2022年12月の俳句

  • 星空は 水にうつらず 年のくれ

    2022.12.26 放送

    作者:澤好摩

    今年も、残すところ、あとわずかとなりました。冬至を過ぎたとはいえ、暮れるのもまだまだ早く、水は暗く静かに、夜へと沈みます。それでも、顔を上げれば星空が。去りゆく年は忘却の彼方へ消えますが、今ここに輝く星の光が、ささやかに未来を照らしてくれるはずです。どうかみなさん、よいお年を。

    (監修:神野)

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  • 歳晩や フランベの火に ひと家族

    2022.12.23 放送

    作者:竹本桂子(久万高原)

    フランベとは調理方法のひとつです。ラム酒やブランデーなどのお酒を降りかけ、強火で一気にアルコール分を飛ばします。一年の締めくくりに、家族でフランス料理を食べているのでしょうか。鍋に立ち上がるあざやかな炎に、互いの顔が照らされます。ともに年を越せる喜びを、静かに噛み締めるひとときです。

    (監修:神野)

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  • 年の暮 こけしの木屑 はらふ息

    2022.12.22 放送

    作者:主藤充子(滋賀)

    年の暮には、今年を無事に終えるための片付けや、新年を迎える準備が、目白押しです。そんな中、こけしを彫る場面に着目しました。木で出来たこけしの肌も、木屑を払うために吹きかける息も、命のあたたかみを感じさせます。お正月には、鏡餅と一緒に、完成したこけしも、飾られるのかもしれませんね。

    (監修:神野)

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  • 湯治場の 昼湯を一人 年の暮

    2022.12.21 放送

    作者:酒井じゆん太(新居浜)

    世間に暮らせば慌ただしい年の暮も、ひとり湯治場で迎えれば、こんなに静か。昼もゆっくり温泉に浸かって、一年の疲れを癒やします。湯治場の、余計なものを置かないシンプルなありように、心もすっきり整いそうです。みなさんは今年、どんな場所で、年の暮を過ごしますか。

    (監修:神野)

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  • 年の暮 ピアノの上に イヤリング

    2022.12.20 放送

    作者:石塚彩楓(埼玉)

    ピアノの上に、イヤリングが置かれています。弾いた人が落としていったのか、弾く前に外したのか……。クリスマスの歌や第九など、年の暮にはピアノを弾く機会も多いですね。奏でられていた華やかなしらべの名残りとして、イヤリングがきらりと光ります。

    (監修:神野)

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  • おしぼりの 白の眩しき 年の暮

    2022.12.19 放送

    作者:いかちゃん(神奈川)

    忘年会の飲食店か、ふだんの食堂か、出されたおしぼりの白さを、眩しいと感じました。冬になって日差しも弱くなったから、おしぼりの白い光も、ことさら新鮮に感じたのでしょう。年の暮の忙しい時期だからこそ、日常のささやかな光に目をとめたいものですね。

    (監修:神野)

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  • 重箱の 螺鈿のきらよ 年の暮

    2022.12.16 放送

    作者:三好眞喜子(松山)

    漆面にきらめく貝殻がはめ込まれた、美しい螺鈿の重箱。忘年会やおせち料理に使うために出してきたのでしょうか。「よ」と呼びかけたことで、螺鈿のきらめきが強調されました。押し迫る年の暮にほどよい緊張感を与えつつ、年を跨ぐ華やかさも生まれています。

    (監修:神野)

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  • 歳晩の 紙片ふぶける シュレッダー

    2022.12.15 放送

    作者:おきいふ(香川)

    一年の終わり、年の暮のことを「歳晩」ともいいます。年末を迎えた仕事での一場面でしょう。整理された書類をシュレッダーにかければ、裁断された紙は、いきおいよく吐き出されます。今年のさまざまな記憶も、ふぶく紙片のように、ばらばらに過去へと飛んでいきます。忙しい歳晩の実感を、身近な機械を通して表現しました。

    (監修:神野)

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  • をちこちの 監視カメラや 年の暮

    2022.12.14 放送

    作者:POTU(松山)

    現代は監視社会とも言われ、街のそこかしこに監視カメラが設置されています。年の暮の街中を歩けば、きっと私も、あちこちの監視カメラに映りこんでいるのでしょう。賑やかな街の、ひんやりとした裏側を垣間見る瞬間。どうか、不穏な出来事が映りこむことなく、みんな穏やかに、新年を迎えられますように。

    (監修:神野)

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  • 賑やかに 年の暮れ掃く ルンバかな

    2022.12.13 放送

    作者:阿部八富利(東京)

    ルンバは、自動で床を掃除するロボット掃除機です。実際に動かしてみると、やはり掃除機ですから、それなりに賑やか。でも、うるさいと言わず「賑やか」と言いなすことで、ルンバの頑張りを楽しむ気持ちが生まれます。大掃除を手伝うルンバに感謝しつつ、人間も、新しい年を迎える準備にいそしみます。

    (監修:神野)

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  • 革靴に 伸ばす靴墨 年の暮

    2022.12.12 放送

    作者:星月さやか(四国中央)

    今年もあとひと月を切りました。一年の終わりを「年の暮」といいます。新年を迎える用意のため、人も街も賑やかになります。年末進行で、仕事の現場も慌ただしいことでしょう。そんな忙しさの中でも、革靴に靴墨を伸ばし手入れして、丁寧に生き、新しい年を迎えようとしています。誠実な姿に、背筋の伸びる一句です。

    (監修:神野)

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  • 外は吹雪 漆塗る日の 楽しくて

    2022.12.09 放送

    作者:小森邦衞

    映像で雪の怖さを知りながらも、温暖な土地に住むものは、雪に憧れます。この句は、雪の多い土地のようで、今日は吹雪が、手仕事の漆塗りを鼓舞してくれているようです。「楽しくて」が、これまでの幾多の仕事の過程を想像させます。作者は、輪島在住の漆芸家であり、重要無形文化財髹漆保持者、人間国宝です。

    (監修:谷)

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  • 白鳥が ぽん酢醤油の はるか上

    2022.12.08 放送

    作者:藤田 俊

    白鳥は全身雪白色で、シベリア地方から渡ってきて、日本で越冬します。白鳥が空を渡ってくる時期には、家庭ではポン酢醬油が活躍しています。冬空を、大きい体で飛来する美しい白鳥と、食卓の小さなポン酢醤油を取り合わせて、ちょっと可笑しいです。構図はシンプルで、最後の「はるか上」で、カメラがぐーんと引いた感じです。

    (監修:谷)

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  • 独りとは かくもすがしき 雪こんこん

    2022.12.07 放送

    作者:瀬戸内寂聴

    独りで居ることを、降る雪がしきりに励ましてくれるようです。独りとは、こんなにすがすがしいことなのだと。雪が、そんな気持ちにしてくれます。「雪こんこん」の幼い表現に、心が無垢になっていく気持ちがあらわれてもいます。作家で尼僧となった作者は「寂庵」と名付けた庵で、青空説法を行い、人々を励ましました。

    (監修:谷)

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  • 強いて言うならば 芸術とはおでん

    2022.12.06 放送

    作者:山本真也

    芸術と聞くと、高尚で厳めしい印象を受けます。ところが、芸術はおでんのようなものだ、とこの人は応じました。意表を突く言葉に「その心は?」と、聞いてみたくなります。おでんは、庶民の俗な食べもの。芸術とおでんが一緒に並んだことで、芸術が身近になった気がします。この作者、京都を拠点に活躍する画家です。

    (監修:谷)

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  • いつからの晩年 小春日の三日目

    2022.12.05 放送

    作者:井口時男

    初冬の小春日が三日続いてくれる、穏やかな日のこと。晩年とはいったい、いつからを言うのか、と考え始めました。一生の終わりの時期に、自分はもう入っているのだろうか。寒さの緩んだ暖かい陽射しの中で、日々の生活のこわばりがほどけるように、人生の来し方行く先にしみじみ思いを馳せます。

    (監修:谷)

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  • やあどうも 亀が乗ってる 冬帽子

    2022.12.02 放送

    作者:赤石 忍

    まずは「やあどうも」という挨拶から始まるのが楽しい。さらに、被っている冬帽子の上の亀に意表を突かれます。頭が下げられないので「やあどうも」と、ちょっと偉そうな姿勢になるのです。作者の赤石さんは、有名な絵画「こんにちはクールベさん」のような傲慢な姿勢が見て取れると、自身で解説しています。なるほど!

    (監修:谷)

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  • ストーヴに 椅子ひきよせて 読む書かな

    2022.12.01 放送

    作者:杉田久女

    エアコンが普及している現代でも、ストーブは尚身近な暖房器具です。この人は、きっと本好きなのです。ストーブをひとり占めできる時間が訪れました。さっそく、好きな小説あるいは句集?を取り出して一人の、この上なくすてきな時間を謳歌するのです。 作者久女は、すぐれた俳人であり、エッセイの名手、評論も残しました。

    (監修:谷)

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テレビ愛媛ではみなさまから
俳句を募集しています!

1月のお題は
「日向ぼこ」 です

応募フォーム、メールアドレス、ハガキの中からご応募ください。メールアドレス、ハガキでのご応募は、お題を含む俳句(ふりがな)・氏名(ふりがな)・住所・電話番号・メールアドレスを記載してお送りください。一人何句でも応募可能です。選ばれた俳句は、EBC Live News「きょうの俳句」コーナーでの放送のほか、テレビ愛媛のホームページ等で紹介します。作者の氏名(ペンネームの場合はペンネーム)、お住いの市町名(ジュニアの場合は学校名)も紹介されます。
(採用された方には放送日を事前に連絡し、記念品を贈らせていただきます。)
※俳句の募集は、毎月第2月曜日、午後6時から開始します。

応募規約

・応募作品は未発表で、ご自身の作品(著作権がご自身にある作品)に限ります。
・他人の作品に著しく類似、または他人の作品の盗用など、第三者の権利を侵害する可能性があると判断した場合は、応募の対象外とします。
・テレビ愛媛は応募作品による権利の侵害等に対し、一切の責任を負いません。

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〒790-8537 テレビ愛媛「きょうの俳句」係

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