2021年4月の俳句

  • 地球人 みなマスクして 春暮るる

    2021.04.30 放送

    作者:亀井雉子男

    この句の季語は「春暮るる」。「暮の春」「暮春」ともいい、春の終わりと春の夕暮れの両方の意味のある言葉です。春という季節の終わりを最も感じるのは、日暮れ時なのかもしれません。春も終わろうという季節になりましたが、コロナ禍は収束しそうもありません。敢えて「地球人」という言葉を用いて、世界中がマスク姿で送ろうとしている今年の春を詠んだ一句です。

    (監修:池内)

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  • 昭和の日 昭和生まれの 身なりけり

    2021.04.29 放送

    作者:山崎ひさを

    きょう四月二十九日は「昭和の日」。昭和天皇のお生まれになった日にあたり、昭和の時代を顧みる国民の祝日です。64年まで続いた昭和時代は、一つの元号として最も長く続いた時代でもありました。作者は昭和2年生まれで、昭和のほぼ全期間を体験して来られた方。昭和の日にあたり、ご自身の人生と重ね合わせながら、長かった昭和時代を偲んでいます。

    (監修:池内)

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  • しあはせは 生きてゐること 緑立つ

    2021.04.28 放送

    作者:西山常好

    晩春のころ、松の枝先にはまるで蠟燭を立てたように、長い新芽が伸びます。「若緑」「松の芯」あるいは「緑立つ」といいます。十数センチもある松の芯が天へぬきん出る姿には、若々しい生命力が感じられます。松には多くの種類がありますが、特に黒松は天を指すように伸びる芯がすがすがしい印象です。今年もまた緑立つ季節を迎え、作者はつくづく生きていることの幸せを感じています。

    (監修:池内)

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  • さびしさは 散る花よりも 残る花

    2021.04.27 放送

    作者:黛 執

    この句の季語は「残る花」。春も終りのころ、散り残った桜の花のことで、「残花」あるいは「名残の花」ともいいます。花の散り終った枝には無数の紅色の蘂がのこり、若葉が萌え始めた中に、一輪、二輪と残っている花には、季節に取り残された淋しさが感じられます。作者は、昨年10月、90歳で亡くなられました。

    (監修:池内)

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  • 闇の香を 藤の匂ひと 知りにけり

    2021.04.26 放送

    作者:武藤紀子

    野や山に自生しているほか、古くから観賞用に藤棚を作って栽培されているのが「藤」。四月から五月ごろ、紫色の房のような姿の花を咲かせる藤は、日本の晩春を優雅に彩る花といえるでしょう。藤の房が風に揺れる風情を表す「藤浪」という季語もあります。この句は夜も咲き続ける藤の花。闇の奥から漂ってくる香りによって、作者は藤を観賞しています。

    (監修:池内)

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  • すかんぽに 大きくなりて 入る日かな

    2021.04.23 放送

    作者:大峯あきら

    すかんぽは、春の野山に生えるタデ科の植物です。葉や茎を齧ると酸っぱいので、子どもたちは遊びや遠足の途中、よくすかんぽを齧りました。伸びるすかんぽの向こうに、春の夕日が今、沈もうとしています。小さなすかんぽが遠近感を出し、重なりゆく入日を、より大きくゆたかに見せています。

    (監修:神野)

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  • フランスパンに こはごは乗つて 子猫かな

    2021.04.22 放送

    作者:大木あまり

    春は猫の恋の季節、生まれた子猫も春の季語です。見るものすべてが珍しい子猫にとっては、フランスパンもはじめて出会う存在です。この細長い棒は何なのか、まずはこわごわと、その上に乗ってみました。真剣な表情も可愛らしいですね。子猫の視点を通して、日常のあれこれが、新しく輝きはじめます。

    (監修:神野)

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  • ラレレラと 水田の蛙 鳴き交す

    2021.04.21 放送

    作者:山口誓子

    春は田んぼの再生の季節です。土を耕し水を張り、新しい収穫へ準備を整えます。水が入った田んぼは栄養豊富なので、生き物たちのオアシスです。春の季語「蛙」も、水田を泳ぎ、のびのびと鳴き交わします。蛙の声を表した「ラレレラ」という独特の表現に、春の水や風のなめらかな感触を思います。

    (監修:神野)

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  • 湖山まだ 冷えをはなさず 種下し

    2021.04.20 放送

    作者:鷲谷七菜子

    一年を二十四の季節に分けた二十四節気、今日から「穀雨」です。大地をうるおす暖かい雨が降る頃で、穀物の種をまき苗を植えます。種下ろしとは、田植えの準備のために、籾種を苗代にまく作業です。春が来たとはいえ、湖の水辺や山のふもとは、まだひんやりとしています。種下ろしの頃の空気感が、大きな風景に広がる一句です。

    (監修:神野)

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  • カフェラテの泡 風に散り 新社員

    2021.04.19 放送

    作者:辻内京子

    新年度に入社した新社員も、春の季語です。仕事の休憩時間でしょうか。店でカフェラテを注文した折、少し強い春風が吹き、表面の泡がふっと散りました。社会の厳しさに揉まれるからこそ、カフェラテの甘みを求めたのかも。新社員のみなさん、緊張の多い日々ですが、ときには好きな飲み物でリフレッシュして、肩の力を抜いてゆけますように。

    (監修:神野)

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  • ぶらんこや ひつこし荷物 積みし後

    2021.04.16 放送

    作者:砂山恵子(西条市)

    年度がわりの引越しでしょう。荷物を積み終えたので、あとは体を運ぶだけ。この町を去る前に、なじみの公園に立ち寄り、ぶらんこに座ります。住み慣れた町も、今日で最後。思い出を振り返りつつ、しばしぼんやりと、余白の時を過ごします。具体的な場面の描写で、ぶらんこの郷愁を、ゆたかに引き出しました。

    (監修:神野)

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  • 夜のぶらんこ 揺らしただけの 二人かな

    2021.04.15 放送

    作者:西原真樹(新居浜市)

    ほのかな恋の場面でしょう。夜の公園に来て、ベンチ代わりにぶらんこに座った二人。町の灯を見つめて、ただそれだけで、別れて家路につきました。どちらかが踏み込んで思いを打ち明けたなら、二人の未来はつながったのかもしれません。誰もいなくなった公園で、ぶらんこは静かに、風に揺れています。

    (監修:神野)

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  • 地震より十年 ぶらんこを 漕いでみる

    2021.04.14 放送

    作者:桑島幹(千葉県)

    東日本大震災から十年、人はそれぞれに傷を負い、失ったものを思いながら生きてきました。ぶらんこを漕ぐ心のうちに、どんな悲しみがあるのかは書かれていません。ぶらんこの揺れが地震の揺れを思い出させるのでしょうか。楽しい遊具だからこそ、近寄れなかったのかもしれません。あくまで通過点である十年の、ある日の記憶として、静かに漂う一句です。

    (監修:神野)

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  • ふらここを 鳩擦り抜ける 夕ごころ

    2021.04.13 放送

    作者:岩渕晃三(松山市)

    ふらこことはぶらんこの別名です。夕方、子どもたちが帰路につき、日が暮れ切る前、がらんとした公園に、ぶらんこが残されています。そのとき、さっと、鳩がぶらんこの鎖くさりをすり抜けていきました。日常の片隅に存在する、さりげない瞬間。今日の終わってゆく夕暮れの、そこはかとないさみしさが香ります。

    (監修:神野)

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  • ぶらんこの 兄を目で追う 乳母車

    2021.04.12 放送

    作者:河本俊子(松山市)

    公園で見かけるぶらんこも、実は春の季語です。うららかな風の中、ぶらんこを漕ぐ子どもたちの姿は、いかにも明るく春らしく感じます。この句も、幼い兄弟でしょう。乳母車の赤ちゃんが、ぶらんこを漕ぐお兄さんの姿を、反射的に目で追います。赤ちゃんの視界を通して、揺れるぶらんこの動きが、よく見えてくる一句です。

    (監修:神野)

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  • このごろの 墓は明るき 金盞花

    2021.04.09 放送

    作者:加藤かな文

    「金盞花」はキク科の一年草で、南ヨーロッパ原産です。花の形が金色の盞に似ているところからの呼び名ですが、四月ごろから数か月も咲き続けるため、常春花・長春花・ときしらずとも呼ばれます。高さ30センチほどの茎に一つずつ咲く金盞花は、仏前に供える花としてもなじみ深いもの。ふんだんに金盞花の供えられたお墓は、いつもより明るく感じられます。

    (監修:池内)

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  • ウイルスの はびこる濁世 しゃぼん玉

    2021.04.07 放送

    作者:戸恒東人

    ストローの先に石鹼水をつけて吹くと、七色の「しゃぼん玉」が次々と空中に舞い上がります。春風に乗って舞う眺めを愛でて、春の季語となっています。しゃぼんは、ポルトガル語で石鹼をいうサボーからの言葉です。コロナウイルスの蔓延するこの世界を、思い切り吹き飛ばすしゃぼん玉で洗い流したい。そんな思いの感じられる一句です。

    (監修:池内)

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  • てふてふに なりたさうなる 豆の花

    2021.04.06 放送

    作者:奥名春江

    本来は豆類の花すべてを指す言葉ですが、俳句でいう「豆の花」は蚕豆の花のことです。蚕豆は豌豆とともに世界で最も古い栽培植物の一つで、日本に伝わったのは奈良時代といわれています。四月ごろに咲く豌豆の花は、白や薄紫の花弁に濃い紫色の斑点があり、蝶が羽を広げたような形をしています。まさに、今にも蝶々になって飛んで行きそうな姿です。

    (監修:池内)

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  • 消毒の手繋ぎ帰る 花明り

    2021.04.05 放送

    作者:相子智恵

    俳句では「花」といえば桜の花のこと。桜は春の花の代表でもあるのです。また花の雨、花の宿、花吹雪など、桜の花にまつわる季語は、どれも美しいもの。「花明り」もその一つで、桜が満開で闇の中でもあたりがほんのりと明るいことです。新型コロナでゆっくりとお花見もできないこの春、アルコール消毒した手を繋いで、花明りの下を家路につく仲良しカップルの姿でしょうか。

    (監修:池内)

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  • 躾糸抜いて 落花に加はりぬ

    2021.04.02 放送

    作者:柿本多映

    新しい衣服の躾糸をすうっと抜いて、桜を見に行くために、袖を通します。落花とは、桜の花びらがひらひらと散ることです。花びらもまた、躾糸を抜くように、時がくれば木を離れ、ひととき自由に空を舞うのです。私も、躾糸から解放された裾を風にあそばせ、花びらの一つのように軽やかに、桜の下へ向かいます。

    (監修:神野)

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  • 部屋ごとに 時の違へる 万愚節

    2021.04.01 放送

    作者:金久美智子

    今日はエイプリルフールです。暦の節になぞらえた漢語的な表現として、万愚節ともいわれます。それぞれの部屋の時計が少しずつずれ、別々の時間を指し示しているのでしょう。万愚節によって、時計たちも嘘をついているかのように思えてきます。さて、本当の時間を教えているのは、どの時計でしょうか。

    (監修:神野)

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テレビ愛媛ではみなさまから
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7月のお題「風鈴」の
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応募フォーム、メールアドレス、ハガキの中からご応募ください。メールアドレス、ハガキでのご応募は、お題を含む俳句(ふりがな)・氏名(ふりがな)・住所・電話番号・メールアドレスを記載してお送りください。一人何句でも応募可能です。選ばれた俳句は、EBC Live News「きょうの俳句」コーナーでの放送のほか、テレビ愛媛のホームページ等で紹介します。作者の氏名(ペンネームの場合はペンネーム)、お住いの市町名(ジュニアの場合は学校名)も紹介されます。
(採用された方には放送日を事前に連絡し、記念品を贈らせていただきます。)
※俳句の募集は、毎月第2月曜日、午後6時から開始します。

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・応募作品は未発表で、ご自身の作品(著作権がご自身にある作品)に限ります。
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