2023年6月の俳句

  • 見つゝ来て 茅の輪やまこと 今くゞる

    2023.06.30 放送

    作者:星野立子

    今日は、夏越です。茅萱で作った茅の輪を鳥居の下や拝殿に立ててくぐり、祓をします。いつも通る神社に茅の輪が立つと、いっそう厳かな気分になります。小さく見えていた茅の輪がだんだん大きくなって、いよいよ自分の番がきました。「まこと今」に臨場感があります。心身を委ねるように、輪をくぐります。

    (監修:谷)

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  • ネクタイを 肩に撥ねあげ 泥鰌鍋

    2023.06.29 放送

    作者:広渡敬雄

    苦手な人もいるようですが、泥鰌鍋は、栄養価が鰻に負けないことから、夏の食膳にのぼります。江戸から広まったことを知ると、この句の主人公も都会のサラリーマンの姿を彷彿とさせます。「サラメシ」さながら、泥鰌鍋に汗を拭きつつ、体力を付けているのでしょう。サラリーマンのシンボルともいうべきネクタイは、肩に撥ね上げて。

    (監修:谷)

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  • 梅雨寒や 乾かぬ反古の 墨匂ふ

    2023.06.28 放送

    作者:村重香霞

    梅雨寒は、梅雨のあいだの低温のときを言います。夏でありながら、実際の寒さに戸惑います。しまい込んだ厚手のカーディガンなど引っ張り出して、書道のお稽古でしょうか。書き損じて反古にした半紙の墨が、梅雨の空気でいつもよりくきやかに匂うようです。乾ききらない文字の黒々とした艶も、見えてくるようです。

    (監修:谷)

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  • 鮎食べて 鎖骨しなやかにカーブ

    2023.06.27 放送

    作者:鳥居真里子

    歳時記によると、鮎のことを「美しい軽快な魚で、一メートル数十センチの滝をも踊り越える。」と、解説しています。6月の鮎漁解禁とともに、愛媛の肱川などでも、長い竿を弓なりに操る人の姿が風物詩となっています。今日の句「鎖骨しなやかにカーブ」は、気品ある川魚の王の味わいを、見事に表現しています。

    (監修:谷)

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  • 和となりて 集まって咲く 紫陽花よ

    2023.06.26 放送

    作者:城田怜子

    目の前の紫陽花をスケッチしているような句。「和となりて」は、小さい多数の四片の花が群がる様を。「集まって咲く」は、群がった花が枝先に毬のように咲く様子を、丁寧に描いているようです。じっと眺めているのは子どもかも知れませんし、絵手紙を書いている人かも。最後は「紫陽花よ」と、ため息にも似た声が出ました。

    (監修:谷)

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  • 麦茶冷えてる 当たり前のしあわせ

    2023.06.23 放送

    作者:西田真己(西予)

    夏の暑い日、外から帰ってきて、冷蔵庫を開けます。麦茶を注いで飲み干せば、よく冷えていて、一気に爽快な気分に。私たちの日常は、当たり前の幸せに満ちています。たとえば麦茶が冷えていることも、ささやかな幸せの一つ。何気ない日常、当たり前の幸せこそが尊いのだと、静かに教えてくれる句です。

    (監修:神野)

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  • 全方位外交やめよう麦茶飲も

    2023.06.22 放送

    作者:青田奈央(静岡)

    どの国とも親しく友好的な関係を結ぼうとするのが、全方位外交です。これを人間関係でも実行しようと思うと、あちこちに神経をつかい、とても大変です。疲れてしまったから、いったん全方位外交はおしまい。麦茶を飲んで、体と心をリセットして、一人の時間もなかなか悪くないものです。

    (監修:神野)

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  • 相続のすんなり 皆に麦茶つぐ

    2023.06.21 放送

    作者:神奈川ゆうき(千葉)

    亡くなった人を見送ったあと、親族が集まって、相続のことを話し合います。ここで揉めると一大事なのですが、特に大きな問題もなく、すんなり決まってくれました。ひと段落したところで、麦茶を注いでまわります。すっきりしたその場の空気に、涼しい麦茶がぴったりです。

    (監修:神野)

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  • 水出しの麦茶 名もなき家事として

    2023.06.20 放送

    作者:玉家屋(大阪)

    家事といえば通常、料理や洗濯や掃除などをイメージします。しかし実際の生活には、ティッシュペーパーを買い足したり、洗面台のタオルを取り替えたり、名前のつかない些細な家事があふれています。飲み切ったボトルに水出しの麦茶を作るのも、名もなき家事の一つ。生活のリアルを淡々と掬い上げました。

    (監修:神野)

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  • トートバッグに ベビー麦茶と ビスケット

    2023.06.19 放送

    作者:瀬戸 薫(松山)

    麦茶はノンカフェインなので、赤ちゃんの水分補給として重宝します。最近は、ベビー専用の麦茶も販売されていますね。トートバッグに、麦茶とビスケットを入れて、準備万端。荷物の中身を並べただけで、赤ちゃんを連れてお出かけするのだと分かります。にぎやかで楽しい、子育てのひとコマです。

    (監修:神野)

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  • 吸い呑みに 母の名前や 麦茶足す

    2023.06.16 放送

    作者:神野睦子(松山)

    吸い飲みは、病気の人が寝たままでも水分がとれるよう作られた容器です。病院や施設にいる母のお見舞いに来ているのでしょう。紛れないよう名前を書いた吸い飲みに、新しく麦茶を足します。どうか少しでも穏やかに日々を過ごせますように。麦茶の懐かしさが母との時間を思い出させ、切なさが募ります。

    (監修:神野)

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  • 麦茶飲む フェスのMC聴く時間

    2023.06.15 放送

    作者:木野桂樹(千葉)

    「フェス」とはフェスティバルの略で、ロックフェスなど、たくさんのバンドが出演する音楽イベントを指して使われます。屋外の空間で音楽に身を委ねる、開放的なイベントです。曲の演奏の合間にアーティストが話をするタイミングで、水分補給の麦茶をごくり。体調にも気をつけて、存分に楽しみましょう。

    (監修:神野)

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  • マネージャーかよわし 麦茶五リットル

    2023.06.14 放送

    作者:秋本 哲(松山)

    夏は熱中症のリスクも高く、水分補給が大切です。運動系の部活動のマネージャーが、部員のために麦茶を用意しているのでしょう。かよわく見える細腕で、重たい麦茶を運ぶ姿に、頼もしさ、たくましさを感じます。休憩時間、汗をたっぷりかきながら、ごくごくと麦茶を飲む選手たちまで見えてきます。

    (監修:神野)

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  • 年金に 天引き多し 麦茶汲む

    2023.06.13 放送

    作者:老人日記(広島)

    年金も満額すべてが振り込まれるわけではなく、介護保険料や健康保険料などが天引きされ、残りが手取りとなります。なかなか贅沢はできない年金暮らし、おのずと天引きの金額や費目も気になります。麦茶は比較的手ごろな庶民の味方です。麦茶を飲んでクールダウン、暑い夏をなんとか乗り切りたいものです。

    (監修:神野)

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  • 早番の 麦茶を沸かす 保育園

    2023.06.12 放送

    作者:堀川絵奈(西予)

    麦茶は暑い夏に、すっきりと喉を潤してくれます。大麦を炒って煎じた味わいは香ばしく、夏の生活に欠かせません。麦茶はノンカフェインでミネラルも多く、赤ちゃんや子どもにも安心です。早番の保育士さんの仕事に、麦茶作りもあるのでしょう。子どもたちの健康を守り育てる、尊い仕事です。

    (監修:神野)

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  • 蚊を殺す 大阪湾に 日が沈む

    2023.06.09 放送

    作者:小枝恵美子

    小さな蚊から、水面の揺れる大阪湾に景色が広がり、さらに、沈む真っ赤な入日へと視線が移ります。同時に、蚊を殺すという刹那が、夕暮時であることもわかります。なんとなく、人恋しい気分が漂います。手のひらに殺した蚊を、しばし見つめたかも知れません。釣りか、夕涼みか。スケールの大きな、物語性のある蚊の俳句です。

    (監修:谷)

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  • 潜水夫 梅雨の海から 濡れて出る

    2023.06.08 放送

    作者:菅 八萬雄

    灰色の梅雨の海から、黒々とした潜水具を身につけた潜水夫が上がってきた景色。仕事を終えた勇姿がありありと目に浮かぶようです。海だから濡れて出て来るのは当然なのですが、当たり前のことを述べることで、詩になりました。作者は、明治三十九年、現・今治市大三島で生まれました。山口誓子主宰「天狼」の同人でした。

    (監修:谷)

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  • 昼寝覚 この世の水を ラッパ飲み

    2023.06.07 放送

    作者:内田美紗

    暑い夏には疲れやすいので、思い思いの午睡をして元気を回復します。この人の昼寝は、家の中、それとも仕事中の木陰のベンチ? 目覚めて、今生きている場所をはっきりと認めた様子。そして、この世の水で乾いた喉を潤しました。現代のペットボトルなどは「ラッパ飲み」そのものですから、今はかえって使われない言葉になったようです。

    (監修:谷)

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  • 蜘蛛の子の 一目散に 生まれけり

    2023.06.06 放送

    作者:結城昌治

    袋の中の蜘蛛の卵がかえると、袋が破れ、けし粒のような蜘蛛が出てきて、四方に散ります。それを一目散に生まれる、とユーモラスに表現しました。この句を読むと、まるでその場面に立ち会ったように、思わずきらきらと目を見張ります。小説家の作者は、療養中に石田波郷と出会い、俳句を始めました。

    (監修:谷)

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  • 白玉や 甍に風の 吹き渡り

    2023.06.05 放送

    作者:大木あまり

    白玉は、白玉粉を水でこねて、一口大に小さく丸めて茹であげたもの。冷やして食べる夏のもので、かき氷や蜜豆などにも添えられ、活躍の場面が多いです。その白玉を作っていたのでしょう。折しも瓦の屋根には、初夏の風が吹きわたっています。その風と相俟って、いかにも涼し気で、艶やかな白玉が出来上りました。

    (監修:谷)

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  • 冷蔵庫ひらいて 鳩のゆめのなか

    2023.06.02 放送

    作者:山岸由佳

    暑い夏は食べものが腐りやすいので、保存のための冷蔵庫も季語になっています。冷蔵庫をひらいた中の景色を、みなさんなら何にたとえるでしょう。作者はなんと、鳩の夢の中のようだと捉えました。冷蔵庫という箱の手品のような不思議な存在感を、独自の発想で書きとめた一句です。

    (監修:神野)

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  • 雨やまば 鵜舟も出でむ 星も出む

    2023.06.01 放送

    作者:山西雅子

    鵜飼の季節がやって来ました。潜水して魚を獲る習性を利用して、鵜を操り、鮎を獲ります。鵜飼を営むための舟が「鵜舟」です。夕方、雨が止みました。川には鵜舟も出てくるでしょう、空には星も出るでしょう。命の気配ひしめく夏の夜が、ひたひたと満ちてきます。

    (監修:神野)

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テレビ愛媛ではみなさまから
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7月のお題「風鈴」の
応募は締め切りました

応募フォーム、メールアドレス、ハガキの中からご応募ください。メールアドレス、ハガキでのご応募は、お題を含む俳句(ふりがな)・氏名(ふりがな)・住所・電話番号・メールアドレスを記載してお送りください。一人何句でも応募可能です。選ばれた俳句は、EBC Live News「きょうの俳句」コーナーでの放送のほか、テレビ愛媛のホームページ等で紹介します。作者の氏名(ペンネームの場合はペンネーム)、お住いの市町名(ジュニアの場合は学校名)も紹介されます。
(採用された方には放送日を事前に連絡し、記念品を贈らせていただきます。)
※俳句の募集は、毎月第2月曜日、午後6時から開始します。

応募規約

・応募作品は未発表で、ご自身の作品(著作権がご自身にある作品)に限ります。
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