こちらのページでは、視聴者の皆様から応募いただいた俳句をご紹介しています。
毎月ご応募いただいた俳句から5句を選び、EBC Live News「きょうの俳句」のコーナーで放送させていただきます。
2024.02.23 放送
お父さまは、林業など山に関わるお仕事に打ち込んでこられたのでしょう。生涯を山に捧げた父は、亡くなるときもきっと山へ還ってゆくのだと、大きくとらえました。はるかな時間に抱きとめられる、豊かな死生観です。早春に芽吹くふきのとうが、父からバトンを受けた新たな命の一つとして、この世界を輝かせます。
(監修:神野)
2024.02.22 放送
宇宙に芯があるならば、ふきのとうのようにほろ苦いのではないかと、発想を飛ばしました。ふきのとうの小さな命と巨大な宇宙とを同じ存在としてとらえたところに、新鮮な驚きが生まれます。ほろ苦さを見出したことで、宇宙もまたふきのとうのように、今を生きているのだと気づかされます。
(監修:神野)
2024.02.21 放送
おばあさまはふきのとうが大好きなのですね。この世にはたくさんの花があるけれど、そのどの花よりも、ふきのとうが顔を出すのが楽しみだと教えてくれました。素朴なふきのとうに心惹かれるおばあさまも、ほがらかで優しい方なのでしょう。ふきのとうの告げる春を家族と共有する、豊かな時間です。
(監修:神野)
2024.02.20 放送
哲学的な句です。欲がないのが無欲ですが、無欲でありたいと願うこともまた欲望のひとつといえます。春になったらひょっこり顔を出すふきのとうのように、てらいなくのびのびと、ただ生きられればいいのに。ふきのとうの健やかさを置くことで、人間の生の不自由さが際立ちます。
(監修:神野)
2024.02.19 放送
犬や猫、あるいはタヌキやキツネなどの動物が、早春の山を歩いているのでしょう。肉球にふと、かすかな隆起を感じました。それは、土から顔を出したふきのとうです。獸たちが振り返って確認するかは分かりませんが、ふきのとうを踏んだ瞬間があると想像するだけで、心があたたかく、春を感じます。
(監修:神野)
2024.02.16 放送
能登半島地震の被害は甚大で、いまだに全容がつかめず、人々も不自由な避難生活を余儀なくされています。今回の募集でも、被災地を思う俳句が多く寄せられました。能登半島の形は長く突き出し、たしかに龍に似ています。能登を立ち上がる龍の形と見ることで、必ず復興を遂げるはずだと、強く願いをこめました。
(監修:神野)
2024.02.15 放送
県や市に復興課があるということは、その地域は大きな災害を受け、まだ復興途上にあることを意味します。暮らしを取り戻し、もう一度生きてゆくために、まだまだ課題は山積みでしょう。それでも、希望を抱いて一歩一歩、進んでいけたら。春を忘れず顔を出すふきのとうに、前を向く力をもらいます。
(監修:神野)
2024.02.14 放送
大地は常に動き続けているので、時代が変われば海岸線も変わります。縄文時代は海だった土地が、隆起して陸地になることも。今はふきのとうが顔を出す場所も、かつては魚が遊んでいたかもしれません。縄文人も、その海で貝を採ったでしょうか。春のはじめに、おおらかな地球の歴史へ思いを馳せます。
(監修:神野)
2024.02.13 放送
初めての出産は、分からないことばかり。不安な思いを抱えながら予定日を七日過ぎ、やっと陣痛が来ました。いよいよ生まれてくる苦しさの中の期待を、ふきのとうのやわらかな明るさが代弁してくれています。そういえば、おくるみにくるまれた赤ん坊は、ちょっとふきのとうに似ていますね。
(監修:神野)
2024.02.12 放送
ふきのとうは蕗の芽です。春のはじめに先駆けて、土の中から顔を出します。まだ冷たい風の中、ふきのとうを見つけると、春はたしかに来ているのだと嬉しくなります。卒業や入学の季節。子どもたちも中学生になり、ぐんぐん成長します。ほがらかに登校してゆく姿を、ふきのとうもやさしく見守ります。
(監修:神野)
放送ではご紹介できなかった俳句を「佳作句」として少しだけご紹介。
算盤を腰に差す子や蕗の薹
ふきのたう宇宙の外といふ概念
焼跡の黒き泥水ふきのたう
半島に再起のちから蕗の薹
人間を抜ける素粒子蕗の薹
子の彼はタワマン育ちふきのとう
ふきのとう母のひらがな照る名札
ハローCQコチラ地球蕗の薹デマシタドウゾ!
「うとのきふ」子の指す札にふきのとう
ふきのとう揚げんサクっと泣いてから
非暴力不服従なるふきのとう
きらきらと寝癖のままのふきのたう
つぎつぎと雲つぎつぎと蕗の薹
ふきのたうたうの辺りで着地せり
いつもそこ実家と母と蕗の薹
入寮の十四才やふきのたう
蕗のたう鉈ぶらさがる祖父の腰
小天狗の遊んだあとや蕗の薹
やはらかき日差しや蕗の薹苦し
ふきのたうふきのたう会ひたくて来たよ
ひとりづつ揺れるつり橋ふきのたう
ふきのとう婚姻届の保証人
転職と天職の齟齬ふきのとう
失恋や朝餉にでんとふきのとう
父の田をふきのとうごと相続す
母の目の手術はあした蕗の薹
能登の地にたくはふ光ふきのとう
蠢ける丸き胎動ふきのとう
朝練に誰も来なくてふきのとう
ブローチにするなら小さきふきのとう
健啖や母さくと咬むふきのとう
蕗の薹なぜに久女は除名さる
汀子忌や太き芽を出す蕗の薹
無邪気なる多動も個性ふきのとう
ふきのとう天使の梯子消えぬ間に
蕗の薹つむや米寿の金星丘
ふきのとうふきのとうあそこにもほら
渓流のみづ音清らふきのとう
野仏の傾ぐまなざし蕗の薹
乙女座のスピカの配置蕗の薹
蕗の薹ここは義仲挙兵の地
繰り返す余震の土手にふきのとう
蕗の薹古墳の上に建つ社
スカーフに包む清しきふきのとう
木道は知床五湖へふきのとう
ふきのとう揚げて再雇用の通知
父の木のぐるりに青き蕗の薹
生きろ生きろ逃げたっていいふきのとう
靴紐に土付きにけり蕗の薹
蕗の薹ようこそ子規は臥してをり
今年も生きよ土持ち上げる蕗のとう
みどり解きむらさきを解き蕗の薹
母逝くやいつもの場所にふきのとう
丸籠にねむる嬰児ふきのとう
足元の川は県境ふきのとう
転校のさよならもなくふきのとう
食初の一升米やふきのとう
成功のメス置くふきのとう笑ふ
ふきのとう抓む転居の夜の閑か
軍足の近づく気配ふきのとう
風の仄めかすひいふう蕗の薹
ふきのとう摘むため伊予の中山へ
ふるさとの泥の匂いや蕗の薹
廃校宿の看板メニュー蕗の薹
まっさらなひかりを野辺にふきのとう
蕗の薹見つけたとたん香りだす
また嘘をついたふきのとうが苦い
柔らかきファーストシューズふきのとう
ふきのとう星々の舟揺られけり
ふきのとう開くどこかに宇宙人
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応募フォーム、メールアドレス、ハガキの中からご応募ください。メールアドレス、ハガキでのご応募は、お題を含む俳句(ふりがな)・氏名(ふりがな)・住所・電話番号・メールアドレスを記載してお送りください。一人何句でも応募可能です。選ばれた俳句は、EBC Live News「きょうの俳句」コーナーでの放送のほか、テレビ愛媛のホームページ等で紹介します。作者の氏名(ペンネームの場合はペンネーム)、お住いの市町名(ジュニアの場合は学校名)も紹介されます。
(採用された方には放送日を事前に連絡し、記念品を贈らせていただきます。)
※俳句の募集は、毎月第2月曜日、午後6時から開始します。
・応募作品は未発表で、ご自身の作品(著作権がご自身にある作品)に限ります。
・他人の作品に著しく類似、または他人の作品の盗用など、第三者の権利を侵害する可能性があると判断した場合は、応募の対象外とします。
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