2019年4月の俳句

  • 春愁や 長き海岸線に波

    2019.04.30 放送

    作者:夏井いつき(松山市)

    草木が芽吹き、生き物が活動し始める春。この生命力あふれる季節に、ふと物憂い気分に襲われることがあります。「春愁」は、春になればこその、そこはかとない愁い、物悲しさを表す季語です。この句、長い海岸線に打ち寄せる波音が物憂げで、春愁の思いをつのらせているようです。作者は松山市にお住いの俳人。テレビを通じて俳句の魅力を全国へ発信している方です。

    (監修:池内)

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  • 一桁の 昭和生れの 昭和の日

    2019.04.29 放送

    作者:池田啓三

    四月二十九日は「昭和の日」。昭和天皇の誕生日にあたり、昭和の時代を顧みる国民の祝日です。昭和天皇崩御にともない、「天皇誕生日」から「みどりの日」となり、さらに平成19年に「昭和の日」と改められました。作者は昭和7年生まれの方。平成の終る年の昭和の日にあたり、長かった昭和時代と重ね合わせつつ、ご自身の半生を感慨深く振り返っています。

    (監修:池内)

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  • 飯蛸の 膨れつ面も 金曜日

    2019.04.26 放送

    作者:高橋白崔

    春の季語である飯蛸は、小型のタコです。春の産卵の時期に、体内がご飯粒のような小さな卵でいっぱいになるので、その名がつきました。愛媛でもおなじみの食材ですね。甘辛く煮付けた飯蛸は、卵もたっぷり詰まっているので、いつにも増して膨れっ面です。仕事のひと段落した金曜日、飯蛸を肴に一杯やっている、オツな春の宵を詠みました。

    (監修:神野)

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  • たんぽぽに 小さき虻ゐる 頑張らう

    2019.04.25 放送

    作者:南十二国

    仕事やプライベートで落ち込むことがあったのでしょうか。しゃがみこんで、道ばたのたんぽぽを見つめていると、蜜を目当てに花虻がやって来て、せっせと働いています。ああ、こんな小さな虻だって、生きるために頑張っているんだなあ。虻に元気をもらって、ささやかな再出発。「頑張ろう」のひとことに、励まされる一句です。

    (監修:神野)

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  • 味噌漉に 蝶をふせたり 女の子

    2019.04.24 放送

    作者:寺田寅彦

    蝶は、春の季語の代表格です。日差しの中をひらひらと飛ぶ美しさは、つい手を止めて見つめてしまうほど。この女の子も、蝶に魅せられて、つかまえたいと思ったのでしょう。適当な網が見つからないので、なんと料理に使う味噌漉を台所から持ち出して、蝶を閉じ込めたのです。人々の生活と自然の季節とが、いきいきと交わる瞬間を捉えました。

    (監修:神野)

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  • 歩き出す仔猫 あらゆる知へ向けて

    2019.04.23 放送

    作者:福田若之

    春は猫の恋の季節です。恋猫として懸命に鳴き、孕み猫となって、生まれた仔猫も春の季語。生まれたばかりの子猫は、春の光の中、おそるおそる一歩を踏み出します。その先には、世界のすべてが待っているのです。好奇心たっぷりに歩き出す仔猫は、世界が輝きに満ちていることを、思い出させてくれます

    (監修:神野)

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  • 炭酸の やうに生まれて てふてふは

    2019.04.22 放送

    作者:畠慎太朗

    炭酸の泡が底から湧き上がるように、草の中から、ちょうちょが次々と生まれてきました。待望の春が来たのです。いきおいよく青空へ飛び出す蝶の生命力を、炭酸の泡になぞらえ、ユニークに表現しました。松山東高校の俳句部で生まれた一句、かがやく光が見えてきますね。

    (監修:神野)

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  • 石鹼玉 空は惜しげもなく青し

    2019.04.19 放送

    作者:櫛部天思(松山市)

    ストローの先に石鹼水をつけて吹くと、泡が空中に次々と舞い上がり、日の光を受けて美しい七色の玉となります。「石鹼玉」は、江戸時代から伝わる子供の遊びです。ふんわりと春風に流れてゆく眺めを愛でて、春の季語となっています。どこまでも青い空をゆく石鹼玉が印象的な一句。作者は松山市にお住まいの俳人。俳句雑誌「櫟」副主宰です。

    (監修:池内)

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  • 揺れやむは 泣きやむに似て 藤の花

    2019.04.18 放送

    作者:日下野由季

    「藤の花」の咲き始める季節です。長い花房に紫色の花を次々に咲かせる藤は、日本の晩春を優雅にいろどる花です。ことに藤棚として栽培され、一メートル以上もの長さに伸びた藤房が風に揺れる姿は美しく、「藤波」と呼ばれます。これは藤の花をみやびやかな女性に見立てた一句。美女が身をよじって泣くかのように揺れていた藤が、揺れやむ瞬間に注目しています。

    (監修:池内)

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  • 草といふ 草に根のある 朧かな

    2019.04.17 放送

    作者:遠藤由樹子

    春、気温が上がると上昇気流が活発になり、細かな水滴や埃で大気の見通しが悪くなります。この現象を昼は霞といい、夜は「朧」と呼びます。視界不透明な夜景のなかでは、ものの形も色も音も、どこか柔らかく優しげに感じられます。朧の情景のなかで比較的鮮明に見えている草の根をクローズアップした一句です。朧の関連季語には、「月朧」「谷朧」「草朧」などもあります。

    (監修:池内)

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  • チューリップ かなしい時も 赤が好き

    2019.04.16 放送

    作者:福神規子

    「チューリップ」はトルコ原産で、世界中に広まっています。日本へは江戸時代に伝わり、当時は牡丹百合などと呼ばれていました。唱歌にも「赤白黄色」と歌われる色鮮やかな姿は春の花壇の主役で、子供たちにもっとも人気のある花でもあります。作者もチューリップ、特に赤いチューリップが好きな方。何か悲しいことがあった時も、赤いチューリップを見ると元気になれるようです。

    (監修:池内)

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  • いつまでも 空の明るき 蛙かな

    2019.04.15 放送

    作者:黛執

    「蛙」はカエル目の両生類をまとめていう季語。その特徴は、何といっても鳴き声です。冬眠していた蛙は二月頃から目覚めて、春から夏にかけて田圃などで賑やかに鳴きます。遠蛙、夕蛙、夜蛙など、俳句には蛙の姿より声が詠まれることが多いようです。この句も、暮れそうで暮れない春の空のもとで、夕暮れを待ち切れずに鳴き出した蛙を詠んでいます。

    (監修:池内)

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  • 豪雨禍の 町の未来図 チューリップ

    2019.04.12 放送

    作者:竹本桂子(久万高原町)

    豪雨災害に見舞われた町では、復興へ向けて、再建計画が立てられます。悲しくつらい出来事があっても、前を向こうと頑張る人々の姿に、チューリップが優しく寄り添います。この花が咲いたのも、新しい春へ向けて、被災地の誰かが球根を植えたから。この町の未来図も、きっと明るいチューリップの花のように、希望にあふれたものになるでしょう。

    (監修:神野)

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  • 説得と納得 チューリップが咲いた

    2019.04.11 放送

    作者:栗田修次(松前町)

    主張の行き違いがあるとき、粘り強く説得して、納得してもらうことは、なかなか難しいことです。それでも、お互いに妥協点を見つけようと頑張った結果、わだかまりが解けて、雪解けの春が訪れました。花ひらいたチューリップの明るさが、心から納得して分かり合えたのだという、後味のよさを物語ります。

    (監修:神野)

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  • チューリップはランタン月光 を包む

    2019.04.10 放送

    作者:北里卓也(松山市)

    月の光を受けてほのかに灯るチューリップを、まるでランタンのようだと例えました。ランタンは、キャンプなどで活躍する、手提げランプのこと。花びらが蘂をやさしく包むチューリップのかたちは、たしかにランタンに似ています。明るい昼の印象が強いチューリップの、夜の幻想的な姿を描いた、ユニークな一句です。

    (監修:神野)

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  • チューリップ ばらん張り付く 玉子焼き

    2019.04.09 放送

    作者:松山帖句(松山市)

    お弁当を持って、チューリップの咲く広場に、遠足に来ています。ばらんは、お弁当の具のあいだに入れる、草のかたちをした間仕切りのこと。「張り付く」という描写がリアルですね。チューリップの赤、ばらんの緑、玉子焼きの黄色……あざやかな彩りが、春のにぎやかさを伝えてくれます。

    (監修:神野)

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  • 「君が代」の あとの静寂 チューリップ

    2019.04.08 放送

    作者:瀬戸薫(松山市)

    式典で、国歌の「君が代」を歌ったあと、おごそかな静寂に包まれる、引き締まった雰囲気を詠みました。チューリップだから、学校の入学式でしょうか。これから始まる学校生活への、期待や不安もあるでしょう。静寂の緊張感を、チューリップの明るさが、やさしくほぐしてくれます。

    (監修:神野)

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  • 漂白の 旅の始めや 花筏

    2019.04.05 放送

    作者:長島衣伊子

    爛漫と咲き満ちた桜の花は、やがて散ってゆきます。散りゆく花を惜しむのも花見の一つです。落花を愛でる季語もいろいろありますが「花筏」もその一つ。水面に落ちた花びらが寄り合って流れてゆく姿を筏と見た季語です。これは、さすらいの旅の始めに見た花筏。落花にとっても、花筏になることは漂白の旅の始まりなのかもしれませんね。

    (監修:池内)

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  • 夕桜 夜ざくらと なりゆく仰ぐ

    2019.04.04 放送

    作者:今井千鶴子

    今週は桜の句の色々をご紹介しています。桜は時代を越えて日本人とともにあり、最も愛でられてきた花。花の盛りだけでなく、散って行く風情にも心を引かれます。また黄昏時に見る「夕桜」には、真昼の日の光に照らされた桜とは異なる美しさがあります。この句は、夕桜から篝火の明かりで観賞する「夜ざくら」へと変化する時間経過のなかで、桜を愛でています。

    (監修:池内)

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  • 向うより 同じ桜を 眺めをり

    2019.04.03 放送

    作者:深見けん二

    花七日といわれるように、桜は咲いてから七日ほどで散り始めます。短い花の盛りを愛でて楽しむのが花見です。といっても花の名所へ出かけるだけが花見ではありません。この句は、作者の近所のお馴染みの桜のようです。今年もまた満開の桜を見ていると、何と向う側からも同じ桜を眺めている人がいました。同じ桜でも、反対側からは、また一味違った光景が見られるのかもしれません。

    (監修:池内)

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  • 咲きみちて 天のたゆたふ さくらかな

    2019.04.02 放送

    作者:恩田侑布子

    「さくら」は花のなかの花。日本列島には大昔から野生の桜が自生し、春の野山を彩ってきました。日本人は毎年、桜によって春の訪れを知り、また花の盛りにめぐり会えたことを喜んできました。いまでは、桜といえば明治以降に広まった染井吉野を指すようになりました。咲き満ちた巨木の桜とともに天もゆらゆらと揺蕩うているように見える。日本の春ならではの風情です。

    (監修:池内)

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  • エープリルフールの 虚貝ふたつ

    2019.04.01 放送

    作者:藤本美和子

    四月一日は「エープリルフール」。日本語で四月馬鹿、万愚節ともいいます。この日に限り、罪のない嘘やいたずらで人をかついでも許されるという風習があります。四月一日の浜辺をそぞろ歩きして、貝を拾いました。ところが折角拾った貝は、二つとも中身のない空っぽの虚貝でした。作者は、かえってエープリルフールらしくていいや、と面白がっているようです。

    (監修:池内)

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