2018.05.31 放送
麦の穂の収穫を迎える5月から6月の時期を「麦の秋」といいます。県内でもあちこちで、金色にかがやく麦畑を見かけますね。ふだんは目立たない麦畑も、麦の秋にはくっきりと輪郭をあらわします。見渡せば、すぐそこにもずっと遠くにも、麦畑が光ります。ひろやかな初夏を写し取った一句です。
(監修:神野)
2018.05.30 放送
蛍を見に出かけた夜、産休中の先生と偶然出会いました。久しぶりに会う先生は、教壇に立つ印象とは違う、リラックスした様子。大きくなったおなかを大事に、一歩一歩、蛍の夜を歩きます。飛び交う蛍の光が、もうすぐ生まれてくる命の不思議を、おごそかに伝えてくれます。
(監修:神野)
2018.05.29 放送
朝、目を覚ました子のもとへ寄ると、薔薇が咲いているよ、と教えてくれました。窓辺に目をやれば、うつくしい薔薇が一輪、朝日に輝いています。「ママお早う」とあいさつから書きはじめることで、臨場感たっぷりの句となりました。すこやかで素敵な朝のはじまりです。
(監修:神野)
2018.05.28 放送
くだものの中でも、特に高級なイメージのさくらんぼは、今ごろが旬の夏の季語です。給料の額が少しだけ増えたので、ちょっと贅沢して、さくらんぼを買いました。宝石のような小さな実を口にふくむと、幸せが広がります。庶民の日常にある、ささやかな幸福をすくい取りました。
(監修:神野)
2018.05.25 放送
衣服を夏物にとり替えるのが「更衣」。かつては旧暦の四月一日に、いっせいに綿入れを袷に替える風習が守られていました。学校や職場で、六月一日に制服を夏物に替えることも行われていました。今では暦にこだわらず気候に合わせて夏物に替えるのが普通です。春から初夏の色々な花を見終え、緑の深まるなかで軽快な夏物に着替える気分こそ、更衣の季節感なのでしょう。
(監修:池内)
2018.05.24 放送
蜜柑といえば、ふつうは温州蜜柑のこと。この季節、蜜柑王国・愛媛では島も山も蜜柑の花ざかりとなります。俳句では蜜柑の花を「花蜜柑」ともいいます。小さい星のような白い蜜柑の花は、愛媛の県の花でもあります。岬の斜面に漂う、すがすがしい花蜜柑の香り。その香りの高さは、潮の香にもまさるほどです。
(監修:池内)
2018.05.23 放送
芍薬と牡丹は、よく一対で美人の姿にたとえられます。じつは「芍薬」もボタン科の植物で、根から薬を採る薬草として中国から伝わりました。芍薬の花は牡丹にくらべてやや控えめでやさしい感じがします。花の色は紅、淡紅、白などで、一重咲きと八重咲きがあります。初夏の夕べ、作者はお酒よりも芍薬の花の香りに、うっとりと酔っているようです。
(監修:池内)
2018.05.22 放送
モクレン科の落葉高木・朴の木は、高さ20メートルにもなる木です。初夏に空に向いて咲く「朴の花」は、黄色みを帯びた九枚の花びらを持つ豪華な大輪の花です。大きな葉の上に咲くので、近くで見るより谷を隔てた方がよく見えます。木の下からは花はよく見えませんが、漂ってくる芳しい香りに思わず上を向いてしまいます。
(監修:池内)
2018.05.21 放送
「薫風」「風薫る」は、夏の期間を通して使える季語ですが、何といっても初夏のこの季節のやわらかな若葉の香りを運んでくるような風にこそふさわしい感じがします。作者は子規展の会場を出て、近くの丘に登っています。子規の書や絵を鑑賞した心の昂りの中にいる作者の上を、薫風が快く吹き抜けてゆきます。
(監修:池内)
2018.05.18 放送
若葉の中をハイキングして、昼食におにぎりを取り出したのでしょうか。ひかりのかけらのようなおにぎりを食べると、体中にエネルギーが満ちてきます。若葉のみどりに、おにぎりの白も鮮やか。おにぎりという親しい食べ物を、「ひかりの礫」と美しくたとえて、詩に昇華しました。
(監修:神野)
2018.05.17 放送
航海の途中、港に停泊した夜のこと。甲板に出て、夜風にあたっていると、空気に混じる若葉の香りに気づきました。海の上では嗅ぐことのできない若葉の香りに、はっと新鮮さを覚えたのです。海の匂いと掛け合わせることで、若葉のなまぐさいまでの生命力を引き出しました。
(監修:神野)
2018.05.16 放送
四人目「も」ということは、兄弟四人、全員男なのです。若葉風が、その知らせを嬉しく受け止めた気持ちを代弁しています。四姉妹の成長を描いた名作『若草物語』になぞらえるなら、四兄弟のストーリーは「若葉物語」でしょうか。元気いっぱい、にぎやかな家族の声が聞こえてきそうです。
(監修:神野)
2018.05.15 放送
トロッコに乗って山道をゆく視界を、若葉がいきおいよく流れてゆきます。「りゅんりゅん」という独特のオノマトペからは、トロッコの疾走感や、作者の心の弾みが伝わりますね。木によってさまざまな緑を見せる若葉が、初夏の視界をいろどります。若葉の元気のよさを味方につけた一句です。
(監修:神野)
2018.05.14 放送
目薬のひとつぶを「硬き透明」と表現しました。「若葉冷」とは、いきいきした若葉の季節に、肌寒い風が吹く日のことです。ひんやりと目にゆきわたる、目薬の冷たさを思います。目薬をさしてすっきりした視界。あおあおと広がる若葉が、清らかで心地よいですね。
(監修:神野)
2018.05.11 放送
初夏の日に照らされて艶やかに光るもえぎ色の「柿若葉」は、若葉のなかでも特に明るく新鮮に見えます。柿の木は庭や畑など私たちの身近にあり、初夏の暮しを明るく彩ってくれる存在です。雨あがりの艶々とした緑のやさしさにも、何とも言えない風情があります。この句は、晴れた空のもとで柿若葉が織りなす光と影を的確に描いています。
(監修:池内)
2018.05.10 放送
初夏の味覚のひとつ「筍」は、初夏に地下茎から伸びる竹の新芽です。筍がおいしいのは、孟宗竹、真竹、淡竹の三種類。中でも多く栽培されているのが孟宗竹です。筍飯、炊き合わせ、味噌和えなどさまざまな料理法があります。小ぶりの筍を皮のまま炙るのもいいそうです。この句は筍の天ぷら。衣が脱げているのが、かえっておいしそうですね。
(監修:池内)
2018.05.09 放送
若葉がみずみずしい初夏の木々が「新樹」。同じ初夏の季語でも、葉の緑に注目する場合は「新緑」を用いますが、「新樹」は木の姿に焦点を合わせる場合に使われます。比較的新しい季語で、街路樹などがイメージされます。この句は立ち並ぶ新樹が競い合うように空へ伸び上がっている姿。初夏の木々の、あふれるような生命力が感じられる一句です。
(監修:池内)
2018.05.08 放送
初夏を豪華に彩る「牡丹」は、中国原産の落葉低木の花。平安時代に薬用植物として渡来し、おもに寺院に植えられました。江戸時代に改良が重ねられ、さまざまな色の豪華な鑑賞用の品種が作り出されました。なかでも「白牡丹」は、華麗さと気品で人気があります。この句は、白牡丹の重なった花びらが作り出す陰影に注目しています。
(監修:池内)
2018.05.07 放送
桜の若葉を「葉桜」といいます。この季語には、日本人の二つの思いがこめられています。一つは、花が終って葉桜になってしまったのを惜しむ思い。もう一つは桜の若葉のすがすがしさを愛でる思いです。この時期の桜若葉は塩漬けにして桜餅にも用いられます。この句は動物園に見る葉桜。象も、長い鼻を伸ばして葉桜を愛でているのでしょうか。
(監修:池内)
2018.05.04 放送
こどもの日は、子どものすこやかな成長を願うものですが、夫に着目したのがユーモラスです。たしかに、「うちの夫は子どもで」などという嘆きもしばしば聞かれます。内面の幼い夫にあきれつつ、その純粋さをほほえましく思う瞬間もあるからこそ、日々を重ねてゆけるのでしょうね。
(監修:神野)
2018.05.03 放送
今日は憲法記念日です。ゴールデンウィークの一日、山へ出かけて、ぼんやり空を見ています。雑草も私も、この世界のはしっこにいる小さな存在ですが、私たちのことも、憲法の力が守ってくれるのかしら……。どこにいても、雑草のようにたくましく生きんとする、人間の矜持を感じる一句です。
(監修:神野)
2018.05.02 放送
今日から五月、青葉若葉がさわやかな季節となりました。縦書きの詩とは、日本語の詩のことでしょう。俳句もまた、縦書きの詩です。美しい若葉を茂らせる五月の木のように、すっくと立つ一行の詩。俳句を愛し、読み続ける人たちは、その木陰に憩う旅人なのかもしれません。
(監修:神野)
2018.05.01 放送
大型連休、ゴールデンウィークも、季語として歳時記に載っています。みなさんは今年のゴールデンウィークを、どんなふうに過ごしていますか。この人は、持っているアクセサリーをすべて出し、着飾って出かけるのです。「ありったけ」という言葉が、連休を迎えた解放感や、ゆたな気分を伝えてくれます。
(監修:神野)
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