2023年5月の俳句

  • 赤ん坊の 顔をくぐらす 麻のれん

    2023.05.31 放送

    作者:千葉皓史

    夏に使う暖簾を「夏暖簾」といいます。涼しさを出すため、素材や仕立てを工夫します。麻で出来た暖簾もそのひとつ。実家へ帰ったときでしょうか。赤ちゃんを抱いたまま、麻のれんをくぐります。掠れた感触に、赤ちゃんはどんな顔をしているのでしょうね。夏を生きる実感が書きとめられました。

    (監修:神野)

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  • しあわせは いつもひらがな さくらんぼ

    2023.05.30 放送

    作者:小林たけし

    さくらんぼの季節です。赤くつぶらな果実を見ると、おのずと嬉しい気持ちになります。さくらんぼという字はたいてい、ひらがなで書かれますね。他にも、幼い子どもの名前など、幸せを感じさせるものはひらがな表記が多いかもしれません。この句もすべてひらがなで。ささやかな幸せを大切に生きていきたいものです。

    (監修:神野)

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  • 回廊を 裏に回れば 黒牡丹

    2023.05.29 放送

    作者:西池みどり

    花の王さまと呼ばれる牡丹は、初夏、かぐわしい大輪の花を咲かせます。白や紅色も美しいですが、深く濃い紫の花も気品をたっぷりとまといます。長谷寺など、古いお寺の回廊でしょうか。回廊の長さが夏の始まりを、「裏」という場所の暗さが黒牡丹の色彩の深さを、それぞれ物語っています。

    (監修:神野)

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  • 明日逢ふ 噴水のまへ 通りけり

    2023.05.26 放送

    作者:金子 敦

    噴水とは「水の高さの配合、水の姿の変化などを工夫設計して、美的効果と涼感を与える」と、歳時記に書かれています。そういえば、駅の前や公園にある噴水はみんなそれぞれに違うなあと、改めて感心します。明日逢うと約束したのは、恋人か久し振りの友か。いつもならさっさと通り過ぎる噴水が、今日は頼もしく、眩しくもあります。

    (監修:谷)

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  • 追いついて パラソルの影 重ねけり

    2023.05.25 放送

    作者:連 宏子

    パラソルの影を重ねる、という表現がすてきです。追いついて、お互いのパラソルが当たらないように、自分の方を少し上の方に差し上げたのでしょう。同じ意味でも、日傘ではなく、明るいパラソルの響きに弾んだ気持ちが出ています。ようやくつかまえた、そんな気分です。

    (監修:谷)

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  • 慕情という 空の色だね あめんぼう

    2023.05.24 放送

    作者:藪ノ内君代

    「慕情」は、恋い慕う気持ちを意味する言葉で、読み手にそれぞれの空が広がってきそうです。不思議な気分になります。一句の最後で「あめんぼうに」に声をかけていることがわかります。水面に映る空を、慕情の色と感じたのですね。あめんぼうも、かがみ込んで見ているこの人も、なんだか切なく愛おしい気がします。

    (監修:谷)

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  • 昔といふもの 薔薇になし 雲になし

    2023.05.23 放送

    作者:友岡子郷

    なるほど、薔薇に「昔」の翳りは見当たりません。例えば、薔薇の花束などもらったら、この上なく嬉しいものです。この花は、むしろ明るい未来を約束してくれるようです。雲もまた、いつも生まれたてのように、空に浮かんでいます。「なし」「なし」のリフレインが「昔」を寄せ付けない、薔薇と雲を際立たせます。

    (監修:谷)

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  • 子規の街 なんじやもんじやの 花の街

    2023.05.22 放送

    作者:喜多輝女

    「街」の反復が気持ちの良い一句です。「子規の街」からは、正岡子規の生まれ育った松山を、直ちに思い浮かべるでしょう。なんじゃもんじゃは大木で、初夏に、白い細い糸のような四弁の花を沢山つけます。珍しい木なので、この名で親しまれるようになったとか。松山城の麓の東雲神社の木が有名ですが、どことなく子規さんに通じる、愉快な名前です。

    (監修:谷)

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  • 星死せるらし 蜜柑の花さざめく

    2023.05.19 放送

    作者:中村 彰正(久万高原)

    宇宙のはるか彼方で、一つの星が寿命を迎えました。そのことを、地球に住む私たちは知る由もなく、いつもどおりの日常を過ごしています。それでも、たとえば蜜柑の花は宇宙の変化を敏感に察知していて、静かに風にざわついているのかもしれません。蜜柑の花も、宇宙のひとかけら。大きな命の循環を思います。

    (監修:神野)

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  • むせかえる 蜜柑の花の香よ 黙祷

    2023.05.18 放送

    作者:たわらご 小島里世(西予)

    2018年7月の西日本豪雨で、愛媛県も甚大な被害を受けました。山の斜面の蜜柑畑も土砂に流され、今も再建へ向け復興の途上です。被災した木に、そして新たに植えた木に、今年も花が咲きました。亡くなった人々に思いを寄せ、しばし黙祷を捧げます。これからを生きてゆく人間に、蜜柑の花は強く濃く、命を香らせます。

    (監修:神野)

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  • 乳呑み子を あやす夜風に 花蜜柑

    2023.05.17 放送

    作者:桜鯛みわ(東京)

    赤ちゃんはすぐにおなかがすくので、夜でもかまわずお乳が欲しいとぐずります。夜泣きの赤ちゃんをあやすため外に出ると、夜風にふっと、蜜柑の花の香りがしました。明けない夜はない。蜜柑の花の優しさが、孤独な育児の時間に、そっと寄り添います。

    (監修:神野)

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  • 長所正直 短所正直 花蜜柑

    2023.05.16 放送

    作者:うからうから(福岡)

    正直な性格も、長所といえば長所だし、短所といえば短所にもなります。思ったことが顔に出たり、余計なことまで喋ったり、正直なことがプラスにならない場面もあります。正直でしかいられない性格なら、自分らしく生きればいい。懐かしく素朴な蜜柑の花が、優しく肯定してくれています。

    (監修:神野)

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  • 時刻表錆びて 蜜柑の花ましろ

    2023.05.15 放送

    作者:すずしろゆき(大阪)

    バス停の時刻表でしょうか。蜜柑の花が咲く海沿いの道で、潮風に錆びているのかもしれません。錆びた時刻表と、新しい蜜柑の花。古いものとの対比が、蜜柑の花のフレッシュな命を、ゆたかに輝かせます。真っ白な蜜柑の花が、今年も夏が来たのだと、涼しく告げています。

    (監修:神野)

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  • 潮の香を 寄せず全山 花みかん

    2023.05.12 放送

    作者:岩渕晃三(松山)

    海沿いの蜜柑山に、今年も夏がやって来ました。蜜柑の木が花を咲かせたら、山全体がゆたかな香りに包まれます。ふだんは強い潮の香も、今は蜜柑の花の香りに圧されて感じないほど。堂々と咲く蜜柑の姿は、山を切り開きその地で生きてきた人々の、たくましさも感じさせます。

    (監修:神野)

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  • 蜜柑の花咲いた きなこ棒当たった

    2023.05.11 放送

    作者:山内佑資(松山)

    きなこ棒は駄菓子の定番で、黒糖と水飴をきなこで練り合わせた素朴なお菓子です。蜜柑の花が咲くころ、駄菓子屋できなこ棒を買ってパクリ。爪楊枝の先が赤く塗られていれば「当たり」です。駄菓子に一喜一憂したころの、ほがらかな時間。蜜柑の花の郷愁が、きなこ棒の懐かしさと、優しく通い合います。

    (監修:神野)

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  • 放課後の 水軍太鼓 花蜜柑

    2023.05.10 放送

    作者:武井日出子(松山)

    水軍太鼓は、瀬戸内海沿岸の郷土芸能です。戦国時代の水軍の活躍を、和太鼓で表現します。学校の水軍太鼓のクラブで、放課後に練習しているのでしょう。蜜柑の花の香りが潮風に乗り、太鼓を叩く子どもたちへ、優しく届きます。はるかな時間を手渡されてきた太鼓の音が、この夏の蜜柑の花を揺らします。

    (監修:神野)

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  • 三坂峠 下りて蜜柑の 花香る

    2023.05.09 放送

    作者:渡部 茂由子(久万高原)

    三坂峠は、久万高原町と松山市の境界にある峠です。標高の高い久万から三坂峠を越え、松山方面へ下りてくると、蜜柑の花が香りはじめます。愛媛の風土の中で生きる暮らしが、自然な言葉で写し取られました。ひと足先に届いた初夏の匂いに、しばし心を預けます。

    (監修:神野)

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  • 画用紙の 白より白く 花蜜柑

    2023.05.08 放送

    作者:藤橋一憲(松山)

    蜜柑の花は、愛媛の県の花です。五月になると、そこかしこで蜜柑の花が香りはじめます。画用紙を用意して、蜜柑山を描くのでしょうか。蜜柑の花の白は、手もとの画用紙の白よりも、さらに清らかで純粋に見えました。まぶしくなってきた初夏の日差しを受け、画用紙も蜜柑の花も、ほがらかに輝きます。

    (監修:神野)

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  • ゆく人の みなマスクして 夏に入る

    2023.05.05 放送

    作者:仁平 勝

    歳時記では、マスクは「冬」の季語となっていますが、コロナ禍ではもう季節にかかわりなく、生活の必須となりました。慣れないままに、でもいつの間にか、手の届くところにあって親しいもののひとつ、になっていた気がします。明日は、立夏。暦の上では、夏に入る日です。任意にはなりましたが、やっぱりマスクは携えているのでしょう。

    (監修:谷)

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  • 泡立てし クリームに角 みどりの日

    2023.05.04 放送

    作者:和田順子

    今日、みどりの日は「自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ」ことを趣旨として制定された国民の祝日です。泡立てているのは、ケーキ作りの生クリーム?それとも、洗顔石鹸の泡でしょうか。夏が近い明るい昼には、前者が似合いそう。ひょいと伸びたホイップの白い角が、窓の外の緑にうっすら染まっていそうです。

    (監修:谷)

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  • 憲法記念日を ひた走る快速車

    2023.05.03 放送

    作者:楠本憲吉

    ゴールデンウイークの今日は、憲法記念日。1947年の今日、現行の日本国憲法が施行されました。以降、この平和憲法とともに、快速車のようにひた走った日本だったかも知れません。これからも、また。作者は、テレビの人気クイズ番組に出演して、広く知られた俳人でしたが、一方ですぐれた評論集などを残しました。

    (監修:谷)

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  • きらきらと 八十八夜の雨 墓に

    2023.05.02 放送

    作者:石田波郷

    今日は、八十八夜。立春から八十八日目の日です。「八十八夜の別れ霜」といって、この日以降、霜は降らなくなると言われています。初夏に近い日で、雨も明るい光を帯びているでしょう。唱歌の「茶摘み」のように、若葉を茂らす雨が、野にも山にも、そして、今日の句のようにお墓へも、きらきら降るのです。

    (監修:谷)

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  • 自転車の まっすぐ迷う 春の道

    2023.05.01 放送

    作者:三瀬未悠

    「まっすぐ迷う」が不思議で、可笑しいです。間違っている道を、疑うことなく進んでいるのか。あるいは、道そのものがまっすぐだった?まるで自転車のせいにしているところも、笑いがこみ上げます。草木が青み、花が咲き始める春なら、引き返す道程にもへこたれないかも。作者は愛媛県出身で、2000年生まれ。とびきり若い俳人です。

    (監修:谷)

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テレビ愛媛ではみなさまから
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7月のお題「風鈴」の
応募は締め切りました

応募フォーム、メールアドレス、ハガキの中からご応募ください。メールアドレス、ハガキでのご応募は、お題を含む俳句(ふりがな)・氏名(ふりがな)・住所・電話番号・メールアドレスを記載してお送りください。一人何句でも応募可能です。選ばれた俳句は、EBC Live News「きょうの俳句」コーナーでの放送のほか、テレビ愛媛のホームページ等で紹介します。作者の氏名(ペンネームの場合はペンネーム)、お住いの市町名(ジュニアの場合は学校名)も紹介されます。
(採用された方には放送日を事前に連絡し、記念品を贈らせていただきます。)
※俳句の募集は、毎月第2月曜日、午後6時から開始します。

応募規約

・応募作品は未発表で、ご自身の作品(著作権がご自身にある作品)に限ります。
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