2025.01.31 放送
冬の暖かい日には、枯草の中にも緑の芽を見出すことがあります。これを「冬萌」と言います。寒さに耐えて芽吹いた草を見つけると、なんだか感動します。散歩途中でしょうか。この老人も、足元に春を告げる小さな命をみとめて、胸を熱くしたのです。自分はもう目の前の五尺の溝も跳び越えることが出来ないのだ、と自嘲しながら。
(監修:谷)
2025.01.30 放送
蜜柑は小粒が美味しいといわれます。でも小粒はきれいに剥くのが難しい。まずは丁寧に剥こうとしますが、次にはもうちぎれてしまう。そうなると食べたい気持ちが勝って、皮の形はバラバラ。でも今日の蜜柑は、特別です。蜜柑王国・愛媛の蜜柑なのだから、花が咲いたようにきれいに剥くこと!と言って手渡されたのです。さて。
(監修:谷)
2025.01.29 放送
「書の小口」は、本の背表紙の反対側の開く部分。製本の工程で断面がまっすぐに見えるようにきれいに裁断されています。机の上に、愛読書を重ねているのでしょう。小口が同じ向きになるように、きちんと揃えて。その佇まいは、春を待つ心そのもののような気がします。作者・浪化は江戸中期の僧であり、芭蕉門の俳人でした。
(監修:谷)
2025.01.28 放送
「ずーっとなし」に、思わず笑って、そしてしんみりと身につまされます。誰しも一度ならずある経験だと思われます。外した手袋をしっかり重ねて持っているつもりなのですが、ポケットや鞄から出すと片方だけになっているのには、がっかりです。諦めきれない一方が、未練のようにもう片方をずーっと待っています。
(監修:谷)
2025.01.27 放送
一月五日頃から立春の前日までの三十日間が「寒の内」または「寒中」です。その厳しい寒さの中に見かける烏を寒鴉といいます。食物の乏しい時期、畑に降り立つ鴉。まるで己の影に向かって降りたように影とひとつになり、羽根がゆっくりたたまれます。蕭条として、孤独の極まった景色です。昭和二年、作者が二十四歳の時の作品です。
(監修:谷)
2025.01.24 放送
秒針という言葉には「針」という字が入っています。それを踏まえて、時計の秒針はまるで時間を縫う針のようだとなぞらえました。縫うという作業の丁寧さが、刻々と秒針の刻む一秒一秒を、なめらかに感じさせてくれます。時計をちらりと見て、そろそろ日向ぼこもおしまい。よっこらしょ、と日常へ戻ります。
(監修:神野)
2025.01.23 放送
日向ぼこをしながら詩を書いているのでしょう。書きとめたフレーズを読み直し、より自分の感覚に合う言葉に推敲します。その作業を「調温」と表現したのが、まさに詩ですね。日向ぼこの優しいぬくもりのように、言葉の温度を一定に整え、感覚を生かしてまとめます。ゆたかな日向ぼこのひとときです。
(監修:神野)
2025.01.22 放送
ぼーっとしている日向ぼこの時間は、少し退屈です。手すさびのおもちゃにルービックキューブをいじっているのでしょう。使い古しているので摩耗して、色も褪せて見えます。同じく、この部屋も庭も少しずつ擦り減って、日差しに静かに光っています。穏やかな日々の中にも、時間は確実に過ぎているのです。
(監修:神野)
2025.01.21 放送
あたたかい日だまりでのんびりする時間は、まさに平和の象徴です。一方、世界では今も戦火が上がり、銃を向けられる恐怖におびえる暮らしがあります。もし、世界中のすべての人が武器を置いて、いっせいに日向ぼこをしたら、戦争は終わるでしょうか。一つしかない地球に生きる同士として、手を取り合い、平和に暮らせる日が来ることを願います。
(監修:神野)
2025.01.20 放送
シーズーは毛の長い小型犬で、ペットとしても人気です。冬のあたたかい一日、日だまりでトリミングしているのでしょう。顔まわりをカットして、体もさっぱりさせて、お尻のあたりも刈りこみます。あられもない姿をさらしつつ日差しに目を細めるシーズーも、日向ぼこのぬくもりをきっと知っています。
(監修:神野)
2025.01.17 放送
飯桐の木は、その赤い実が南天に似ていることから、南天桐とも呼ばれます。秋の終わりに葉が落ちると、房をなす実の赤さが、冬の青空によく映えます。日向ぼこをしながら、背の高い飯桐の、その枝にぶら下がる実を仰ぎます。自然の風景を静かに切り取ったことで、冬の日向の穏やかさが再現されました。
(監修:神野)
2025.01.16 放送
日向ぼこをするのは、人間だけではありません。動物たちも、冬の寒さの中で、太陽を喜びます。生まれたばかりのひよこも、ひだまりに羽根を広げて、日差しをたっぷり浴びようとしています。上手に両方の羽根が広げられないところも、ひよこの幼さが感じられ、いとけない命への愛おしさが湧いてきます。
(監修:神野)
2025.01.15 放送
ぼーっと日向ぼこをしながら、ふだんの仕事のことをふと思い出しています。年齢や経験を重ね、管理職になったのですが、部下を育て人を繋ぐ役割は、なかなか大変です。自分には向いていないのかもしれないと、本音をぽつりとつぶやきました。冬の日差しが、励ますように、あたたかくやさしく充ちています。
(監修:神野)
2025.01.14 放送
宇和海をのぞむ見晴らしのよいところで、日向ぼこをしているのでしょう。海には真珠筏が並び、冬の日差しに輝いています。湾を眩しく輝かせる日差しが、日向ぼこのぬくもりを、じんわりと伝えてくれます。この海に育つ真珠も、やさしい光を宿しているでしょう。愛媛ならではの穏やかな風景です。
(監修:神野)
2025.01.13 放送
寒い冬には、太陽がことさら嬉しいものです。縁側やベンチなどで日差しを浴びてゆったり過ごすことを「日向ぼこ」と言います。日だまりは比較的暖かいとはいえ、冬は冬。チョコレートドリンクを温め、マグカップになみなみと入れて、溢さないよう運びます。カップを包む手も、じんわりと温もるひとときです。
(監修:神野)
2025.01.10 放送
おでん屋で飲むお酒が「おでん酒」です。常連客の中に、寒い中を飛び込んできた一見さんも交っているのでしょう。狭い店内に、煮込んだおでんのいい匂いが充満しています。ぶつかる肘と肘に、一期一会を感じる余裕がいいなあと思います。そこに居合わせた人たちの連帯感さえ感じられて、暖簾をくぐってみたいおでん屋の風景です。
(監修:谷)
2025.01.09 放送
新年に初めて開く句会を「初句会」といいます。改めて催すこともありますが、一月の定例句会を、そう呼ぶことが多いようです。新年に顔を合わせて出来る喜びに、いつもと違う華やぎがあります。まるで種を蒔くように、句の書かれた短冊を机に並べていくのです。新しい言葉、新しい俳句がここから育ちますように、と。
(監修:谷)
2025.01.08 放送
季語「寒さ」は、身体に感じる冬の厳しい寒さと、心理的な寒さも表します。今日の句は、後者でしょう。日常の慌ただしさの中で、じっくり鏡に見入ることはそうありません。そんな中、ふっと映った顔に、自分の中に潜む別の人格を見てしまったような気配です。季語「寒さ」が、うすら寒い怖さを映し出します。
(監修:谷)
2025.01.07 放送
山里か、あるいはひと昔前の懐かしい風景です。場面が童話のように描かれています。姉が川べりの芹や薺を摘んでいくのを、まだ小さい弟が籠を持ってついて行く。だんだん籠も重くなるでしょうか。今日は「七種」。芹、薺、御形、はこべらなど七種の若菜を入れた粥を食べて、無病息災を願います。今では、スーパーなどで用意してくれたパックが便利ですね。
(監修:谷)
2025.01.06 放送
新年に初めて仕事に携わるのが「仕事始」です。昨今は、一日から始まっている人も多いかも知れません。一般企業や官公庁では、今日が仕事始め。今年は休みが長かったので、顔合わせがちょっと照れくさいかも。以前は、挨拶回りで人に会うばかりの仕事始めだったのですが、そうもいかず、すぐに仕事に取り掛からなくては。
(監修:谷)
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