2019年12月の俳句

  • 会ひたしと 思ふ人あり 去年今年

    2019.12.26 放送

    作者:高浜年尾

    去年今年という季語は、去年から今年へと時が移りゆく、大晦日の夜の感慨をいう言葉です。この一年に果たせなかったことや、新年への希望が、胸を行き交います。そういえばあの人に会いたいなあと、ふと思い出す人がいました。この世は一期一会。今年もあと数日を残すのみとなりましたが、その一日一日も大切に過ごして、おだやかに、「去年今年」の時を迎えたいものです。

    (監修:神野)

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  • サンドイッチ頬ばる スケート靴のまま

    2019.12.25 放送

    作者:土肥あき子

    今日、12月25日はスケートの日です。なんでも、幕末から明治にかけて日本に滞在したイギリス人が、日本初のスケートをしたことから、この日に定められたのだとか。その後、スケートはレジャーとして日本に普及し、冬の季語にも採用されました。スケートの合間にサンドイッチを頬張るさまは、若々しく活動的ですね。小腹を満たせばまた、颯爽とリンクへ滑り出てゆくのでしょう。

    (監修:神野)

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  • 夜景なす 残業の灯や クリスマス

    2019.12.24 放送

    作者:関悦史

    今日はクリスマスイブ。街はイルミネーションにいろどられ、クリスマスソングが流れています。とはいえ、クリスマスも平日ならば、仕事があり、残業をする人もあるでしょう。クリスマスの喧騒に加わらず、ビルで残業にいそしむ人たちの灯りもまた、夜景を作る輝きとして、街をいろどります。みなさんは、今年はどこで誰と、クリスマスを過ごすでしょうか。

    (監修:神野)

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  • 柚子浮きし柚子風呂 あふれしめにけり

    2019.12.23 放送

    作者:細見綾子

    今年は十二月二十二日、昨日が冬至の日でした。冬至は、一年で一番日暮れが早く、昼が短い日です。太陽の力が弱まるので、栄養をつけるためにかぼちゃや小豆粥を食べる、冬至ならではの慣習があります。柚子湯に入るのもそのひとつ。浮かべた柚子をこぼさんばかりに、湯舟に体を沈めれば、ほかほかに温まり、きっと冬を乗り切れるはずです。

    (監修:神野)

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  • 二人より三人四人 寄席鍋は

    2019.12.20 放送

    作者:杉田菜穂

    冬の定番の鍋料理の中でも、特に具材の決まりのないのが「寄鍋」です。肉、魚、野菜などの季節の具を寄せ集め、お吸い物よりやや濃い目のだし汁で煮て食べます。家に有り合わせの具材でも作れる一方、お客さんを招いて豪華な具材でおもてなしすることもできるのが寄鍋の魅力です。差向いもいいですが、何といっても大勢で囲んでつつき合うことこそ、寄鍋の楽しさではないでようか。

    (監修:池内)

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  • 一羽なる ことのたのしき かいつぶり

    2019.12.19 放送

    作者:鷹羽狩行

    各地の池や湖に見られる「かいつぶり」は留鳥で、水に潜ることの得意な水鳥です。鳩より少し小さめで脚が体の後ろ寄りにあり、泳いだり潜ったりするのに適した体つきをしています。別名を「におどり」ともいいます。ほかの鳥のように集団で行動せず、二、三羽あるいは単独でいることが多いかいつぶり。この句のように、孤独を楽しんでいるようにも見えます。

    (監修:池内)

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  • 枯木にも 使命のあつて 枝のはず

    2019.12.18 放送

    作者:塩川雄三

    木には常緑樹と落葉樹があります。冬に落葉樹がすっかり葉を落としたさまを、俳句では「枯木」あるいは「裸木」といいます。枯れてしまった木のことではありません。いずれ春にはまた芽吹いて葉となり花を咲かせるのです。枯れ木の状態の中でも、木々は来るべき春に備えてしっかりと生命力を蓄えています。よく観察すると、ひそかに枝を伸ばしている木もあります。

    (監修:池内)

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  • いつも呑む 薬に足して 風邪薬

    2019.12.17 放送

    作者:仁平勝

    一口に「風邪」といっても、軽い鼻風邪から重症のインフルエンザまで、症状はさまざま。風邪の原因の大部分は、ウィルスによる感染です。特にインフルエンザには、早めの予防接種が効果的です。引いたなと思ったら、この句のようにとりあえず風邪薬を。そして何といっても体をあたためながらゆっくりと休養し、軽いうちに治してしまうのが一番です。

    (監修:池内)

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  • 門川のしづかに 賀状書く家か

    2019.12.16 放送

    作者:佐藤郁良

    今年も年賀郵便の取扱いが始まりました。年末の忙しさの中で、少しずつ時間をつくって賀状を書いている方も多いと思われます。「賀状」は新年の季語ですが、「賀状書く」は冬の季語です。静かに流れる門川に面した家の主も、いま一枚ずつ丁寧に年賀状を書いているのでしょう。賀状には新年を祝うとともに、近況報告や平素の無沙汰を詫びる思いもこめられています。

    (監修:池内)

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  • 飛行機の 飛び交う闇や クリスマス

    2019.12.13 放送

    作者:綱長井ハツオ(新潟県)

    クリスマスの夜空を、飛行機たちはいつものように、小さな灯りを点して飛んでゆきます。出張や旅行など、飛行機の上でクリスマスを過ごす人もいるのでしょう。日本の空、世界の空を飛び交う飛行機たち。もしかしたらその中に、本物のサンタクロースも飛んでいるかもしれません。闇は大きくすべてを包み、クリスマスの朝へと私たちを導きます。

    (監修:神野)

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  • ピアニカの チューブ真白き 聖夜かな

    2019.12.12 放送

    作者:南方日午(東京都)

    ピアニカは、鍵盤ハーモニカのこと。チューブで息を吹き込みながら、鍵盤を押さえて演奏します。子どもたちの聖夜劇の場面でしょう。ピアニカで吹くのは、きよしこの夜か、ジングルベルか。チューブの白の清らかさも、クリスマスの夜の厳かな雰囲気を醸し出します。ユニークな着眼点で、クリスマスらしさを引き出しました。

    (監修:神野)

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  • 星満ちて 峡の里にも 聖樹の灯

    2019.12.11 放送

    作者:野原ミヤ子(松山市)

    クリスマスといえば、街を彩る華やかなイルミネーションを想像しますが、都会からずっと離れた峡の里、山の谷間の小さな集落にも、静かにクリスマスツリーの灯りが点っています。空には満天の星。冷え込んでくる闇の気配に、おのずと敬虔な思いが湧き上がります。商業化する前の、素朴なクリスマスの風景を思います。

    (監修:神野)

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  • クリスマスケーキ 売り切って 缶コーヒー

    2019.12.10 放送

    作者:中島容子(神奈川県)

    華やかなクリスマスの街を支えているのは、クリスマス商戦に駆り出されて働く人たちです。用意したケーキをずらりと並べ、道行く人を大きな声で呼び込んで、ようやく売り切ってほっと一息。仕事終わりに缶コーヒーのプルタブを開けたとき、見上げた夜空は、ことのほか星がきれいだったかもしれません。どうかどんな人にも等しく、クリスマスの幸せが訪れますように。

    (監修:神野)

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  • 五線譜に 父の書き込み 聖夜来る

    2019.12.09 放送

    作者:松田夜市(松前町)

    年末を迎え、家の中をあれこれ整理していたら、ふと見つけた五線譜。そこには父の字で、書き込みがしてありました。もしかしたら、クリスマスの聖歌隊の楽譜だったのかもしれません。音楽を愛する物静かな父。その姿をあらためて思い出すとき、窓の外に広がる夜の闇が、どこかあたたかく懐かしいものに思えてきます。

    (監修:神野)

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  • 散策の 後のコーヒー 日の短

    2019.12.06 放送

    作者:石渡旬

    冬は日が短く、あっという間に暮れてしまいます。俳句では「短日」「日短」「暮早し」などといいます。秋分を過ぎると日没がどんどん早くなり、冬至の頃は日中時間が最も短くなります。ちなみに松山の日中時間は、秋分と冬至では一時間短くなります。午後の散策のあと、カフェでひと休みする間に早くも夕暮がせまってきました。作者はコーヒーを味わいながら日の短さを実感しています。

    (監修:池内)

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  • 毒ありと思へぬ 河豚のおちよぼ口

    2019.12.05 放送

    作者:勝又民樹

    今が旬の「河豚」は、締まった白身が喜ばれ、刺身や鉄ちりと呼ばれる鍋にする贅沢な魚です。いっぽうで河豚は肝などにテトロドトキシンという猛毒があり、万一あたると命に関わる恐ろしい魚です。そのため、資格を持った調理人しか料理はできないことになっています。河豚には色々な種類がありますが、どれも腹がふくらんで口が小さく、瞼があってまばたきをする、ユーモアな顔つきをしています。

    (監修:池内)

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  • 白菜を割るや 黄金曼荼羅図

    2019.12.04 放送

    作者:檜山哲彦

    中国原産のアブラナ科の越年草である「白菜」。日本では明治以降に普及しましたが、漬物や鍋物など今では欠かすことのできない冬野菜です。この句は結球型の白菜の断面を描いています。曼荼羅図とは、大日如来を中心に如来、菩薩などの諸仏を配した悟りの世界を表図柄。しかも黄金の曼荼羅図とは、白菜の断面の緻密な美しさへの最高の褒め言葉ではないでしょうか。

    (監修:池内)

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  • 枯菊の なほも咲かんとする力

    2019.12.03 放送

    作者:黒川悦子

    菊は花の咲く時期が長く、葉は枯れてしまっても花はまだ名残をとどめています。その姿から花の盛りが偲ばれ、なおさら哀れ深く感じられます。「枯菊」は、立ち枯れの菊になお残る香りや艶を、哀れみながら愛でる心のこめられた季語です。作者はそうした枯菊の風情の中に、それでもまだ咲こうという生命力まで感じとっているようです。

    (監修:池内)

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  • 師走来る 世に厄介なこと多し

    2019.12.02 放送

    作者:保坂リエ

    今年もはや十二月。「師走」に入りました。一年の締めくくりの、何かと忙しい月です。そしてこの一年を振り返る月でもあります。新天皇のご即位という慶びの一方で、台風による各地の災害で大勢の人々が困窮していることなど、多くの課題を抱えたまま一年が終わろうとしています。そうした内外の厄介ごとに思いを馳せながら、師走を迎えた心境を詠んだ一句です。

    (監修:池内)

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