2026年1月の俳句

  • 水仙の のぞく手提げを 膝の上

    2026.01.30 放送

    作者:中原幸子

    馥郁とした香りの清楚な「水仙」は、十二月から三月ころまで私たちを楽しませてくれます。電車の中の光景でしょうか。誰かに届けるための水仙か、買ってきたものか。手提げ袋からのぞいている水仙の白さは、膝の上でひと際目を引くでしょう。この人物の端正な佇まいまでも想像します。花が放つ良い匂いもまた、辺りの人を和ませます。

    (監修:谷)

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  • 降る雪に 胸飾られて 捕へらる

    2026.01.29 放送

    作者:秋元不死男

    「降る雪」からの最後「捕へらる」への場面展開に驚きます。この句の前書に「昭和十六年二月四日未明、俳句事件にて検挙。」とあります。新興俳句弾圧事件による二年間の獄中生活でした。雪はこの時、俳人の胸を飾る誇りそのものであった気がします。不死男には「鳥わたるこきこきこきと罐切れば」というユニークな句もあります。

    (監修:谷)

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  • 神様は いつも親切 焼芋屋

    2026.01.28 放送

    作者:原 ゆき

    失敗に落ち込んでとぼとぼと帰途につくとき。あるいは、身体の芯まで冷え込む夜道で、焼芋屋に出合ったのです。まるで神様のプレゼントのように。焼芋屋は寛政五年(一七九三)に江戸に現れたそうですが、当時の人たちも、神様の贈り物のように思えたでしょうか。「いつも親切」という言葉に神様への親しみを感じます。

    (監修:谷)

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  • 水鳥の おもたく見えて 浮きにけり

    2026.01.27 放送

    作者:上島鬼貫

    季語の「水鳥」は、冬に水上で暮らす鳥の総称です。鴨、雁、白鳥、鴛鴦、鳰などがいます。今日の句の場合は、割と大きめの鳥でしょうか。鴨など重そうに見えますが、水の上では軽々と浮いているよう。それで、水鳥は浮鳥とか浮寝鳥とも言います。その様子を率直に句にして、私たちの目の前に再現してくれました。

    (監修:谷)

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  • 大寒や 転びて諸手つく 悲しさ

    2026.01.26 放送

    作者:西東三鬼

    「大寒」は例年一月二十日頃で、一年で最も寒い時期です。二月初旬の立春まで冷え込みます。転ぶことは、一年中何処でも起こります。恥ずかしさにさっと立って、何事もなかったように歩き出す経験、誰にもありそう。でも、着膨れた大寒の日に、地面に両手を突いて転んでしまうと、惨めで滑稽。思わず「悲しさ」と、あからさまな呟きを吐露しました。

    (監修:谷)

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  • ファシリティードッグの添い寝 日脚伸ぶ

    2026.01.23 放送

    作者:煌星アニカ(福岡)

    ファシリティードッグとは、病院などの施設で、患者や家族を癒し励ますために育成された犬です。やさしく添い寝する犬のぬくもりは、まるでやわらかな日だまりのよう。日本ではまだ事例が少ないですが、春へ向かって日脚が伸びてゆくように、この取り組みがより多くの人に届くことを願います。

    (監修:神野)

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  • 日脚伸ぶ 地球の羽化を 待ちましょう

    2026.01.22 放送

    作者:そまり(新居浜)

    羽化とは、昆虫がさなぎから成虫になることです。日脚が伸びて、春になれば蝶や蜂も次々に羽化します。作者はさらに、地球の羽化にまで想像を広げました。青い地球がさなぎなのだとしたら、来たるべき春にはどんな美しい羽を広げるでしょう。生命体としての地球を、ういういしく輝かせました。

    (監修:神野)

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  • 日脚伸ぶ 二十二巻の 子規全集

    2026.01.21 放送

    作者:徳永晴樹(松山)

    講談社から刊行された『子規全集』は、別冊を除けば、なんと全22巻もあります。その数字は、34歳で閉じられた短い生涯の中で、子規がどれだけたくさんの俳句や短歌を詠み、文章を書き、人と交わったかを物語ります。取り合わせた季語のまぶしさに、子規の生来の明るさを思います。

    (監修:神野)

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  • 日脚伸ぶ 伏すこと多き 夫の部屋

    2026.01.20 放送

    作者:佐々木一美(宇和島)

    調子がおもわしくなく、部屋で伏せっていることの多い夫を、心配しています。できることがあればしてあげたいけれど、そのつらさを取り切ることはなかなか難しいものです。それでも、春が近づき、部屋に少しずつ日差しが長くとどまるようになりました。太陽の力も恃みにしながら、静かに見守ります。

    (監修:神野)

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  • 縁側に 上がる鶏 日脚伸ぶ

    2026.01.19 放送

    作者:長谷川淑子(兵庫)

    かつては、飼っていた鶏が家のあたりをうろつくさまも、よく見かける風景でした。また、昔ながらの家には縁側があって、家の中と外とがゆるやかに繋がっていましたね。庭にいた鶏が、ある瞬間、飛び上がって縁側の床の上に乗りました。突然の出来事に驚きつつ、その勢いに春の兆しが弾けます。

    (監修:神野)

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  • 日脚伸ぶ 能登も神戸も東北も

    2026.01.16 放送

    作者:犬淵貉(新潟)

    一月一日の能登半島地震、十七日の阪神淡路大震災、そして三月十一日の東日本大震災。年が明けると、列島の震災の記憶が疼き出します。取り合わせた「日脚伸ぶ」という季語は、刻々と春の近づく希望を秘めています。被災地にも復興の春が訪れることを、心から祈ります。

    (監修:神野)

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  • 職の無きまま 日脚伸ぶ日脚伸ぶ

    2026.01.15 放送

    作者:川村ひろの(千葉)

    日脚が伸びて春が近づくことは、本来嬉しいものです。しかし、なかなか職が見つからない状況においては、日脚が伸びることも、ただ時間だけが過ぎてゆくよう。日向ぼこをしながら自らの行く末を案じている、ぼんやりとした焦燥感が、明るい日差しの中に満ちてゆきます。

    (監修:神野)

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  • 日脚伸ぶ 尾鰭しづかに 泥上げて

    2026.01.14 放送

    作者:栗田 修次(松前)

    伸びてきた日脚は、この世界のあちこちをやさしく照らし、小さな野川にも少しずつ光が満ちてゆきます。流れをのぞきこめば、魚が泳いでいます。その尾鰭が水の底に触れた瞬間、泥が静かに上がりました。何気ない日常の片隅に、やわらかな命の躍動を見つけた一句です。

    (監修:神野)

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  • 讃岐富士 ふつくらとして 日脚伸ぶ

    2026.01.13 放送

    作者:佐藤浩章(香川)

    香川県の飯野山は、その円錐形が富士山に似ていることから、讃岐富士と呼ばれています。新日本百名山にも選ばれ、気軽に登れる山としても親しまれています。「ふっくら」という描写が、讃岐富士の輪郭をほがらかに描き出し、春の近づく日差しの柔らかさを伝えます。

    (監修:神野)

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  • 駄菓子屋に 増へる自転車 日脚伸ぶ

    2026.01.12 放送

    作者:沼宮内 薫(横浜)

    冬至が過ぎ、年も明けると、だんだんと日も長くなります。これが「日脚伸ぶ」です。昼の時間が少しずつ長くなり、春の兆しを感じます。駄菓子屋に集まる子どもたちの自転車も、いつもより増えているみたい。にぎやかに伸びやかに、春を待つ明るい街角です。

    (監修:神野)

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応募フォーム、メールアドレス、ハガキの中からご応募ください。メールアドレス、ハガキでのご応募は、お題を含む俳句(ふりがな)・氏名(ふりがな)・住所・電話番号・メールアドレスを記載してお送りください。一人何句でも応募可能です。選ばれた俳句は、EBC Live News「きょうの俳句」コーナーでの放送のほか、テレビ愛媛のホームページ等で紹介します。作者の氏名(ペンネームの場合はペンネーム)、お住いの市町名(ジュニアの場合は学校名)も紹介されます。
(採用された方には放送日を事前に連絡し、記念品を贈らせていただきます。)
※俳句の募集は、毎月第2月曜日、午後6時から開始します。

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