2025.09.30 放送
秋の季語「鶺鴒」は、人の生活圏にも親しく通う小鳥です。公園などの街角でしょうか、スケッチをしていると、鶺鴒がちょこちょこと行き来します。まるで、スケッチの中を出たり入ったりしているみたい。描くという定点をつくることで、鶺鴒のこまごまとした可憐な動きが、楽しく写し取られました。
(監修:神野)
2025.09.29 放送
葡萄の中でも人気のマスカットは、爽やかな甘みが特徴です。大きな窓のそばの机に、マスカットが盛られています。窓の向こうの雨の気配を、みずみずしいマスカットの粒が引き寄せます。むき出しの自然が、窓一枚を隔てて迫ってくることで、ひたひたと寄る辺なさが募ります。
(監修:神野)
2025.09.26 放送
松虫は淡い褐色で、草叢でチンチロリンと鳴きます。童謡「虫のこえ」の冒頭に出てきて、もしかしたら私たちが初めて覚えた虫の鳴き声かもしれません。松虫の音と、目の前で白湯がちんちん沸いてきた鉄瓶の音とが重なります。寂しい秋の夜がなんだか楽しくなってきました。松虫に「ここでも鳴いているよ」と、言っているようです。
(監修:谷)
2025.09.25 放送
「月」は秋の代表的季語で、俳句で単に月と言えば秋の月のことです。キスチョコは、小さな雫のような形をしたかわいいチョコレート。そのキスチョコよりももっと小さな、でもくっきりとした月が見える窓で、寝る前の歯を磨いています。秋の夜も深まった、高く上がった月でしょうか。磨き上がりは、月のごとくにピカピカかも。
(監修:谷)
2025.09.24 放送
俳句では、春の彼岸を単に「彼岸」というのに対して、秋は「秋彼岸」と言います。仏事を行うのは春と同じで、秋分の日の前後七日です。さびしさとは、秋の彼岸のミズスマシのようなものだ、という句。彼岸のしんとした心もちで、くるくる旋回するミズスマシを、見つめています。水面に寂しさが広がっていくようです。
(監修:谷)
2025.09.22 放送
つくつく法師の呼び方で親しい秋の蝉、法師蝉。何よりも先に秋の到来を知らせてくれる気がします。その声は、耳のうしろからしみじみとやってくるという句。作者茅舎には、「また微熱 つくつく法師 もう黙れ」という句もあります。「しみじみ」からは、あまりにかけ離れた心境です。しみじみしたり、うるさく聞こえたりする法師蝉です。
(監修:谷)
2025.09.19 放送
樹齢が百年にもなる大きな杉を、木材として伐る朝がやってきました。人間の一生を超えるほどの時間を見てきた杉は、荘厳な気配をまとっています。澄む水の清らかさが、人間の心もまた静かに澄みわたらせてゆきます。木に感謝し、山に感謝し、次の百年へ向けて新たな芽が育つことを願います。
(監修:神野)
2025.09.18 放送
記紀とは、古事記や日本書紀といった古代の歴史書や神話を指します。記紀の国とは、日本のことです。夏のまぶしさが過ぎ去った秋。飛ぶ鳥の影もくっきりとして、世界は輪郭を取り戻します。澄みわたる水と大気のあわいを、鳥が悠々と飛ぶさまは、古代から変わらない、清らかな日本の秋です。
(監修:神野)
2025.09.17 放送
言われてみればたしかに、バターナイフのかたちは舟の櫂に似ています。バターナイフを使うとき、ふと、そのかたちを通して水辺のイメージがひらめきました。小さな櫂で想像の湖に漕ぎ出せば、秋はいよいよ澄みわたります。「水澄む」という自然の季語を、日常から繊細に引き寄せました。
(監修:神野)
2025.09.16 放送
秋の水辺で、釣りをしています。水もよく澄んでいるので、垂らした糸の先に魚が泳いでいるのも、よく見えます。釣果とは、釣りをして得た成果のことです。釣り上げた魚をキャッチ&リリースで水へかえせば、きらりと光って、澄んだきらめきの底へ潜ってゆきます。
(監修:神野)
2025.09.15 放送
夏が過ぎ、空気や水が澄みわたる秋は、野生動物にも過ごしやすい季節です。春に生まれた仔山羊も、ずいぶんたくましくなって、野山を駆けまわっています。あるとき一気に、崖の肌を駆け上りました。瞬間の命の躍動に呼応するように、澄む水が静かにきらめきます。
(監修:神野)
2025.09.12 放送
もう二度と戦争はしないと誓った詩を、石に彫って碑としました。しかし、それから長い年月が経ち、今はその詩碑も草むらに覆い隠されつつあります。忘れられゆく記憶。過去の戦争を思う八月が過ぎ、秋が静かに巡ってきます。澄む水の清らかさに、反戦への祈りを託しました。
(監修:神野)
2025.09.11 放送
ビーバーは、水辺に棲む哺乳類です。その尻尾は平べったく、オールのように動かして、推進力で泳ぎます。ひんやりと澄んだ水を泳ぐのは、きっと気持ちがよいでしょう。作者の慈さんは小学五年生。ビーバーの命を通して、「水澄む」という季語が、ぐっと身近に感じられます。
(監修:神野)
2025.09.10 放送
高松から松山を経て宇和島までを繋ぐ予讃線は、愛媛の暮らしに欠かせない鉄道です。川をいくつも越えてゆく描写は、その路線の自然ゆたかな風土を物語ります。予讃線に揺られて車窓を見やれば、またきらきらと、澄んだ川の光がよぎります。その輝きに、心も静かに澄みわたってゆきます。
(監修:神野)
2025.09.09 放送
阿蘇の広やかな草原に、あか牛が放牧されています。大気が澄み、水が澄みわたる、清らかな秋。のびのびと見渡す風景に、涼しい風が吹きわたります。「風に立つ」という言葉の力強さが、あか牛の堂々とした佇まいを表現しています。大自然に生きる命の姿を、きりりと詠み上げました。
(監修:神野)
2025.09.08 放送
秋になると大気が澄むので、水もすがすがしく澄みわたります。湖や川が水底まで見えるような、清らかな美しさを伝える季語です。湖にボートで漕ぎ出し、湖上で櫂を休め、本をひらきました。きらめく光、寄せるさざなみの音。ものみな澄み渡る秋の中、しずかでゆたかな過ごし方です。
(監修:神野)
2025.09.05 放送
「鳴子」は、鳥追いの道具の一つで、秋の稲田に仕掛けます。板に竹筒や木片を並べてぶら下げ、縄を引いて音を立てて鳴らします。鳴子の縄を引いたら、朝露が一斉に光ったという句。全山の露がまるで逆立ちになったように、きらきらと。全山といい、逆立ちといい、朝の田園風景を大きくユーモラスに描きました。
(監修:谷)
2025.09.04 放送
「秋の宵」は、秋の夜に入ってそれほど時間が経っていない頃をいいます。虫の声や灯り、雨音などにも秋の情趣を感じます。例えば夫の出かけるうしろ姿に「別れし夫婦」とまで言ったのは、秋の宵の寂しさからかもしれません。長年連れ添うと夫婦の会話は少なくなりがち。今夜は二人の言葉の少なさが、際立って感じられたのでしょう。
(監修:谷)
2025.09.03 放送
俳句で「虫」は、秋に草叢で鳴く虫を指します。蟋蟀や鈴虫、キリギリスなどで、鳴くのはいずれも雄。石鹸を使ううち角が取れてきて、手の中に納まるようになると、使いやすくてうれしくなります。でも、虫の闇と取り合わすと、石鹸が手の中で消え入ってしまいそう。虫の声で暗闇がいっそう濃くなる、「虫の闇」に吸い込まれて。
(監修:谷)
2025.09.02 放送
季語「秋暑」は残暑と同じで、まだまだ夏バテになる人も少なくない時期です。面白い名のババヘラアイスは、秋田県の夏を象徴するスイーツです。おばあさんがヘラを使ってアイスを盛り付ける姿から、この名が付けられたとのこと。薔薇のように盛ります。路傍にパラソルを張っての一人売り。避暑するように路傍に寄ってみたいです。
(監修:谷)
2025.09.01 放送
立秋はとうに過ぎましたが「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるように、まだまだ暑さを感じます。髪を刈り上げるバリカンの音は、確かに暑苦しいかもしれません。襟足からだんだんと耳の辺りに近づく緊張感。大きくうなる残暑のような音がぴたりと止んだら、涼し気でさっぱりした顔が、鏡に映ります。
(監修:谷)
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