2017年2月の俳句

  • あゆみゆく 明日への一歩 二月尽

    2017.02.28 放送

    作者:安立公彦

    今日で二月も終わりです。この日を俳句では「二月尽」といいます。これで寒さからようやく解放されるという、安堵感を表す季語です。冬のあいだ休眠していた動物や植物も活発に活動を始めます。人々の装いも春のものに替わります。明日からはいよいよ三月。本格的な春へと、新たな一歩をあゆみ始める日です。

    (監修:池内)

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  • 若布採る 三尋にあまる 竿使ひ

    2017.02.27 放送

    作者:小倉英男

    若布は味噌汁、和え物など、家庭でいちばん多く使われる海藻です。全国の沿岸で採れますが、関門海峡や鳴門海峡が産地として知られています。舟の上から箱眼鏡を覗きながら鎌で刈り取ったり、この句のように長い竿を使って採ることもあります。一尋はおよそ一メートル半ですので、四メートル半以上もの長さの竿を操っての若布採りです。

    (監修:池内)

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  • 堅香子の 大群落に 入りにけり

    2017.02.24 放送

    作者:岩月通子

    ユリ科の多年草・片栗の花を「堅香子の花」ともいいます。堅香子は早春のころ、薄紫の花をいっせいに咲かせます。百合に似た可憐な花ですが、満開になると花びらが反り返ります。『万葉集』にも詠まれた花で、雑木林や小高い山の斜面などに群れ咲く姿が見られます。作者は、気がつくと堅香子の大群落の中に入り込んでいたようです。

    (監修:池内)

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  • 夕暮れて 紅梅は色沈めけり

    2017.02.23 放送

    作者:嶋田一歩

    紅色の梅の花が「紅梅」。俳句では、単に梅といえば白梅のことです。紅梅は白梅より花の咲く時期がやや遅く、清らかな白梅にくらべると、親しみのある艶やかな雰囲気があります。夕暮れてあたりが暗くなると、紅海の色は夕闇に沈んで見えにくくなります。それもまた、紅梅ならではの風情といえるのではないでしょうか。

    (監修:池内)

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  • 直弟子の 大方は亡し 風生忌

    2017.02.22 放送

    作者:山崎ひさを

    二月二十二日は「風生忌」。俳人・富安風生の命日です。愛知県生まれの風生は、官僚として事務次官まで昇りつめた後、高浜虚子門の俳人として俳句雑誌「若葉」を創刊し、軽妙で機知に富んだ句を発表し、多くの俳人を育てました。昭和54年、93歳で亡くなりました。あれから38年。風生に直接師事した世代の方々は大方故人となってしまいました。

    (監修:池内)

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  • 数多咲く 忘れ易さよ 犬ふぐり

    2017.02.21 放送

    作者:佐々木六戈

    早春の野山を愛らしく彩る「犬ふぐり」の花。かつては薄紅色の日本在来種が見られたのですが、今は外来種の瑠璃色の花が全国的に繁殖しています。緑の葉とともに地面を覆うように広がる姿は、雑草とはいえ美しい光景です。作者は、あまりにも数多く咲くためについ忘れられがちなこの花を、しっかりと観察し、愛でています。

    (監修:池内)

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  • 坂道をゆくや 迎春花を仰ぎ

    2017.02.20 放送

    作者:前澤宏光

    早春、葉に先立って枝垂れた枝先に黄色い花を咲かせる「黄梅」を、「迎春花」ともいいます。春節、すなわち旧正月の頃に咲き出すので、中国ではこの名で呼ばれているのです。梅に似ていますが、梅の仲間ではありません。坂道を登りながら見上げる迎春花。その花びらには、はや春の日差しがあふれているようです。

    (監修:池内)

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  • 膝に手を置きて 初音を待ちゐたる

    2017.02.17 放送

    作者:所山花

    鶯は日本の春を告げる鳥。鳥には姿を愛でるものと声を愛でるものがありますが、鶯は声の代表選手と言えるでしょう。ことに早春に聞かれる「初音」は、もてはやされます。冬の間チャッチャッという地鳴きをしていた鶯の声が、はじめてホーホケキョと聞えるのが初音。作者は膝に手を置き姿勢を正して、今か今かと初音を待っています。

    (監修:池内)

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  • 下萌に 影おく枝の みな桜

    2017.02.16 放送

    作者:岩田由美

    冬のあいだ枯れ色だった大地から、早春に草の芽が萌え出ることを、「下萌」あるいは「草萌」といいます。「下萌」は昔の和歌では「ひそかに恋い焦がれる」という意味にも使われ、春の到来を喜ぶ心の秘められた季語です。この句、萌え出た草の芽に置く影がどれも桜の枝というからには、ここは桜の名所なのでしょうね。

    (監修:池内)

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  • 山焼の たんねんに刈る 火切り道

    2017.02.15 放送

    作者:朝妻力

    春先のよく晴れて風のない日に、人里に近い野山を焼くのが「山焼」。古い枯木や枯草を焼き、家畜の餌によい草が育つようにするのと同時に、害虫駆除にもなります。山焼きをすると蕨や薇もよく育つといわれます。火をつける前に、必要以上の延焼を防ぐための火切り道にするため、丹念に枯草を刈り取っています。

    (監修:池内)

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  • 旅立の 朝といふに 冴返る

    2017.02.14 放送

    作者:黒川悦子

    立春を過ぎてようやく春らしくなった頃、再び寒気がぶり返すことを「冴返る」といいます。「余寒」や「春寒」と同じ意味の季語ですが、「冴返る」は寒気が生き生きと動的に感じられる季語です。旅に出ようとする朝に返って来た寒気に、作者はたじろぎながらも、旅立ちの心を引き締めています。

    (監修:池内)

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  • おもしろうて やがて白けて 猫の恋

    2017.02.13 放送

    作者:遠藤若狭男

    猫の繁殖期は年に数回ありますが、季語としての「猫の恋」は、早春のさかりのついた猫の行動をいいます。雌猫は発情すると落ち着きをなくしてうろうろし、それを追って雄猫が集まり、赤ん坊の泣き声のような声をあげて鳴き叫びます。ふだんおとなしい猫が演じる修羅場は、初めは面白いのですが、長く見ていると白けて来るかもしれません。

    (監修:池内)

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  • 神域に 鳥の一声 建国日

    2017.02.10 放送

    作者:赤尾恵以

    明日は二月十一日で「建国記念の日」。この句のように「建国日」ともいいます。もとは『日本書紀』の伝える神武天皇即位の日を現代の暦に換算した日で、以前は「紀元節」といいました。昭和41年に国民の祝日に制定されました。古い神社の境内の鳥の一声を聞きながら、作者はこの国が生まれた頃の、いにしえの世に思いを馳せています。

    (監修:池内)

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  • うすらひに 水乗りあがり 乗りあがり

    2017.02.09 放送

    作者:蟇目良雨

    春になってからも、ごく薄い氷が張ることがあります。これが「薄氷(うすらい)」。「薄氷(うすごおり)」「春の氷」ともいいます。冬の氷と違って薄くて溶けやすく、淡くはかない情感のある季語です。これは川の水に張った薄氷でしょうか。朝は川面を覆っていた氷も、昼頃には溶け始め、その上を川の水が乗りあがり乗りあがりしながら流れています。

    (監修:池内)

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  • 針持たぬ 月日の長し 針供養

    2017.02.08 放送

    作者:高島静

    二月八日は「針供養」の日。一年間使った縫針を休め、折れたりして使えなくなった針を淡島神に納めて供養します。いつも硬いものを縫っている針に柔らかいもので休んでもらおうと、豆腐などに刺して供養することもあります。作者もいうように、裁縫をする人が少なくなった今の世の中ですが、こうしたゆかしい風習は残してゆきたいものです。

    (監修:池内)

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  • 蕗のたう かほ出せば天ありにけり

    2017.02.07 放送

    作者:新谷ひろし

    蕗はまだ寒さの残る春先に、花芽を覗かせます。これが「蕗の薹」で、何枚もの葉に小さな花が包まれています。ほろ苦い味と香りは、まさに早春ならではの味覚。摘んで丸ごと天ぷらにしたり、蕗味噌にして味わいます。春の訪れを感じた蕗の薹が顔を出して見上げると、そこにはすっかり春らしくなった青空が広がっていました。

    (監修:池内)

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  • 咲きさうな 枝の梅ほど 日をあつめ

    2017.02.06 放送

    作者:菊地一雄

    春告草という別名もあるように、「梅」は春の到来を知らせる花です。木の花のうちでも、ほかの花に先がけて花を咲かせます。梅の花は香りの高いのも特徴で、夜の闇の中でも清らかな香りで存在を教えてくれます。この句、今にも咲きそうな枝ほど、多くの日の光を集めているようだ、というのが一つの発見ではないでしょうか。

    (監修:池内)

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  • 節分や 明るんでゐる 雑木山

    2017.02.03 放送

    作者:鈴木多江子

    今日は節分です。もともと節分とは四季それぞれの変わり目で年に四回あるのですが、今では立春の前日だけが重視され、「節分」といえば今日のことを指すようになりました。追儺の豆撒きや門口に柊や鰯の頭を挿す風習は、厄病や災害を防ぐためのものです。この句は、ほんのりと明るんできた雑木山のたたずまいに、節分らしい季節感を見ています。

    (監修:池内)

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  • 鍋に沸く 湯のきらきらと 春隣

    2017.02.02 放送

    作者:坂本宮尾

    春も間近なころを「春隣」といいます。春と隣り合うように接しているころ、という意味です。接し合っている春の香りや温もりが伝わって来るような季語です。同じような季語である「春待つ」や「春近し」にくらべると、感覚的な表現といえるでしょう。作者は鍋に沸く湯のきらめきに、「春隣」の季節感を鋭敏に感じ取っています。

    (監修:池内)

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  • 二月来る さざ波はみな 日を抱き

    2017.02.01 放送

    作者:宮田正和

    今日からいよいよ二月。この週末は、もう立春です。「二月」は暦の上では春ですが、まだしばらくは寒さが続きます。しかし、日は一日一日と長くなり、日の光や梅の花の香りに春を感じるようになります。鶯の初音が聞かれるのもこの月。作者は、寄せ来るさざ波にあふれるように抱かれた日の光に、二月という早春の季節を感じ取っています。

    (監修:池内)

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