくなってきました。夜の窓に映る自分に目をやれば、夏のパジャマの衿ぐりからは、鎖骨がちらり。魅力的な鎖骨も、一人で過ごす夜には、やはり寂しく感じます。にぎやかな夏だからこそ、孤独が際立つのですね。アイスの甘さが、少しでも寂しさを癒してくれますように。

    (監修:神野)

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  • 金魚鉢に 映る小いさき 町を愛す

    2018.06.27 放送

    作者:中村汀女

    窓辺に飾った金魚鉢に、町の風景が映り込んでいます。金魚鉢を通して見ると、本当に小さな町。でも、そんなこぢんまりとしたこの町が、私の住む町であり、愛する町なのです。私は、ここで生きてゆく。今の生活を肯定する思いが、下五の「町を愛す」という字余りとなって、静かにあふれました

    (監修:神野)

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  • 百合開く 少しずつ 壊れるために

    2018.06.26 放送

    作者:戸澤優子

    昨年の第20回俳句甲子園の入賞作です。百合が花ひらく理由を独自に定義し、美しい百合がまとう退廃的なムードを切り取りました。たしかに、はじまりには終わりが内包されているもの。人間は、生まれた瞬間から死へ向かっているという言葉もあります。いつか壊れるからこそ、百合の美も、人間の生も、唯一無二の尊さを宿すのでしょう。

    (監修:神野)

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  • 木に草に 雨明るしや 蝸牛

    2018.06.25 放送

    作者:長谷川櫂

    雨の日は暗いと思いがちですが、そんな私たちの認識を、「雨明るし」とあざやかに転換させました。草木は、雨を力に育ちます。木の枝に、草の葉っぱに、きらきらと雫が輝くさまは、命のまぶしさそのものです。湿度を好む蝸牛も、雨でうるおった世界の中で、いきいきと伸びをしていることでしょう。

    (監修:神野)

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  • おのづから 川へそひゆく 蛍狩

    2018.06.22 放送

    作者:小原啄葉

    夏の夜、水辺を明滅しながら飛び交う蛍。川蜷などを食べて成長する蛍は、卵や幼虫のうちから光を放っているそうです。そんな蛍を採る遊びが「蛍狩」です。この季語の狩という言葉には、蛍を捕えるというよりも蛍の光の美しさを観賞する思いもこめられているのではないでしょうか。蛍狩の一行は、ひとりでに川沿いを歩んでいます。

    (監修:池内)

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  • 雨脚の ほのかに明かし 夏至の海

    2018.06.21 放送

    作者:安倍真理子

    今日は二十四節気の「夏至」。一年で最も昼が長い日です。でも梅雨の最中なので、実際の日照時間は短く、お日さまの顔はなかなか拝めません。太陽の見える時間は冬至の日より一時間も少ない、という統計もあるそうです。この句は夏至の日の海の情景。海面には休みなく降り注ぐ雨脚が、ほのかに明るく見えているところに、夏至らしさが感じられます。

    (監修:池内)

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  • 反骨を その眼光に 羽抜鶏

    2018.06.20 放送

    作者:源鬼彦

    鳥類の羽は、六月ごろに冬羽から夏羽へと抜け替わります。人に身近な鶏はこの時期、古い羽が抜け落ちて赤裸のような「羽抜鶏」となります。抜羽の散らばる鶏小舎の羽抜鶏は、哀れでもあり滑稽でもある姿です。そのようなペーソスの漂う羽抜鶏ですが、よく見ると鋭い眼光に秘められた反骨は、まったく衰えていないようです。

    (監修:池内)

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  • 水遣りの 音が風呼ぶ 青簾

    2018.06.19 放送

    作者:星野光二

    青竹を細く割って編んだ「青簾」。軒や縁先に掛け、夏の日差しをさえぎり、風通しをよくします。ことに篠竹で編んだ伊予簾は、古くから伊予の特産品として有名で、『枕草子』にも登場します。この句は庭に面した縁先の青簾。庭木に水をやる音が、まことに涼しそうに聞え、庭からのそよ風が、青簾を吹き抜けてくるようです。

    (監修:池内)

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  • 夏つばめ 村の名消えし 山里に

    2018.06.18 放送

    作者:森田かずを

    燕は春先に日本に渡って来るので、単に燕といえば春の季語です。「夏つばめ」は、産卵をし雛を育てるために忙しく餌を運んだり、親子で電線に止まったりしている夏の燕を詠む季語。燕が最も燕らしく感じられる季節です。この句は、かつて村だった山里を飛ぶ夏燕の姿。そういえば、愛媛でも以前は何十もあった村という名の地方自治体が、一つもなくなってしまいました。

    (監修:池内)

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  • 町を出る日や 紫陽花の浅みどり

    2018.06.15 放送

    作者:梅木真美

    住み慣れた町を出てゆく日、ふと紫陽花に目がとまりました。青や紫になる前の、ういういしい紫陽花は、これから大きな変化を迎える、私の今を象徴しています。この紫陽花が色づくのを、私は見ることがないのだなあ。そんな些細なところにも、旅立ちの実感が生まれます。新しい町にも、きっと紫陽花は咲いているはず。

    (監修:神野)

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  • 紫陽花や 明日は本当に 来るだろうか

    2018.06.14 放送

    作者:ブラックにゃんこ

    雨に咲く紫陽花を見つめながら、未来への不安をつぶやきました。私たちはふだん、明日が来ることを疑わず、日々を過ごしています。でも、明日が本当に来る保証など、どこにもありません。静かな雨の底で、紫陽花の滲みを見つめていると、今日が世界の終わりなのかもしれないと、ふと、ひんやりと、思います。

    (監修:神野)

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  • 紫陽花や ミシュラン店は 路地の奥

    2018.06.13 放送

    作者:宍野宏治

    飲食店の評価を格付けするミシュランガイド、今年の春には広島・愛媛の店を掲載したガイドブックが話題になりました。言われてみれば、ミシュランに載るような名店は、静かで人目につかない場所にあるイメージです。いつか訪ねてみたいと憧れながら、紫陽花の咲く路地の奥へと思いを馳せます。

    (監修:神野)

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  • 磯野家の 窓にあぢさゐ 夜の円居

    2018.06.12 放送

    作者:竹本桂子

    「サザエさん」は、磯野家の繰り広げる日常を描いた、国民的アニメです。円居とは団らんのこと。あかりがともった磯野家の窓に、紫陽花がまあるく咲く夜もあるでしょう。梅雨といえば紫陽花という定番の組み合わせも、サザエさんの背景となれば、ホッと懐かしいものとして輝きはじめます。

    (監修:神野)

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  • 漆喰の 波の模様や 濃紫陽花

    2018.06.11 放送

    作者:毬

    漆喰の白と紫陽花の濃い色彩の対比が鮮やかです。波模様に塗られた漆喰の壁は、繊細な陰影を宿します。取り合わせた濃紫陽花も、萼のひとひらずつに微妙に異なる色がひしめいて、とても細やかですね。「波」という言葉が、紫陽花のまとう雨の匂いとあいまって、水のイメージをあふれさせました。

    (監修:神野)

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  • 余り苗 田水たつぷり 貰ひけり

    2018.06.08 放送

    作者:安部和子

    苗代で育てた早苗を水田に移植する作業が田植。20センチほどに青々と育った早苗が、田へ運ばれます。以前は一本ずつ人の手で植えられましたが、近年は田植機が使われることが多くなりました。田植が済んで残った苗が「余り苗」。根づかなかったり、枯れたりしたときに植え直すため、田の隅にまとめて仮り植えします。そんな余り苗にも、田水はたっぷり満たされています。

    (監修:池内)

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  • 白無垢を 色の初めに 七変化

    2018.06.07 放送

    作者:太田寛郎

    梅雨入りのころに花を咲かせ、梅雨明けのころに花期を終えるのが紫陽花。まさに梅雨の花です。咲き初めの白から淡緑、藍、紫というように、花の色を変化させることから、「七変化」とも呼ばれます。花びらのように見えるのは四枚の萼で、中心に小さな花が一つずつあります。この句は七変化の最初の色である純白に注目しています。

    (監修:池内)

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  • 水に水 重ねて暗し 梅雨の川

    2018.06.06 放送

    作者:成井侃

    今日は二十四節気の芒種。稲に代表される芒のある穀物を植える時期を表す言葉です。田植の時期であり梅雨に入る季節とも重なります。この時期の川は水嵩を増し、勢いよく流れます。時には氾濫して梅雨出水となることもあります。この句は、そうした「梅雨の川」の表情を、水嵩と降りつづく雨による暗さの両面から描いています。

    (監修:池内)

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  • 真昼には 真昼の暗さ 青葉木菟

    2018.06.05 放送

    作者:江崎紀和子

    「青葉木菟」はフクロウ科の夏鳥で、青葉の茂るころに渡って来て産卵をすることから名づけられました。丸坊主のような頭と鋭い嘴が特徴。夜行性で羽音を立てずに飛び、昆虫、小鳥、蝙蝠などを捕えて食べます。鳴き声はホーホーと二声ずつ聞こえ、物悲しい声は昼間でも夜の暗さを感じさせます。作者は東温市にお住まいの俳人。俳句雑誌「櫟」主宰です。

    (監修:池内)

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  • つと走り 影より淡き あめんぼう

    2018.06.04 放送

    作者:小圷健水

    「あめんぼう」は体長2センチほどの昆虫で、長い脚を広げて水に浮かび、すいすいと滑走します。水の上を自由に移動しながら、小さな虫を捕らえて食べます。体から飴のような匂いがするのが、「あめんぼ」という名の由来です。「川蜘蛛」「水澄し」とも呼ばれます。この句は「影より淡き」という表現が、あめんぼうの生態をみごとに捉えています。

    (監修:池内)

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  • 六月を 奇麗な風の 吹くことよ

    2018.06.01 放送

    作者:正岡子規

    今日から六月です。子規さんの句、「奇麗な風」という表現が、とっても素直ですね。梅雨に入り雨の多い六月だからこそ、吹きすぎる一陣の風の涼しさが、胸にしみるのです。鬱々とした日には、目を閉じて、この句を思い出してみてください。心にすがすがしい風が吹きわたります。

    (監修:神野)

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