こちらのページでは、視聴者の皆様から応募いただいた俳句をご紹介しています。
毎月ご応募いただいた俳句から5句を選び、EBC Live News「きょうの俳句」のコーナーで放送させていただきます。
2025.12.19 放送
空を覆う木々の葉も飛ばされ、空気も冴えて、星々がよく見える冬の夜です。「青く磨かれ」という感覚的な描写によって、冴え冴えとした光が鋭く輝きます。青という色は、冷たさを感じさせると同時に、若々しさにも通じます。星を見つめるまなざしには、枯れない詩の心が宿っています。
(監修:神野)
2025.12.18 放送
木枯の吹く寒い夜、ココアの粉にお湯を注いで、スプーンで溶いています。「ここあ」「こがらし」、「こ」の音を重ねることで、リズムが整い、乾いた冬の質感が伝わります。「練る」という動詞も丁寧な印象です。ゆったりとココアを混ぜる感触に、生の実感が宿ります。
(監修:神野)
2025.12.17 放送
グラウンドには冷たい風が吹き、木々も葉を落とします。風景はどんどん寂しくなってゆきます。木枯の音に支配されてゆく聴覚。新たな音楽を求め、校内放送で、何か一曲かけてくれ、と投げかけました。あなたが放送部なら、木枯の冬、どんな曲をかけるでしょう。
(監修:神野)
2025.12.16 放送
木枯の吹く中、数学者が数式を解いています。黒板に数字を埋めているのか、机に向かっているのかもしれません。あてどなく吹きつのるように見える木枯にも、法則があるのでしょうか。まっすぐ数式に向き合う姿は、寒風の中でもすっくと立ち続ける木のように、一途で清らかです。
(監修:神野)
2025.12.15 放送
木の葉を落とす冷たい風が吹きすさびます。樹齢を重ねた大きな楠の木の葉も、木枯に飛ばされていきます。幹のがらんとえぐれた洞へも、風が厳しく吹きつけます。この大楠は、これまで何百回の冬を迎え、木枯を受けてきたのでしょう。巡り巡るはるかな時間を思います。
(監修:神野)
2025.12.12 放送
はじめて補聴器をつけたとき、その音を星の声だと感じました。木枯の吹く音かもしれないし、ほのかな雑音かもしれませんが、そこに宇宙とのつながりを見出した感覚が冴えています。補聴器をつけることで、未知の感覚が生まれることを、ポジティブに受け止める姿勢に、励まされる一句です。
(監修:神野)
2025.12.11 放送
ジュゴンは、北の海に生息する哺乳類です。イルカに似たやわらかいフォルムで、性格も穏やかです。陸を吹きすさぶ木枯を聞きながら、海の中のジュゴンに心を寄せました。海で暮らす彼らにとっても、冬はやはり冷たくてつらいのでしょうか。ジュゴンの眠りを思うと、私にも優しい眠気が兆します。
(監修:神野)
2025.12.10 放送
台所での作業を終えて、エプロンを外すとき、ふと肌寒さをおぼえたのでしょう。その冷えから、からだに木枯が棲んでいると感じ取りました。木枯がからだに棲む感覚は、どこか寄る辺なく、孤独な印象です。続いてゆく日常の中にも、ふっと、この世界の無常が顔を覗かせます。
(監修:神野)
2025.12.09 放送
冬、銭湯に入りに来ました。凩の吹く中を寒い寒いと歩み来て、お風呂から上がれば、また凩の中へ出てゆきます。「凩」という言葉を二回繰り返したことで、北風の吹き続ける冬の空間が、より強く迫ってきます。どうかあたたかくして、湯冷めしないように気を付けてくださいね。
(監修:神野)
2025.12.08 放送
木枯は、冬の到来を告げる冷たい北風です。風が木の葉を吹きさらい、木々も寒々しく取り残されます。人間はもちろん、生きものにとっても厳しい寒さ。それでも町の鳩たちは、木枯の中、ふくふくと胸の羽毛をふくらませ、冬を生きています。「豊か」という把握によって、命の弾力が生まれました。
(監修:神野)
放送ではご紹介できなかった俳句を「佳作句」として少しだけご紹介。
こがらしは無題五畳の貸画廊
グリコふたつぶ木枯へ漕ぐペダル
木枯や目力ふとく顔認証
木枯や跳び終へてまた馬となる
木枯らしや息つづくまで潜る風呂
木枯やナツメグじゅわと泳ぐラテ
マナティーの知らぬ木枯吹いてゐる
塩味濃き木枯生るる能登の海
木枯や現像室は酢のにほひ
北朝鮮の匂いする木枯か
吹きたての木枯匂ふランドセル
線香がつかない木枯が痛い
シェードランプ消し木枯と私だけ
木枯や賢治のセロの尖りゆく
ラジオから露語の欠片と木枯と
木枯やかりつと揚げてパンの耳
恋文と接吻木枯とワルツ
木枯の海岸線をゆくバイク
木枯や防災食のオムライス
木枯やさびしきものは襟立てる
木枯や飛ばされそうな小糠星
大穴や木枯に舞う競馬券
木枯や蛇神様の御神木
木枯や弔事切手を買ひそびれ
行列の先のじやこ天木枯来
すすり泣く部下木枯の喫煙所
木枯らしは泣かないと唄う乙女らよ
木枯を見つめるモディリアーニの目
木枯は瓶詰めにして捨てちまえ
木枯や給与明細狂いなし
木枯や回覧板に印の列
毛虫一匹木枯しのアスファルト
木枯の街へ新聞少年よ
木枯や船の灯震へ燧灘
木枯や愛犬の眼の白濁し
凩や足だけ見ゆる喫煙所
木枯にジャコメッティの群像よ
木枯しの匂ふ髪して戻るひと
締切を過ぎて木枯はや二号
木枯やしぶきの中を五能線
木枯らしやまだ3回の夜中授乳
木枯来塾の灯だけがつく町に
木枯やふあんと浮かぶ麩のお汁
凩や「風」といふ名のアぺリチフ
シューベルトに早き晩年木枯吹く
弟にギターをゆずる木枯よ
木枯やさびしきものに足の指
木枯や自販機兄のやうに慕ふ
木枯や不器用な子の肥後守
木枯らしや忘れたいこと忘れゐて
信金の制服のまま木枯へ
木枯やスクープを撮るまで粘る
木枯の声聞きながら出汁を引く
木枯や鱗散らせし出刃包丁
錠前の固し木枯追うてくる
木枯にチ・ヨ・コ・レ・イ・トで進みけり
凩の鶏冠真っ赤となりにけり
雲梯に絡まつてゐる木枯は
木枯や石鎚山の伏流水
よるべなき雀流さる木枯に
コロッケパン確保木枯の売店
木枯やゼッケン走る我が母校
木枯や鳩吹き溜まる高架下
木枯しに眠気奪われ立てる襟
木枯やパレットの赤干からびて
木がらしやまた生前の吾子のこと
木枯の鬼が山より降りて来る
木枯や悪い林檎を捨てる穴
木枯や温泉街に丸ポスト
頬なでる木枯が好きビルが好き
凩の夜を往診鞄かな
木枯や髪を切るとき目を閉ぢて
木枯の夜を軋みぬクラビクラ
木枯の校庭野球部のノック
木枯に偶には騒げ瀬戸の海
木枯や鋳びて飛べない風見鶏
木枯や鉄の匂ひの乗車券
木枯しや瀬戸に落日うねる波
木枯やナースコールの鳴らぬ真夜
木枯やあかちやうちんのもつ煮込み
木枯に毛を逆立てて歩く犬
テレビ愛媛ではみなさまから
俳句を募集しています!
応募フォーム、メールアドレス、ハガキの中からご応募ください。メールアドレス、ハガキでのご応募は、お題を含む俳句(ふりがな)・氏名(ふりがな)・住所・電話番号・メールアドレスを記載してお送りください。一人何句でも応募可能です。選ばれた俳句は、EBC Live News「きょうの俳句」コーナーでの放送のほか、テレビ愛媛のホームページ等で紹介します。作者の氏名(ペンネームの場合はペンネーム)、お住いの市町名(ジュニアの場合は学校名)も紹介されます。
(採用された方には放送日を事前に連絡し、記念品を贈らせていただきます。)
※俳句の募集は、毎月第2月曜日、午後6時から開始します。
・応募作品は未発表で、ご自身の作品(著作権がご自身にある作品)に限ります。
・他人の作品に著しく類似、または他人の作品の盗用など、第三者の権利を侵害する可能性があると判断した場合は、応募の対象外とします。
・テレビ愛媛は応募作品による権利の侵害等に対し、一切の責任を負いません。
頂いた個人情報は、優秀句に選ばれた方への事前連絡並びに記念品をお送りする際にのみ使用させて頂きます。
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