2022年6月の俳句

  • 青岬 分てる海を 分ち見る

    2022.06.30 放送

    作者:玉貫寛

    この句からは、すぐに佐田岬半島を思い浮かべるでしょう。青岬は、青葉の茂る頃の岬で、きれいな言葉です。日本一長い岬が分けているのは、瀬戸内海と宇和海。眼下に広がる両方の海を、岬の上で分ち見ているという壮快な一句です。作者は、昭和に活躍した松山出身の外科医で俳人、また小説も書きました。

    (監修:谷)

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  • カヌー干す カレーは次の日も うまい

    2022.06.29 放送

    作者:山本純子

    カヌー体験と銘打ったツアーなどが人気ですが、この句は、自分の愛用のカヌーでしょう。パドルという櫂で漕ぐ、ごく原始的な小舟です。川か海に近い小屋の軒の下に、水から上がったばかりのカヌーを立て掛けました。カヌー、カレーの言葉の響き合いが、お腹をすかせて食べる二日目のカレーの旨さを、一層引き立てます。

    (監修:谷)

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  • 汗拭い 洗って乾く間に 昼餉

    2022.06.28 放送

    作者:片野瑞木

    汗拭いは、汗を拭くために用いる布です。麻や木綿、レースで縁どった美しいハンカチなどがあります。でも、今日の句の汗拭いは、労働のための簡素でよく働く汗拭きです。汗で濡れたハンカチか手ぬぐいを、昼餉のうちにぱっと洗って乾かします。作者は蜜柑農家の方。一息ついた蜜柑山でのお弁当が、とても美味しそう。

    (監修:谷)

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  • わたしから あなたへの旅 てんと虫

    2022.06.27 放送

    作者:原ゆき

    あなたはすぐそこにいるのですが、天道虫には旅なのだなあ、とこの句を読んで気づきました。羽を一生懸命広げて飛ぶ、この小さな昆虫が、わたしとあなたの距離をとてもすてきにしています。友だちか、恋人同士でしょうか。天道虫の旅する向こうには、夏草の芳しい匂いと、深い緑が見えます。

    (監修:谷)

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  • 煌めいて トマトは 赤いまま老いる

    2022.06.24 放送

    作者:樽谷俊彦

    トマトの旬の時期がやってきました。畑やプランターでも手軽に育てられ、さまざまな料理で活躍する、夏に欠かせない野菜です。まぶしい日差しを浴びて、きらきら煌めくトマトの実。熟し切るまで、トマトは赤さを失いません。その赤に、トマトのまっすぐな生命力が輝きます。トマトのように老いるのも、一つの理想かもしれませんね。

    (監修:神野)

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  • 沖縄の夢見て 六月かと思ふ

    2022.06.23 放送

    作者:井上土筆

    今日は沖縄忌です。太平洋戦争末期、沖縄は激戦地となり、多くの命が犠牲となりました。野村町出身の井上土筆は、兵士として壮絶な沖縄戦を経験しました。かつての沖縄を夢に見て、今年も六月が来たと気づきます。平成五年の作。戦後何十年経っても、戦争の記憶は影を落とし続けます。今も基地負担の続く沖縄を思い、世界の平和を祈ります。

    (監修:神野)

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  • 大輪を ここぞと咲かせ 鉄線花

    2022.06.22 放送

    作者:吉田千嘉子

    鉄線は蔓性の植物で、五月から六月にかけて、紫や白の花を咲かせます。大輪で花びらも立派なので、梅雨の時期にもパッと華やかな印象をまといます。ぐんぐんと蔓をのばして、ここぞという場所で花ひらいた鉄線花。どっしりと置かれた言葉によって、その迫力が、堂々と立ち上がります。

    (監修:神野)

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  • 限りなく はじめのやうに 今も夏至

    2022.06.21 放送

    作者:小川楓子

    今日は夏至です。昼の時間が一年でもっとも長く、夜がいちばん短い日です。梅雨のただ中で、昼の明るさをなかなか実感できないため、夏至と知らずに過ぎてしまうこともしばしば。しかし夏至だと気づけば、世界はまたここから新しくなる、静かな気配に満ちています。今、夏至という季節の峠に立っている、心の実感を言いとめました。

    (監修:神野)

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  • 鏡から 揚羽出てきて また入る

    2022.06.20 放送

    作者:栗林浩

    蝶といえば春の季語ですが、揚羽のような大きな蝶は、夏に分類されています。窓や扉からではなく、なんと鏡から揚羽が飛び出してきました。鏡に映った揚羽の躍動が、異世界との行き来をも思わせたのでしょうか。鏡のぎらりとした光り方が、夏の日差しの強さを感じさせ、揚羽の命も輝かせます。

    (監修:神野)

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  • 海攫うごと ハンカチへシーグラス

    2022.06.17 放送

    作者:綾竹あんどれ(東京都)

    シーグラスとは、波に揉まれて角のとれた硝子片です。浜辺に打ち寄せられたシーグラスは、まるで優しい宝石のよう。暑くなりそうな夏の日、シーグラスを見つけたので、拾ってハンカチにくるみました。海と同じ青いシーグラス、まるで海そのものを攫ったかのようで、心が静かに弾みます。鮮やかな夏の記憶の一場面です。

    (監修:神野)

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  • もみくちゃの ハンカチ出して 拭けという

    2022.06.16 放送

    作者:たわらご 小島里世(西予市)

    汗をかいているのか、はたまた涙がこぼれてしまったのか……見ていた人が、ハンカチを差し出してくれました。「これで拭きなさい」と言うけれど、そのハンカチはすでにもみくちゃになっています。受け取るべきか、やんわりとお断りするべきか。少し戸惑いつつも、その優しさに、心がふっと軽くなります。

    (監修:神野)

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  • ハンカチや 取引先は 坂の上

    2022.06.15 放送

    作者:千波佳山(茨城県)

    炎天下、仕事で取引先へ向かっているのでしょう。その会社があるのは、なんと坂の上。必死にのぼるうちに、汗がだらだらと噴き出して、ハンカチで拭いながら歩みます。ハンカチという日常に密着した季語を通して、仕事の現場の苦労を掬い上げました。到着したらせめて、冷たいお茶が出てきますように。

    (監修:神野)

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  • ハンカチの サボン香るや 昇降機

    2022.06.14 放送

    作者:杉野祐子(松山市)

    暑い外を歩いてきて、エレベーターに乗ったとき、汗を拭おうとハンカチを出したら、石鹸の香りがふわりと漂いました。洗濯された、清潔なハンカチなのでしょう。サボンという言葉の優しさが、心の緊張の解けた瞬間を物語ります。エレベーターの密室の中だからこそ、心地よい香りが嬉しいですね。

    (監修:神野)

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  • ハンカチや 快晴のしまなみを漕ぐ

    2022.06.13 放送

    作者:或人(松山市)

    夏になると汗をかくので、ハンカチが必須です。昔は汗拭いとも呼び、夏の季語となっています。しまなみ海道はサイクリングの聖地。よく晴れた日に、自転車を漕いで渡っているのでしょう。瀬戸内海のエメラルドグリーンを見下ろして、ハンカチで汗を拭うとき、心地よい夏の風が吹きわたります。

    (監修:神野)

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  • ソフトクリームの てっぺんは快晴

    2022.06.10 放送

    作者:コダマキョウコ

    ソフトクリームの看板が目に入ると、車を止めてつい寄り道したくなります。そして、その白い渦巻のてっぺんをちょこっと舐めた途端、まさに心は快晴です。もちろん、てっぺんに続く空もまた。ソフトクリームは、1951年7月3日に初めて販売されました。日本ソフトクリーム協議会はその日を「ソフトクリームの日」としているそうです。

    (監修:谷)

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  • 鉄壁の 水踏んばつて あめんぼう

    2022.06.09 放送

    作者:上原白泉

    あめんぼうは、池や沼や小川などの水面を、三対の長い脚で体を支え、すいすいと走っています。でもすいすいと見えるのは私たちで、あめんぼうは水を踏ん張っているのだ、とこの人は観察しました。あめんぼうと一体化しているようです。柔らかい水は、実はあめんぼうの脚には鉄壁なのです。作者はかつて、愛媛県で「泉」を創刊、主宰されました。

    (監修:谷)

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  • 条件のひとつ 草笛吹けること

    2022.06.08 放送

    作者:都築まとむ

    草笛を吹けること、それがいったい何の条件に適うというのでしょうか。友だちにしてあげる、あるいは恋人、または俳句仲間に入れてくれる?草を唇にあてて吹くと笛のように鳴るのですが、これがなかなか難しい。息だけがスースー出てしまいます。でも、これって、すてきな条件ではないでしょうか。

    (監修:谷)

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  • かなぶんに シャツつかまれて 泣いてはる

    2022.06.07 放送

    作者:尾崎淳子

    京都の言葉でしょう。「泣いてはる」に、やさしい視線を感じます。泣いているのは女の子でしょうか。「つかまれて」が、いかにもカナブンの感じ。不意に飛んできたカナブンが、シャツにきらきらしがみつきました。それを見て、微笑ましく笑っている大人たちですが、泣いている子は、早くヘンな虫をとってほしいのです。

    (監修:谷)

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  • 婚約す 蜜柑の花の 終る頃

    2022.06.06 放送

    作者:中村阿昼

    「婚約」という言葉、いまはあまり聞かなくなった気がします。形式よりも自然に結婚へと進んでいけばいいのかもしれません。6月の初めには、白く清楚な蜜柑の花も終わりです。その馥郁とした香りの余韻を感じながら、婚約をしました。いずれ実を結ぶ蜜柑の花のように、この人のまっすぐな思いも間もなく結実します。

    (監修:谷)

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  • 滝行者去り 滝音の激しさよ

    2022.06.03 放送

    作者:藤田直子

    滝は年中見られますが、特に清涼感をもたらすため、夏の季語となっています。滝は昔から、穢れを浄める修行の場所とされてきました。滝に打たれる行者が去ったのち、残された滝はいよいよ激しく、音を立てて流れ落ちます。人間をたやすく寄せ付けぬ、自然の揺るぎなさに満ちた一句です。

    (監修:神野)

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  • 進化する ことを忘れて 海鞘喰らふ

    2022.06.02 放送

    作者:本多遊子

    海の生きもの・海鞘は夏の季語。脊椎のもととなる脊索という構造をもち、かつては人間の祖先とも考えられていました。酢の物やお刺身にして口に含むと、海の香りがたっぷりと広がります。その野性あふれる味わいに魅了されるとき、私たちは進化も忘れ、素朴な動物の一つとなって、黙々と海鞘を食べます。

    (監修:神野)

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  • アマリリス 淋しい時は 歯を磨く

    2022.06.01 放送

    作者:松野苑子

    アマリリスはヒガンバナ科の花です。夏の盛りに、赤やピンクの鮮やかな花を咲かせます。華やかでどこかレトロな懐かしさも感じさせるアマリリス。見つめていると、心の中の淋しさが浮き上がってきました。淋しさの癒やし方は人それぞれ。歯を磨いてリセットすることで、また前を向き、歩き出します。

    (監修:神野)

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テレビ愛媛ではみなさまから
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7月のお題「風鈴」の
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応募フォーム、メールアドレス、ハガキの中からご応募ください。メールアドレス、ハガキでのご応募は、お題を含む俳句(ふりがな)・氏名(ふりがな)・住所・電話番号・メールアドレスを記載してお送りください。一人何句でも応募可能です。選ばれた俳句は、EBC Live News「きょうの俳句」コーナーでの放送のほか、テレビ愛媛のホームページ等で紹介します。作者の氏名(ペンネームの場合はペンネーム)、お住いの市町名(ジュニアの場合は学校名)も紹介されます。
(採用された方には放送日を事前に連絡し、記念品を贈らせていただきます。)
※俳句の募集は、毎月第2月曜日、午後6時から開始します。

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・応募作品は未発表で、ご自身の作品(著作権がご自身にある作品)に限ります。
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