2025.10.31 放送
通草は十センチほどの紫色の実で、熟すと実が裂け、白い果肉と黒い種が見えてきます、山道で見つけて採ってきたものか。それともスーパで見つけたのか。どことなく神秘な通草の実ですが、それにしても「おはします」の尊敬語に思わず笑います。冷蔵庫に鎮座している通草は、ちょっと居心地悪いかも。
(監修:谷)
2025.10.30 放送
秋の果実は、豊かです。葡萄、柿、無花果、そして、梨。梨は古くから日本の秋果として親しまれてきました。品種もいろいろ。水分が多く甘みもあります。夫が梨を剥いて、二階にいる妻を呼びます。大きな梨だったのでしょう。わざわざ呼ぶのがやさしいです。剥いだばかりの、噛めば果汁がほとばしりそうな梨。この夫婦も瑞々しく感じます。
(監修:谷)
2025.10.29 放送
野菊は、野生の菊の総称です。特にノギクという名前の植物はなく、野路菊、油菊、野紺菊などが含まれます。秋を代表する可憐な花、野菊。頂上に登ってみると、他に際立って風に吹かれている。そよぐ野菊にひと際心が和みます。私たちも頂上に立って、野菊と一緒に風に吹かれている感覚になります。
(監修:谷)
2025.10.28 放送
会話がそのまま一句になったような俳句です。「余談だが」と前置きをして、進んでいた本題を逸らします。まさか柿の話とは思わず、相手はぽかんとしていそう。でも、この人にとっては、日に日に赤くなっていく隣の家の柿が気になっていたのです。今年も、お裾分けが楽しみなのでしょう。余談は、ふっと場を和ますものかもしれません。
(監修:谷)
2025.10.27 放送
新米は今年収穫した米のことで、新米に対して去年の米を古米、一昨年のものは古古米と言います。今まさに、新米が出回ってきています。高騰が悩ましいながら、じっとしていられません。炊き上げた時の、あのふっくらと眩しい色艶を味わいたいから。農家の人がきれいに結んだ紙の袋の張り。肩に担いだ重量感は、新米を頂く喜びそのものです。
(監修:谷)
2025.10.24 放送
勉強でしょうか、仕事の作業でしょうか。ついさっきまでペンを握って、熱心に頑張っていたのでしょう。夜食に添えられたフォークが指に触れるとき、フォークのひんやりとした温度が、ペンだこの帯びた熱を物語ります。フル回転させていた脳も休ませて、しっかり栄養がとれますように。
(監修:神野)
2025.10.23 放送
パソコンでの作業中、夜食をとることにしました。キーボードを奥へずらし、パソコンの前を少し空けて、夜食を置くスペースを作ります。簡易的なスタイルが、いかにも夜食らしい気軽さです。食べ終わったら、キーボードを引っ張り出して、もうひと仕事。現代の日常をさらりと切り取りました。
(監修:神野)
2025.10.22 放送
ドラマや映画のロケでしょうか。夜空に月のあるシーンを撮影するために、月が出てくるのを待っています。まだもう少しかかりそうだから、この時間に腹ごしらえを。夜食としてカップ麺を啜り、本番に備えます。この場面自体が、まるで映像作品のワンシーンのようにドラマチックです。
(監修:神野)
2025.10.21 放送
仕事で遠出していたのでしょう。夜の高速道路を運転中、おなかが空いてきたので、ドライブインで夜食をとろうと急ぎます。家でとる夜食もあれば、ドライブインに駆けこむ夜食もあります。とある夜食の一場面が、さまざまな暮らしのあることに気付かせてくれます。
(監修:神野)
2025.10.20 放送
寮で暮らす生徒たちのお世話をする仕事なのでしょう。夕食のあと、夜練や勉強に励む寮生のために、夜食を用意します。それにしても、おにぎりを五十個とは、たいへんな量です。ひとつひとつ、気持ちをこめて握ります。おなかを満たして、しっかり眠って、明日も頑張れ!
(監修:神野)
2025.10.17 放送
どんな仕事にも、夜食の場面は訪れます。ベタ塗りとは、漫画の描き方のひとつで、ある範囲内を一色で塗りつぶす作業です。締め切りに追われる漫画家が、手伝ってくれている助手と、休憩がてら夜食をとります。宅配でも頼んだのでしょうか。腹の虫をなだめたら、まだもう少し、夜は続きます。
(監修:神野)
2025.10.16 放送
音楽を聴きながら作業を進めていましたが、プレイリストも尽きて、かける曲ももうありません。音楽がやむと、夜食を食べる自分の咀嚼音が、妙に空間に響きます。夜の底に取り残されたような孤独感が、しみじみと秋を深めます。今日はこのへんにして、ゆっくり眠るのも、ときには大切かもしれません。
(監修:神野)
2025.10.15 放送
いよいよ明日が舞台の初日です。劇団員たちは前日の夜まで、熱心に稽古を重ねます。さあ、おなかも空いてきたので、そろそろ休憩。円陣を作って丸く座って、互いの顔を見ながら夜食をとります。お芝居の一場面のようにドラマチックな夜食です。心を通わせ、しっかり体も整えて、明日の本番を迎えます。
(監修:神野)
2025.10.14 放送
作業をひと段落させ、夜食にお粥を作ります。あたたかなお粥が嬉しいくらい、夜もひんやりしてきました。体にも優しいお粥は、疲れた自分を癒してくれます。ふと見れば、飼っているハムスターが、せわしなく動いています。生きているものがそばにいるぬくもりが、心をやわらかくほぐしてくれます。
(監修:神野)
2025.10.13 放送
夕食のあと、もうひと仕事して、夜更けにとる食事が「夜食」です。秋は日が暮れるのが早くなり、夜も長いので、どうしてもおなかが空きます。この句は仕事中、車を停めてとる夜食でしょう。カップラーメンなど簡単なものを買い、運転席で簡単に済ませます。カーラジオの時報が、夜の深まりを知らせます。
(監修:神野)
2025.10.10 放送
団栗は、普通櫟の実を言います。秋の森林にはよく似た木の実が沢山落ちていて、一般にはそれらを団栗と呼んでいます。「団栗の背くらべ」とか、「団栗眼」など、団栗は案外生活に溶け込んでいます。路上の団栗が、頭を寄せ合って会議をしているように見えました。思わず駆け寄りたい気持ちが「参加希望」なのです。
(監修:谷)
2025.10.09 放送
秋の草に咲く花を「草の花」と言います。名のある草の花も、名もない野草の花も込めます。今日の句の草の花は、名もない方の雑草の花のような気がします。その中には、ひとつ必ず雨の色をして咲く花があると言っています。雨の色ってどんな色?と、思わせるところが、とても詩的です。可憐なような儚いような。
(監修:谷)
2025.10.08 放送
季語「小鳥来る」は、秋に渡って来る小鳥や山から平地に降りて来る小鳥が、庭やベランダまでやってくることをいいます。内ポケットに入れていたのか、マナーモードにしていた携帯がブルブルと震え出しました。目の前には小鳥が降り立ちました。着信が、この小鳥のように幸福なメッセージでありますように。
(監修:谷)
2025.10.07 放送
西日本最高峰の愛媛の山、石鎚山がそろそろ紅葉の時期を迎えます。遠くで見ても石鎚はそれとわかります。胸が広々となる気がします。作者波郷も、生まれ故郷の愛媛を離れてなお、石鎚は母の姿とともに心の奥に消えることはなかったようです。病を得て帰省がままならず、幾度秋が過ぎてしまったことか。彼の絶唱の一句です。
(監修:谷)
2025.10.06 放送
作者尾崎放哉は、山頭火と並んで自由律俳句の代表的俳人です。五-七・五調の定型俳句に対して、自由なリズムで表現しました。今日は仲秋の名月。思わず声を上げたような、今日の句のような月が出たらいいなあと思います。素直で心のままに出た言葉のようですが、最後の「窓」がリズムを生んでいます。四角い窓枠に丸い月が絵のようです。
(監修:谷)
2025.10.03 放送
稲や穀物がよく稔る秋のことを「豊の秋」といいます。嬉しくゆたかな気分でいると、これから調理する生海老の尾のいろどりも、ことさら輝いて見えます。七色は、虹の色。華やかな色彩に、豊作の喜びがあふれます。海老の尾をよく観察した把握を、暮らしのめぐりの中に、おおらかに取り込みました。
(監修:神野)
2025.10.02 放送
旅先での目覚めは、どこかまだ眠りの夢の中にいるようにふわふわとした気分だと、感覚的に詠みました。生活から切り離された旅の時間は、たしかに現実離れした不思議な浮遊感があります。夢なのかうつつなのか、ぼんやりとした意識のままに、風に揺れるコスモスを眺めます。
(監修:神野)
2025.10.01 放送
山に分け入ると、樹齢を重ねた樹々の根が太々と斜面を這っています。その木の根に沿って、茸がいくつも生えていました。霊峰とは、古来、その土地で信仰の対象とされてきた山です。そこに生える茸も、静かに冷える山の空気の中で、どこか神聖な気配を漂わせます。
(監修:神野)
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