2022年1月の俳句

  • 浦木戸の 開きてゐる庭 日脚伸ぶ

    2022.01.31 放送

    作者:吉田成子

    一年で昼が最も短く夜が長いのが冬至の頃ですが、冬至を過ぎると日一日と日照時間が伸びて、昼が長くなってきます。「日脚」とは、この昼間の時間。日脚が伸びたことを特に実感するのが、冬も終りに近い今の季節です。冬至の頃からみると、日脚は三十分以上も伸びています。開いている裏木戸からの日差しに、もうそこまで来ている春を喜ぶ思いのこめらてた一句です。

    (監修:池内)

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  • 心臓のちかく 兎を眠らせる

    2022.01.28 放送

    作者:大石雄鬼

    かつては冬に兎狩りが行われたことから、兎は冬の季語に分類されています。心臓の近くということは、胸のあたりに兎を抱いているのでしょうか。兎と近くに並べることで、私の心臓もまた、ひとつの小さな生き物のように脈打ちます。兎の命のぬくもりを抱きながら、冬を静かに見つめた一句です。

    (監修:神野)

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  • 水仙に 仕ふるごとく 活けにけり

    2022.01.27 放送

    作者:山下知津子

    水仙は、冬の終わりの野道や海辺に、清々しい白い花を咲かせます。すっくと伸びた茎や清らかな香りは、凛とした美しさをまといます。作者は、その花を活けるとき、まるで水仙のしもべとしてお仕えしているようだと感じました。人間よりも上に置き、大切に詠むことで、水仙の気品が表現されています。

    (監修:神野)

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  • 寒鯉の 動かぬために つかふ鰭

    2022.01.26 放送

    作者:山本素竹

    冷たい寒中の水に、じっと動かぬ鯉のことを、寒鯉といいます。しかし、覗きこんでよく見つめていると、鯉はひとところにとどまるために、鰭を動かしていたのです。動かないために鰭を使うという、逆説的な発見。静かな冬の水の底に、寒鯉の命の力がみなぎります。

    (監修:神野)

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  • 拳にも 小さき稜線 寒波来る

    2022.01.25 放送

    作者:掛井広通

    山の峰から峰へ続く尾根を、稜線といいます。また、「寒波来る」とは、北から冷たい空気が流れてくるのを指す、冬の季語です。押し寄せる寒さの中で、ぎゅっと握った拳。作者はその拳のごつごつと骨ばった輪郭を、山の稜線のようだと見立てました。小さな拳が大きく見え、冬を踏ん張る力が湧いてきます。

    (監修:神野)

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  • 黄金が 緑に見ゆるまで冬日

    2022.01.24 放送

    作者:正木ゆう子

    冬の太陽は、何色でしょう。白く寒そうな日もあれば、あたたかそうな色の日も。作者は、そんな冬日の色を、緑がかった黄金だと捉えました。冷たい空気の中、金色に輝く冬日を見ていたら、だんたん緑色に見えてきたのです。常識にとらわれず、自分の感覚を大切にすることで、世界の新しい色を発見しました。

    (監修:神野)

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  • またたきに 律あり呂あり 寒昴

    2022.01.21 放送

    作者:檜山哲彦

    昴は牡牛座のプレアデス星団の日本名。六、七個の星のかたまりを意味する日本語です。寒中に今の季節、ほぼ天の真南にあることから冬の季語で、特に「寒昴」として、よく句に詠まれます。オリオンと並び賞される代表的な冬の星です。この句は、寒昴の鮮やかなまたたきに注目しています。作者は、またたきの中に独特のリズムや音階を感じとっているようです。

    (監修:池内)

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  • 本閉ぢて 寒の底なる 灯を点す

    2022.01.20 放送

    作者:網倉朔太郎

    今日は二十四節気の大寒。寒の内といわれるおよそ三十日の間でも、これから立春までが、一年のうちでも最も寒さの厳しい季語、まさに「寒の底」にあたります。日本海側は雪、太平洋側は乾燥という冬型の天候が続きます。作者は手もとのスタンドの明かりだけで、読書に集中していたのでしょう。寒さでふと我に返り、部屋の照明のスイッチを入れました。

    (監修:池内)

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  • 寒紅をさし ただならぬ世に向かふ

    2022.01.19 放送

    作者:柴田田鶴子

    日本古来の紅は、紅花の花びらを摘んで干したものが原料で、化粧用だけでなく薬用や食用にもなる紅です。特に寒中に造られた口紅は、最も上質とされています。現代では、化学的に製造されたものを含めて、寒中にさす口紅が「寒紅」として句に詠まれています。作者は寒紅をさすことで気を引き締めて、コロナ禍の世に立ち向かおうとしています。

    (監修:池内)

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  • 寒鯉の 思ひ出したるごとうごく

    2022.01.18 放送

    作者:二ノ宮一雄

    滝を登るほど勢いのよい鯉も、冬の間は水底の泥に潜ってじっとしていることが多く、餌もほとんど食べません。活力を秘めた静かな姿が印象的であり、食用としても脂がのって美味なので「寒鯉」の季語でよく詠まれています。この句は水底で冬眠しているように動かない寒鯉が、稀に動く瞬間をとらえています。動くことを忘れたように静止していた鯉が、思い出したかのように身じろいでいます。

    (監修:池内)

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  • 唯我独尊 電線の寒鴉

    2022.01.17 放送

    作者:桑原まさ子

    烏は四季を問わず身近な野鳥ですが、餌の乏しくなる冬場はいっそう人家に近づきます。そんな「寒鴉」は、掃き溜めをあさったり、ときには店の品物を失敬したりします。寒々とした冬景色の中の黒い鴉の姿には、独特の風情と俳諧味があります。この句は唯一羽で自由に餌をあさっている寒鴉。電線にとまって餌を探っている姿を「唯我独尊」とは、まことに言い得て妙です。

    (監修:池内)

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  • 晩年は待つこと楽し福寿草

    2022.01.14 放送

    作者:碩真由美(東京都)

    晩年という言葉は寂しさと結びつきがちですが、作者はその時間を、ゆたかで前向きなものだと捉えました。年を重ねると、面倒だった「待つこと」も、楽しくなってくるというのです。お正月を待ち、福寿草が咲くのを待ち、次はどんな季節と出会えるか。心をときめかせれば、晩年という時間が、ささやかな光で満たされてゆきます。

    (監修:神野)

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  • 二日目の 子牛すこやか 福寿草

    2022.01.13 放送

    作者:酒井じゅん太(新居浜市)

    生まれてまだ二日目の子牛が、すこやかに野を歩いています。その足元には、黄色く明るく、福寿草が咲いていました。縁起物である福寿草は、お正月に向けて鉢植えで出回りますが、実際の花期は二月から三月です。春を告げる福寿草の光と、生まれたばかりの子牛の元気が、命のまぶしさを伝えてくれます。

    (監修:神野)

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  • トロンボーンしまわれ 福寿草あかるし

    2022.01.12 放送

    作者:ギル(岡山県)

    演奏を終え、トロンボーンを片付けていると、ふと福寿草に目がとまりました。冬の日を受け、明るく花を咲かせています。まるで、トロンボーンの金管楽器の光を、黄金色の福寿草が引き継いでくれたかのよう。音楽の余韻にたゆたいながら、福寿草のまとう明るさを愛でる、ゆたかなひと日です。

    (監修:神野)

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  • 魚屋の 軒の日溜り 福寿草

    2022.01.11 放送

    作者:伊賀上公子(松山市)

    買い物に出かけたとき、鮮魚店の軒下に福寿草が咲いているのを見つけました。よく日を浴びて、花は明るく輝いています。そのすこやかなさまに、こちらも自然と元気をもらいます。日常の町角にも、新しい一年がやってきました。軒下の福寿草のように、ささやかな幸せを、見つけてゆけますように。

    (監修:神野)

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  • 琴の音の きらりきらりと 福寿草

    2022.01.10 放送

    作者:宍野宏治(松山市)

    福寿草は、新年を代表する草花です。黄金色の花をかたまって咲かせ、名前もめでたいことから、縁起物としてお正月には欠かせません。そんな福寿草へ、琴の音がひびいてきました。新年を祝う曲を弾いているのでしょうか。きらりきらりというオノマトペに、琴の音の美しさや日差しの輝き、福寿草の光が見えてきます。

    (監修:神野)

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  • 耳たぶの 大きな埴輪 せりなずな 

    2022.01.07 放送

    作者:土屋秀夫

    今日は七草粥の日です。1月7日の朝に、春の七草を入れたお粥を食べると、無病息災で過ごせるといわれています。ちなみに、春の七草は「せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろ」の7種類。その冒頭の「せり」と「なずな」に、耳たぶが大きい福耳の埴輪を合わせました。ゆたかな大地の力が湧いてきます。

    (監修:神野)

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  • 今は昔 テレビの上に 鏡餅

    2022.01.06 放送

    作者:大屋達治

    今は薄型テレビが主流となりましたが、昔の箱型のテレビの上には、物を置けるスペースがありました。その場所を有効活用して、お正月には、テレビの上に鏡餅を飾る家もあったんですね。雑然とした室内に、家族の気配が色濃く香る、昭和の風景。スナップ写真を撮るように、なつかしい記憶を再現した一句です。

    (監修:神野)

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  • ウイルスより 小さき願ひや 初詣

    2022.01.05 放送

    作者:小川晴子

    新型コロナウイルスによって、私たちはいくつもの願いを諦めてきましたが、それでも初詣にいけば、やはり新年への希望を抱きます。目に見えない極小のウイルスより小さくささやかな願いとは。人に会いたい、マスクをはずして外を歩きたい、そんな小さくも大切な願いを胸に、新しい一年へと歩き始めます。

    (監修:神野)

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  • 御慶言ふ 尊き隔たりと思ふ

    2022.01.04 放送

    作者:今瀬剛一

    御慶とは、新年を祝う挨拶のことです。言葉を交わすにも、コロナ禍では、おのずとソーシャルディスタンスをとることに。作者はその距離を「尊き隔たり」と捉えました。たしかに、相手を大切に思い、社会の平穏を願うからこそ、うつさないように距離をとります。「尊き隔たり」を保ち、今年こそはのびやかな日常が戻ることを祈ります。

    (監修:神野)

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テレビ愛媛ではみなさまから
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7月のお題「風鈴」の
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応募フォーム、メールアドレス、ハガキの中からご応募ください。メールアドレス、ハガキでのご応募は、お題を含む俳句(ふりがな)・氏名(ふりがな)・住所・電話番号・メールアドレスを記載してお送りください。一人何句でも応募可能です。選ばれた俳句は、EBC Live News「きょうの俳句」コーナーでの放送のほか、テレビ愛媛のホームページ等で紹介します。作者の氏名(ペンネームの場合はペンネーム)、お住いの市町名(ジュニアの場合は学校名)も紹介されます。
(採用された方には放送日を事前に連絡し、記念品を贈らせていただきます。)
※俳句の募集は、毎月第2月曜日、午後6時から開始します。

応募規約

・応募作品は未発表で、ご自身の作品(著作権がご自身にある作品)に限ります。
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