2023.12.25 放送
セロは楽器で、チェロのことです。この句からは宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」を思い起こす人もいるでしょうか。古ぼけてはいるけれど、かけがえのない僕のセロと冬を過ごそう、という句。生業かも知れませんし、趣味の一丁なのかも。ともあれ、唯一無二の味方が彼の傍にありますから、心は暖かそう。 今年最後の「きょうの俳句」になりました。一年間ありがとうございました。あなたの味方となる俳句が見つかったとしたら、どんなにすてきでしょう!
(監修:谷)
2023.12.22 放送
写真は通常、瞬間を切り取ります。しかし、タイムラプスのテクニックを使って露出を長時間にすれば、夜空を移動する星々の軌跡を写すこともできます。霜の降る夜、冷たい大地に立ち、三脚にカメラを据えて夜空をとらえます。霜の光、星の光。さあ、どんな写真が出来上がるでしょう。
(監修:神野)
2023.12.21 放送
霜がおりた翌朝、よく晴れているのが「霜日和」です。漁で獲ってきた魚の中から、マンボウを放り出したのでしょう。地面にぶつかるとき、その平らな体を「硬い」ととらえた感覚に、現実の手触りが生まれました。海や大地とともに生きる、暮らしの息遣いが聞こえてきます。
(監修:神野)
2023.12.20 放送
「霜の声」とは、しんしんと霜がおりる気配を指す言葉です。霜の降る夜、動画を見たりしながら、一人でポテトチップスを食べているのでしょう。手が汚れるのが嫌で、箸でつまむところに、やや神経質な性格が見え、一人の孤独感が強まります。これもまた、現代の日常のひとコマです。
(監修:神野)
2023.12.19 放送
特にたくさん霜がおりることを「大霜」といいます。しんしんと冷える大霜の夜には、人間もあたたかくして、力を蓄えねばなりません。栄養たっぷりの軍鶏鍋で、厳しい寒さに立ち向かいます。今まさに煮えている鍋の音が、食欲を刺激し、生きている感覚を呼び覚まします。
(監修:神野)
2023.12.18 放送
霜のおりた橋の上で、朝、誰かと行き合わせたのでしょう。玻璃とはガラスのことです。おはようと言ったあいさつの声が、まるでガラスのように、繊細できらきらと感じられました。冬の澄みわたった空気感や、寒さの中で交わすあいさつの尊さが、言葉の奥に輝いています。
(監修:神野)
2023.12.15 放送
初霜とは、その年の冬にかけて初めて降った霜のことです。日記に書きとめた出来事や言葉が、まるで詩のかけらのように輝いて感じられました。初霜のことかもしれないし、もっと別の出来事かもしれません。初霜のういういしい輝きに、詩と出会う喜びがあふれます。
(監修:神野)
2023.12.14 放送
霜の降りた夜、しんしんと更けてゆく気配を、「霜の声」といいます。スタッカートは音楽用語で、音を短く切って演奏することです。スタッカートの音符のように溌剌と輝くのは、点在する霜でしょうか、それとも夜が明けて差し来る朝日でしょうか。声やスタッカートといった音の感覚を生かし、世界を受け止めました。
(監修:神野)
2023.12.13 放送
人命救助の現場では、被災から三日を過ぎると、生存率が著しく低下すると言われます。霜の発生する寒い夜なら、厳しさはなおさら。冷え切った瓦礫の奥に、人の気配を探して、救助犬が分け入ります。どうか無事でいてほしいと、祈る思いの一句です。
(監修:神野)
2023.12.12 放送
霜のおりる寒い夜、ガード下の店でラーメンを啜っています。ちぢれ麺はこしが強く、食べごたえがあります。車や電車が通り過ぎてゆく音を聞きながら、黙々と食べるラーメンは、冷えた体を静かにあたためてくれるでしょう。生きる孤独とたくましさが滲みます。
(監修:神野)
2023.12.11 放送
霜は、空気中の水蒸気が建物や地面などに凍って付着したものです。夜の寒さに生まれ、朝日に白く輝くさまは、いかにも冬の光景です。霜のおりたまぶしい朝、四万十川もまた、その水面をきらきらと輝かせていました。きーんと冷えた朝の空気に、冬のすがすがしさが満ちています。
(監修:神野)
2023.12.08 放送
作者は、詩、俳句、小説、随筆などの多彩な分野で作品を残しました。 傍らに置いてある火鉢の灰を掻き、使っていた鉛筆で熾そうとしたようです。うっかり焦がしてしまった鉛筆が悲しくもあり、いとおしくもあります。思索に耽ける作家の一場面を垣間見るような今日の俳句です。焦げた鉛筆は使い続けた気がします。
(監修:谷)
2023.12.07 放送
蜜柑山から俯瞰した景色。遥か山の下を物差しほどの電車が通ります。一両電車でしょうか。「短かき汽車」という素朴な表現に、蜜柑山に立つ姿が見えるようです。蜜柑王国愛媛では、家のどこかに蜜柑が置かれている季節になりました。作者は明治17年生まれ。転勤してきた松山の道後温泉が気に入り、そのままお城の麓に永住しました。
(監修:谷)
2023.12.06 放送
さみしいのは、人体のかたちとも読めますし、蓮根掘りがさみしいとも読めます。蓮根は正月料理に欠かせません。でも、収穫は大変な仕事のようです。泥水に腰まで浸かって掘り出す作業は、枯蓮の池と相俟って寂しい風景です。抜かれたばかりの蓮根は、そういえば、節のあるごつごつした人体のようにも見えるでしょうか。
(監修:谷)
2023.12.05 放送
思わず笑ってしまう、ユーモアたっぷりの句です。体を暖かく包んでくれるセーターは、私たちの冬の親しいアイテム。おしゃれ着洗いなどで、丁寧に手洗いします。一方、丸洗いはそのままの形で洗うこと。夫に接するよりもセーターにやさしく、ということでしょうか。でも夫のセーターだって、こまやかに手洗いするのです。
(監修:谷)
2023.12.04 放送
テレビのニュースで、雪の怖さを目の当たりにしながらも、温暖な土地のものは雪を待つ心がどこかにある気がします。同級会か、趣味のグループでしょうか。アルコール抜きの昼の集まりを楽しんでいます。羽目を外す人もなく、和やかな宴です。窓の外は暗い雲が垂れ込めて来ました。そわそわと雪を待ちわびている人がいます。
(監修:谷)
2023.12.01 放送
やがて巡ってくる春の農作業のために、冬ざれの田畑を耕し、雑草を防いで土を肥やします。塵は鼻水を拭いたティッシュや飴玉の包み紙かも知れません。それらを取り出すと、ことごとく土が混じっている。機械化されても、人の手が土に触れないことはありません。ポケットに冬の土の暖かさが宿るようです。
(監修:谷)
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