2025.05.30 放送
トビウオはその名の通り、二百メートル以上も海上を飛ぶことがあります。胸鰭が非常に長く、それを広げて水面を滑走します。飛魚とも呼ばれ、出汁としても身近に使われています。「蹴りに蹴る」が、トビウオの勢いを伝えます。海を蹴る、ではなくその青さを蹴るという表現もまた、夏が旬のこの魚の眩しさを際立たせます。
(監修:谷)
2025.05.29 放送
この時季、楽しみなものの一つが、豆ご飯です。豌豆や空豆を、白米に混ぜて炊きます。炊きあがった白いご飯に、風味とともに豆の緑が美しく映えます。今日はその豆の飯。柔らかく炊き過ぎたことを詫びます。心待ちにする人に、おずおず出します。なんのその、香りともどもほくほく食べ始めたに違いありません。
(監修:谷)
2025.05.28 放送
毛虫は蛾の幼虫で、全身の毛の中に混じる刺毛で人の皮膚を刺します。今の季節、木の下を通るときなど、上から落ちてくることもあるので、要注意です。「毛虫焼く」は、大発生した毛虫を焼く事ですが、その火が近くにあった枝に移ったのでしょう。絡む炎は、害虫とはいえ理不尽に殺される毛虫の魂のよう。
(監修:谷)
2025.05.27 放送
かつては、一般の農家が飼っていた家畜の飼料や肥料にするために、土手や畦などで青草を刈りました。それが季語「草刈」です。露に濡れて刈りやすい早朝の作業でした。蕗の葉は刈らず、上手に残しておいたのかもしれません。春には、山菜としての蕗の薹を楽しめますし。辺りが広々となった蕗の葉が、ゆったりと風に裏返ります。
(監修:谷)
2025.05.26 放送
俳句で古くから詠まれてきた季語「蛙」を、私たちは子どもの頃からカエルと呼んで親しんできました。カエルがひょいと跳ねたのを見て、自分も小さく真似てみた。この人の行為、わかる気がします。ニ、三度跳ねたら、自分もニ、三度跳んで付いて行く。「おくれて」がいいですね。最近滅多に出会わなくなったカエルに、会いたくなりました。
(監修:谷)
2025.05.23 放送
竜骨突起とは、鳥の胸のあたりにみられる骨の部分です。翼を羽ばたかせる筋肉を、支える役割をもちます。初夏のさわやかな風に鳥が飛び立つとき、その内部の竜骨突起を思いました。「竜」という一字が、鳥の祖先である恐竜をイメージさせ、鳥の命をさらに力強く羽ばたかせます。
(監修:神野)
2025.05.22 放送
マキロンは、傷の消毒薬です。白い本体にブルーのキャップが、定番のパッケージですね。夏にはより活動的になり、袖も短くなって手足が出るので、擦り傷も作りやすいでしょう。マキロンの出番もきっとたくさん。キャップのブルーが夏のさまざまな青を思わせて、イメージも広がります。
(監修:神野)
2025.05.21 放送
パンチェッタは、イタリアでよく使われる豚の塩漬け肉です。暑くなってくると、塩気が欲しくなり、味も濃いほうが嬉しくなります。具にパンチェッタを足して焼き上げたピザは少ししょっぱくて、その塩気が夏の気分を引き寄せます。ピザを囲む、にぎやかな初夏の時間です。
(監修:神野)
2025.05.20 放送
太極拳は中国武術の一派で、健康維持の体操として広く取り入れられています。公園などでも、太極拳をする人をよく見かけますね。体の先まで意識をゆきわたらせて動けば、感覚が研ぎ澄まされます。つま先でゆったり円を描くとき、日差しや風にふと、初夏を感じます。
(監修:神野)
2025.05.19 放送
野山を歩く途中、泉で湧き水を汲んだのでしょう。喉が渇くと、水筒を出して、さっきの湧き水を飲みます。冷たい中にもほのかに甘みがあって、汗ばむ体にしみわたります。吹いてくるのは初夏の風。まぶしくなりはじめた日差しの中を、もう少し歩いていきます。
(監修:神野)
2025.05.16 放送
初夏という季節を、みなさんはどんなところに感じますか? 草木の色? 太陽の光? 作者は「初夏の匂い」を感じ取りました。えっ、匂いなんて無いよ、という人もいるでしょう。でも、きっとあの先生なら、私の感じている初夏の匂い、分かってくれるはず。先生への静かな信頼が、さわやかに言葉に満ちています。
(監修:神野)
2025.05.15 放送
新年度がはじまって少し落ち着いてきた五月は、心身の疲れが出やすい季節です。憂鬱な気持ちも、焼肉といっしょにサンチュに巻いて食べてしまえば、さっぱりと飲みこめるでしょうか。さあ、まずはしっかり食べて。栄養をしっかりとって。空は青いし風は涼しいし、きっと憂鬱も晴れてくれます。
(監修:神野)
2025.05.14 放送
季節が変わると衣替えをして、着る服も変わります。暑くなってくるので、色や素材なども涼しげなものが好まれます。紺色のワンピース、きりりと涼しそう。海を思わせる貝釦の光も、まぶしくなってきた日差しにすこやかに輝きます。初夏へ出かけるコーディネート、出来上がりです。
(監修:神野)
2025.05.13 放送
蛸も、夏に旬を迎える食材です。浜辺に、海でとれた蛸が干されています。初夏の日差しと潮風に吹かれて、蛸の身も足も、ぎゅっと縮んできました。干物にした蛸を炙ったら、旨みが凝縮されて美味しそう。港町の淡々とした暮らしの風景の中にも、季節はたしかに巡ってきます。
(監修:神野)
2025.05.12 放送
今年は5月5日が立夏でした。夏が始まったばかりのすがすがしい時期を「初夏」といいます。草木の緑がぐんぐん育ち、空も青く晴れわたります。デザートのパフェも初夏仕様。果物などを飾った上から、ソーダ水をかけて仕上げます。泡の弾ける爽快感が、明るい日差しにきらきらと輝きます。
(監修:神野)
2025.05.09 放送
新茶は、その年の茶の新芽で作られたお茶のことを言います。出始めの茶を「走り茶」とも言います。香りがよく、味もさわやか。心待ちにしていた新茶が届きました。小さな茶筒に詰めて、こぼれ落ちそうなお茶が、もうたまらなく美味しそう。すこしあふれる茶葉を触るひそやかな音さえ、芳ばしいです。
(監修:谷)
2025.05.08 放送
明確な季語の無い句ですが、草っぱらに夏を感じます。夏の季語には「草」の付いた季語が沢山あります。「草刈」「草茂る」「草いきれ」など。熱を帯びた草の芳しい匂いがしてきそうです。ソックスを脱いだら、裸足になった時に付いた草が、そのまま入っていたのかも。昼間に見た青い原っぱが、再び広がっていくようです。
(監修:谷)
2025.05.07 放送
季語「涼し」は、夏の暑さの中でも感じる少しの涼しさのことです。「朝涼」「夕涼」などと使います。また、心理的な涼しさを表すことがあります。今日の句は、心理的な涼しさでしょう。作者・立子が、父である高浜虚子の生誕地松山の街を訪れて作った句です。亡き父の思い出に浸って歩くと、景色が涼しく映ったのです。
(監修:谷)
2025.05.05 放送
今年の立夏は、今日5月5日。二十四節気の一つで、「夏来る」、「夏に入る」とも表現します。今日の句からは、万葉集の「春過ぎて夏来るらし白妙の衣ほしたり天の香具山」を思い出します。今はためいているのはシーツや白シャツでしょう。日々活躍してくれる洗濯バサミほどの小さな力を蓄えて、夏に向かいたいです。
(監修:谷)
2025.05.02 放送
春の気分は、明るく楽しいだけでなく、憂鬱や不安が寄る季節でもあります。時に、壜の底にいるような感覚に陥るこの人に共感します。壜に沈んでいると外はぼんやりとして、音も聞こえず、自分の声も届かない。でも一人きりだから泣くことが出来る。もうすぐ立夏、壜の底に明るい緑が射し始めてくれるでしょう。
(監修:谷)
2025.05.01 放送
「春の暮」は、春の夕暮れ時として使われることが多いです。春の終わりは、「暮の春」という季語があります。春の夕暮れはどことなく甘美。オレンジ色に染まる空に向かって、一本の道が詰め寄るように迫っていくと感じました。独特の感性です。自分の置かれている現在の状況が、目の前の道と重なったのかもしれません。
(監修:谷)
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