2026年5月の俳句

  • あぶらとり 一枚もらふ 薄暑かな

    2026.05.29 放送

    作者:日野草城

    初夏のやや暑さを覚えるようになったころを薄暑と言います。歩いているとうっすら汗ばむ感じ。ハンカチで拭うほどではないのですが、化粧の顔に汗が気になり始めました。連れに脂取り紙一枚を貰って、顔を押さえます。どことなく澄ました感じの、身なりのきちんとした人を想像します。男性なら、ちょっと気取った人でしょうか。

    (監修:谷)

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  • 移り気も 本気もわたし さくらんぼ

    2026.05.28 放送

    作者:津里永子

    その名も愛おしい「さくらんぼ」。色も形も艶も、どこから見ても、この実に相応しい名前のように思われます。趣味がころころ移っていく。推しの歌手、俳優が次々に変わっていく。でも、その時々は本気。これしかない、とばかりに打ち込んできた、はず。そんな自分を、目の前のさくらんぼが肯定してくれています。

    (監修:谷)

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  • 手を添へて 薔薇嗅ぐ母の 背丸し

    2026.05.27 放送

    作者:山口晴美

    散歩道を彩る薔薇の垣根に出合うと、思わず立ち止まって見惚れてしまいます。この人も、豊かに開く薔薇の花までお母さんを誘ったのでしょう。香しい花に、そっと手を添える姿が幸せそうです。匂いを嗅ぐ横顔に、薔薇の華やぎが映えます。背中の丸くなった母親を見つめる優しいまなざしも、伝わります。

    (監修:谷)

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  • 沢蟹の 流れて来たる 溝浚へ

    2026.05.26 放送

    作者:茨木和生

    この季節、近所との共同作業で家の周りの溝を掃除します。「溝浚え」と言いますが、本来は田植え前の用水路の溝を整備する作業を言います。田圃への水の流れをよくするため、川藻や泥を取り除くのです。泥をすくい上げていると、生き物たちとも遭遇します。鯉や亀なども。スコップにかかった沢蟹は、見逃してもらえたでしょうか。

    (監修:谷)

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  • きみの手の ブリキのじょうろ 初夏だった

    2026.05.25 放送

    作者:山本晧平

    「初夏」は、夏の始めをいいます。梅雨に入る前の、若葉などの自然が活気づく季節です。君の家の庭だったのか、校庭の風景でしょうか。初夏の二人のさわやかな距離を感じます。君の手が握った、鈍い銀色のブリキが光り、じょうろからこぼれる水もきらきらと。また巡ってきた初夏に、君の姿が瑞々しく蘇ります。

    (監修:谷)

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  • 田の神の息吹 白鷺ほのと揺れ

    2026.05.22 放送

    作者:葦屋蛙城(新潟)

    古代の日本人は、太陽や月、木や石など、さまざまなものに神さまが宿ると考えました。田んぼにも神さまがいて、豊穣をもたらすと信じられてきました。白鷺のつばさがほのかに揺れたのは、田の神さまの息吹がそよがせたからかもしれません。ゆたかな自然に、ひととき触れ、心を遊ばせます。

    (監修:神野)

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  • 限界集落 白鷺は灯のごとし

    2026.05.21 放送

    作者:竹本桂子(久万高原)

    過疎化や少子高齢化が進み、共同生活の維持が難しくなりつつある地域を、限界集落といいます。空き家も増え、夕暮れになっても、灯のつく家はまばらです。そんな中、水辺に立つ白鷺が、まるでともしびのように見えました。夕闇に浮かぶ翼の白さが、そこに暮らしてきた人々の時間を、懐かしく灯します。

    (監修:神野)

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  • 我が池の 鯉な狙いそ 白鷺よ

    2026.05.20 放送

    作者:石田 賢吾(愛知)

    白鷺は、浅瀬や田んぼで狙いを定め、魚や蛙などの生きものを捕獲し、呑み込みます。池の鯉も彼らの獲物で、食べられたという被害もしばしば聞かれます。大切に育てている私の池の鯉を、どうか狙わないでくれと、白鷺に頼みます。自然と人間の共存のはざまにこぼれる呟きです。

    (監修:神野)

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  • さびしくて みな白鷺と なるひかり

    2026.05.19 放送

    作者:渋谷晶(大阪)

    夏になると、いよいよ日差しも強く、光も眩しくなってきます。生きていくさびしさに耐えられなくて、みんな白鷺に転生してゆくのだとしたら。水辺に立つ白鷺が、もとはさびしい魂たちだったとしたら。初夏の光に目を細めて、この世のさびしさを、ひととき白鷺と分かちます。

    (監修:神野)

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  • 焼け残る葦へ 白鷺降りにけり

    2026.05.18 放送

    作者:巴里乃嬬(神奈川)

    湿地の環境保全のため、新しい芽の成長を促すために、古い葦を焼き払ったのでしょう。焦げつつも焼け残った葦に、清らかな白鷺が舞い降ります。ここから始まる水辺の再生に、初夏の光がみずみずしく寄せてきます。水は流れ、風は吹き、命は巡ります。

    (監修:神野)

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  • 白鷺の冠羽そよそよ 夕棚田

    2026.05.15 放送

    作者:櫻 栄二(愛南町)

    夏の繁殖期にかけて、白鷺はその後頭部から、長くて細い飾り羽を伸ばします。その冠羽が、夕陽を受けて、そよそよと風にそよいでいます。棚田の高低差に、風もおのずと立体的に吹くでしょう。夕風のやさしさに、里山の風景が、しっとりと暮れてゆきます。

    (監修:神野)

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  • 白鷺と 目のあふ 友の忌日かな

    2026.05.14 放送

    作者:茂木りん(東京)

    田んぼや川岸を通りがかったとき、そこに佇んでいた白鷺と、ふと目が合いました。そういえば、今日は亡くなった友人の忌日です。もしかして、今は白鷺になって、この世界に生まれ直してきたのかも。こちらを見てくる白鷺に、どこか友人のような親しさを感じ、めぐる命を思います。

    (監修:神野)

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  • 全身が喉や 魚呑む白鷺は

    2026.05.13 放送

    作者:ノセミコ(神奈川)

    水辺にいる白鷺は、魚をつかまえて丸のみにします。呑みこむときの白鷺は、まるで全身が喉になっているみたいだと、大胆にとらえました。生き延びるために、食べることは不可欠です。体をいっぱいに使って、魚に全集中。その白鷺の迫力に、圧倒されるひとときです。

    (監修:神野)

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  • 八百万の 神々の湯屋 白鷺来

    2026.05.12 放送

    作者:奈良香里(松山)

    白鷺は、道後温泉のシンボルです。はるか昔、すねに傷を負った白鷺が道後の湯に足を浸すと、傷が治って飛び立ったという伝説があります。また、道後温泉は、アニメ『千と千尋の神隠し』の湯屋のモデルともいわれます。神々が疲れを癒す湯屋へ、白鷺もにぎやかに訪れます。

    (監修:神野)

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  • 川一本 白鷺一羽 我一人

    2026.05.11 放送

    作者:野々村澄夫(東京)

    俳句では、サギ科の白い鳥を総称して「白鷺」と呼び、夏の季語に分類しています。田んぼや水辺にすっくと立つ姿は、清らかで涼しげです。この句では、対句のかたちをとって、川と白鷺と私を対峙させました。その大胆な構成によって、それぞれの存在感が、強く引き立っています。

    (監修:神野)

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  • そら豆は まことに青き 味したり

    2026.05.08 放送

    作者:細見綾子

    「空豆」は、莢を空に向けてつけるので、この名がついたと言われています。莢の中は三から四個の扁平で緑色の豆が並んでいます。空豆といえば、たちまちこの俳句を思い出します。大きな一粒の豆を口にして「青き味」と表現し、新鮮な空豆の味をもたらしました。莢を剥くときの空気まで、青く染まるようです。

    (監修:谷)

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  • 潮干狩 ふいにみんなが 遠くなり

    2026.05.07 放送

    作者:内田美紗

    四月から五月にかけては、潮干狩りの季節。古くから、春の一日を戸外で飲食する習わしがあって、潮干狩りもそれに沿う行楽の行事です。干潟で、浅蜊、蛤、馬刀貝などの貝を掘ります。潮の引いた砂の中に、春の生物たちがうごめきます。夢中で掘り続けて、ふと顔をあげたら、みんなもう磯の遠くに。明るい波音だけが耳に響きます。

    (監修:谷)

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  • 草臥て 宿かる比や 藤の花

    2026.05.06 放送

    作者:松尾芭蕉

    「藤の花」は日本原産で山や野に自生しますが、庭や公園に藤棚を作って観賞されます。旅のある日の、夕暮れ時。一日歩き疲れて、何処かに宿がないかなあと、辺りを見ていると、藤の花が目に入りました。藤の明るさに、ひととき疲れを忘れたでしょうか。芭蕉の時代から四百年。現在宿は周到に予約しての旅行が多いようです。

    (監修:谷)

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  • 泣くあとの 髪かきやるも 端午かな

    2026.05.05 放送

    作者:筑紫磐井

    今日は端午の節句、男の子の成長を祝う日です。五月五日と五が重なるので、重五ともいいます。三月三日の桃の花に対して、邪気を払う菖蒲を飾ります。逞しく育って欲しい男の子も、ぐずったり拗ねて泣いたり。我慢せよ、とは叱咤せず髪をなでてやります。大人がそうしたように、きっとやさしい男子に成長するでしょう。

    (監修:谷)

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  • 人待てる 椅子やはらかに 暮春かな

    2026.05.01 放送

    作者:林田紀音夫

    「暮春」は、春の終わりのことです。「暮の春」とも言い、春が去っていく寂しさが漂います。ぽつんと置かれている椅子か、あるいは劇場などの空席でしょうか。椅子は人を待っている、と改めて認識させてくれます。華やかだった春の名残のように、空っぽの椅子が照らされます。柔らかいのは椅子でもあるし、暮春でもあります。

    (監修:谷)

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テレビ愛媛ではみなさまから
俳句を募集しています!

7月のお題は
「涼し(すずし)」 です

応募フォーム、メールアドレス、ハガキの中からご応募ください。メールアドレス、ハガキでのご応募は、お題を含む俳句(ふりがな)・氏名(ふりがな)・住所・電話番号・メールアドレスを記載してお送りください。一人何句でも応募可能です。選ばれた俳句は、EBC Live News「きょうの俳句」コーナーでの放送のほか、テレビ愛媛のホームページ等で紹介します。作者の氏名(ペンネームの場合はペンネーム)、お住いの市町名(ジュニアの場合は学校名)も紹介されます。
(採用された方には放送日を事前に連絡し、記念品を贈らせていただきます。)
※俳句の募集は、毎月第2月曜日、午後6時から開始します。

応募規約

・応募作品は未発表で、ご自身の作品(著作権がご自身にある作品)に限ります。
・他人の作品に著しく類似、または他人の作品の盗用など、第三者の権利を侵害する可能性があると判断した場合は、応募の対象外とします。
・テレビ愛媛は応募作品による権利の侵害等に対し、一切の責任を負いません。

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