2026年7月の俳句

  • 帰省子に 唐黍をやく 強火かな

    2026.07.31 放送

    作者:杉田久女

    帰省は、長期休暇に学生や会社員などが故郷に帰ることです。夏休みを利用する人が多いので、夏の季語になっています。「帰省子」は、家族が帰省した子どもを言う言葉です。子どもにとってもうれしい休暇ですが、それ以上に、家族が待ちかねていました。親は早速、好物の唐黍を焼きます。最後の「強火かな」に、安堵と、気持ちの高鳴りが出ています。

    (監修:谷)

    音声で俳句を聞く/止める
  • 幼女期の華やぎで 沸き立つプール

    2026.07.30 放送

    作者:伊丹公子

    レジャー施設のプールも、学校のプールでも、今年は例年以上の賑いを想像します。潜ったり、浮き輪で遊んだり水を掛けあったり。限られた枠の中で、それぞれが思いっきり楽しみます。誰もが無邪気になれるプールの様子を、幼女の頃の華やぎ、と表現しました。華やぎで沸き立つ水しぶきがきらきらと、眩しいです。

    (監修:谷)

    音声で俳句を聞く/止める
  • あめんぼと雨と あめんぼと雨と

    2026.07.29 放送

    作者:藤田湘子

    あめんぼは、あめんぼうとも呼び、食べる飴の匂いがするのでこの名があります。長い脚で水面を滑走します。「あめんぼ」と「雨」の二つの言葉だけで、いきいきとした景色を描いた一句。大胆でシンプル。「あ」の頭韻が明るく響き、一度聞いたらすぐ覚えそう。すいすい進むあめんぼが作る水輪と、雨粒が織りなす楽しい風景です。

    (監修:谷)

    音声で俳句を聞く/止める
  • 薔薇色の くちびる涼し グレイヘア

    2026.07.27 放送

    作者:花見鳥(埼玉)

    グレイヘアとは、白髪を染めず、自然な髪色を生かしたヘアスタイルです。そのナチュラルな美しさは、夏の日差しにも涼しく輝きます。選んだ口紅は薔薇色でした。赤い色は暑さと結びつきがちですが、上品でよく似合っているから、涼しげなのでしょう。自然体のコーディネートに、素敵な年の重ね方を感じます。

    (監修:神野)

    音声で俳句を聞く/止める
  • やっと名の 決まりて 猫の髭涼し

    2026.07.24 放送

    作者:空豆魚(神奈川)

    「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」とは、夏目漱石の小説の冒頭です。やって来た猫の名前を、あれこれ考えていたのでしょう。ようやく決まった名前で呼ぶとき、猫はさて、ミャーと返事をしたでしょうか。髭の涼しさに着目することで、我関せず、飄々とした猫の表情が見えてくるのも楽しい一句です。

    (監修:神野)

    音声で俳句を聞く/止める
  • 皿が嶺の 風穴涼し 芥子青し

    2026.07.23 放送

    作者:やぎ じゅうめい(松山)

    東温市の皿ヶ嶺には、一年を通して涼しい風が吹き出す「風穴」があります。この風穴の周辺は、真夏でも平均15℃ほどとひんやりしています。その冷気によって、ヒマラヤなどの高山に咲く青い芥子が、この時期になると見られます。花びらのみずみずしい青さが、涼しさをさらに引き立たせます。

    (監修:神野)

    音声で俳句を聞く/止める
  • ドネーションカット 涼しき盆の窪

    2026.07.22 放送

    作者:高尾一叶(三重)

    病気や事故で髪を失った人にウィッグを提供するため、伸ばした髪を寄付する活動が、ヘアドネーションです。数年かけて伸ばした髪をショートヘアにカットしました。首の後ろに隠れていた盆の窪もあらわになって、涼しげです。風を首筋に感じるとき、すっきりとした達成感が吹き抜けます。

    (監修:神野)

    音声で俳句を聞く/止める
  • 上高地 ベルの涼しき 喫茶店

    2026.07.21 放送

    作者:近江菫花(滋賀)

    上高地は、長野県松本市の景勝地です。標高1500mの高さにあり、夏の避暑地としても愛されてきました。日々の暑さから離れるべく上高地を訪れ、ふらりと喫茶店へ寄ります。扉を押すと、ドア・ベルがチリンと鳴りました。その音の涼しさも上高地らしいものだと、旅のひとときを喜びます。

    (監修:神野)

    音声で俳句を聞く/止める
  • 野外フェス果て 満天の星涼し

    2026.07.17 放送

    作者:ピアニシモ(松山)

    野外フェスは、屋外の特設会場で行われる音楽イベントです。複数のアーティストが、複数の会場でライブをリレーするので、多くの観客が集まって盛り上がります。野外フェスが終わり、静かになった夜を帰ります。頭上に輝く満天の星が、音楽の代わりに、夜空を涼しくあふれます。

    (監修:神野)

    音声で俳句を聞く/止める
  • 折り紙を 涼しく滑る 指の腹

    2026.07.16 放送

    作者:柚木みゆき(和歌山)

    みなさんは、夏の涼しさを、どんな場面に感じるでしょうか。この句の作者は、折紙を折るとき、折り目をつけるために紙の上を滑らせる、指の腹を涼しいと捉えました。祈りをこめて鶴を折っているのかもしれません。折紙のするりと有機的な手触りが、涼しさに風合いを与えてくれます。

    (監修:神野)

    音声で俳句を聞く/止める
  • 草を打つたびに 涼しき蹄かな

    2026.07.15 放送

    作者:イサク(愛知)

    蹄をもって草を駆ける生きものというと、馬や鹿などの俊敏な動物を思い浮かべます。いきいきと青く生い茂る夏草を、蹄が力強く打って駆け抜けます。「打つたびに」という表現が、涼しさを加速させてゆきます。広やかな野を涼しい風が吹きわたる、おおらかな夏の風景です。

    (監修:神野)

    音声で俳句を聞く/止める
  • 釣船に 潮の香涼し ターナー島

    2026.07.14 放送

    作者:徳永晴樹(松山)

    松山の沖合に浮かぶ無人島の四十(しじゅう)島(しま)は、夏目漱石の小説『坊っちゃん』で、ターナー島と呼ばれました。海に出た釣船に、潮の香が寄せ、風が涼しく吹いています。ターナー島も、ぽつんと涼しく、瀬戸内の海に浮かんでいます。さて、今日は何が釣れたでしょうか。

    (監修:神野)

    音声で俳句を聞く/止める
  • 涼しさや 靴を揃ふる 子のうなじ

    2026.07.13 放送

    作者:吉田達郎(滋賀)

    実際に気温が下がって涼しくなるのは秋ですが、「涼し」は夏の季語です。暑さの中で思いがけず感じる涼しさが、特に嬉しいという感動から、夏に分類されています。家に上がるときに靴を揃える子の、うつむいたうなじが涼しげです。お行儀のよい姿を好もしく思う気持ちが「涼しさ」に託されています。

    (監修:神野)

    音声で俳句を聞く/止める
  • 百日紅 その辺にいる子に育つ

    2026.07.10 放送

    作者:清水哲男

    百日紅は、幹や枝が滑らかで、猿も滑るというのでこの名があります。また夏から九月にかけて花が長く咲き継ぐことから「百日紅」とも読みます。「その辺にいる子」とは、目立つところが無くても、他の子と混じって仲良く育ってゆく子を想像します。枝先に揺れる白やピンクの房のように、ふんわりしなやかな子どもたちです。

    (監修:谷)

    音声で俳句を聞く/止める
  • 夕砂が 泳ぎづかれの 足さらふ

    2026.07.09 放送

    作者:林原耒井

    「泳ぎ」が夏の季語です。海に囲まれた日本の浜辺のあちこちが、海水浴で賑わいます。日が沈むころまで泳いでいたのでしょう。海から上がろうとする足が砂にとられます。まるでさらわれるような感覚で、転びそうに。存分に泳いだあとの、心地よい疲れです。夕砂という詩的な情景が、どこかユーモラスな人の姿を包みます。

    (監修:谷)

    音声で俳句を聞く/止める
  • 冷麦や 赤子泣かせて 平然と

    2026.07.08 放送

    作者:田中裕明

    冷麦はうどんより細い麺で、冷たいつゆに浸けていただきます。紫蘇、葱、茗荷など薬味を添えて、食欲が落ちる夏に好もしい食べ物です。注文した冷麦を食べているお母さん。傍らに寝かせている赤ちゃんが泣いているのに、気にせず食べているように見えます。でも実は、冷麦ゆえにさっと済ませて、赤子を抱いて席を立ち去りたいのです、きっと。

    (監修:谷)

    音声で俳句を聞く/止める
  • 七夕を 待たずに橋を 渡るかな

    2026.07.07 放送

    作者:秋尾 敏

    七夕は陰暦七月七日に行われる行事で、季語としては秋になります。ただ今日では陽暦七月七日、つまり今日、七夕祭りをする所が多いです。牽牛と織姫が年に一度だけ逢える日。橋を渡るこの人も、恋人かあるいは思いを寄せている人に会いに行くのでしょう。ふと、七夕が近い事を思い出しながら。天の川を渡る気分になっている?

    (監修:谷)

    音声で俳句を聞く/止める
  • 何考へて 蟻の列 滞る

    2026.07.06 放送

    作者:高田正子

    「蟻」は春から秋まで見られますが、夏に一番活動的です。女王蟻と、多数の働き蟻で立派な社会生活を営んでいます。蟻が行列を作って巣と往復するのを「蟻の道」と言いますが、その列が進むのをやめて乱れています。蟻たちに何か異変があったのでしょう。人間から見た小さな世界の不思議を「何考えて」と表現しました。

    (監修:谷)

    音声で俳句を聞く/止める
  • 暑き日の 椀の薄雪昆布かな

    2026.07.03 放送

    作者:宮木登美江

    薄く削った白いとろろこんぶのことを「薄雪昆布」と呼びます。暑いと食欲も落ちるので、栄養もあってとろりと食べやすいとろろこんぶを、お吸い物などにしていただきます。夏の暑さの中で、「薄雪」という冬を思わせる言葉が、心をひんやりと涼しくしてくれる一句です。

    (監修:神野)

    音声で俳句を聞く/止める
  • ぷつと抜く 玉虫色の 烏賊のわた

    2026.07.02 放送

    作者:田正子

    烏賊は夏の季語です。また、比喩として使われていますが、玉虫も夏なので、全体に夏の気配が濃く感じられます。活きのいい烏賊を調理すべくわたを抜けば、そのわたが、つやつやと玉虫色に輝いていました。烏賊のわたに美しさを見出した視点が、世界の見え方を軽やかに更新してくれます。

    (監修:神野)

    音声で俳句を聞く/止める

テレビ愛媛ではみなさまから
俳句を募集しています!

9月のお題は
「桃」 です

応募フォーム、メールアドレス、ハガキの中からご応募ください。メールアドレス、ハガキでのご応募は、お題を含む俳句(ふりがな)・氏名(ふりがな)・住所・電話番号・メールアドレスを記載してお送りください。一人何句でも応募可能です。選ばれた俳句は、EBC Live News「きょうの俳句」コーナーでの放送のほか、テレビ愛媛のホームページ等で紹介します。作者の氏名(ペンネームの場合はペンネーム)、お住いの市町名(ジュニアの場合は学校名)も紹介されます。
(採用された方には放送日を事前に連絡し、記念品を贈らせていただきます。)
※俳句の募集は、毎月第2月曜日、午後6時から開始します。

応募規約

・応募作品は未発表で、ご自身の作品(著作権がご自身にある作品)に限ります。
・他人の作品に著しく類似、または他人の作品の盗用など、第三者の権利を侵害する可能性があると判断した場合は、応募の対象外とします。
・テレビ愛媛は応募作品による権利の侵害等に対し、一切の責任を負いません。

個人情報の取り扱いについて

頂いた個人情報は、優秀句に選ばれた方への事前連絡並びに記念品をお送りする際にのみ使用させて頂きます。

俳句の応募はこちら

メールアドレスからの応募: 応募先メールアドレス

ハガキからの応募:
〒790-8537 テレビ愛媛「きょうの俳句」係

すべての俳句を聞く
掲載されている句がランダムで再生されます
すべて聞く/止める

最新の俳句

バックナンバー

pagetop