こちらのページでは、視聴者の皆様から応募いただいた俳句をご紹介しています。
毎月ご応募いただいた俳句から5句を選び、EBC Live News「きょうの俳句」のコーナーで放送させていただきます。
2022.11.25 放送
昭和三十三年に開業し、松山・二番町に灯をともしてきたバー「露口」がモデルでしょうか。愛媛の洋酒文化を支えた「露口」は、今年の夏、惜しまれながら六十余年の歴史に幕を閉じました。ゆたかな蔦の葉で覆われた外観は、バーの経てきた年月の厚みを感じさせます。閉店後の今も、あの蔦は、真っ赤に紅葉しているでしょうか。
(監修:神野)
2022.11.24 放送
コキアは、帚木の洋名です。茎が細かく枝分かれして、箒のようにみっしりと集まり、卵型のフォルムに育ちます。秋になると、ピンク色の紅葉になるのもあざやかです。丸くやさしい形と明るい色を見ていたら、心の棘も静かに消えてゆくよう。平和主義的なコキアの丸さを、人間もそれぞれの心に持ちたいものです。
(監修:神野)
2022.11.23 放送
揺れる紅葉を目にしたとき、ふと、言葉にできない寂しさが湧いて、誰かの声が聞きたくなりました。日向のような声とは、ぽかぽかとやさしく、静かに寄り添ってくれる声。秋が終わり冬となりゆく季節には、日向のぬくもりが、より恋しくなります。紅葉を共有したい気持ちが、人恋しさをいっそう駆り立てます。
(監修:神野)
2022.11.22 放送
SNSやメールで、誰かが亡くなったという知らせを目にしたのでしょう。訃報を確認したそのスマホが、美しい紅葉に出会えばカメラにも変わります。日常に起こりうることも、あらためて俳句にすると、人間の心に潜むドライな側面が見えてきます。紅葉の美しさの裏にも、ほろびの秋の匂いが漂います。
(監修:神野)
2022.11.21 放送
石鎚山のふもと、面河渓谷は、紅葉の名所としても知られています。渓谷を歩き、次々に紅葉に出会う喜びを、「紅葉谿」という言葉を重ねることで、躍動感たっぷりに表しました。すべて漢字でまとめた字面にも、インパクトが生まれます。絶景が見事に十七音に立ち上がる一句です。
(監修:神野)
2022.11.18 放送
一本の紅葉の樹を、絵に描いています。赤く色づく葉っぱには、秋の終わりの日の光が静かに照り映えます。「一樹」と一つに絞ったことで、一対一で向き合う感覚が生まれました。まっすぐに見据えて、全身でその樹をとらえようとする姿勢に、自然への畏敬の念が滲みます。
(監修:神野)
2022.11.17 放送
まだ暗い山を登ってきて、背負っていた荷物を下ろすと、紅葉が張り付いていました。山道の途中で、ひらりと落ちて、そのままくっついて来たのでしょう。夜明けの空には明けの明星、ひとつぶの金星が輝いています。これから日の出。まぶしい今日がやって来る前の、静かなひとときを味わいます。
(監修:神野)
2022.11.16 放送
岩床は、愛媛でも滑床渓谷などで見られる、板状の岩です。なめらかな岩肌を、水が薄く滑ってゆくさまには、自然のはつらつとした躍動を感じます。穏やかに見えるせせらぎの水も、静かに時をかけて岩を削ってゆきます。森の重ねる悠久の時間に、この秋の紅葉が輝きます。
(監修:神野)
2022.11.15 放送
新居浜市の東平地区には、かつて銅山の町として栄えた遺構が保存されています。山の自然のそこここに、花崗岩や赤煉瓦の建物がそびえ、東洋のマチュピチュと呼ばれています。銅で出来た十円玉が錆を噴くさまに、銅山の経てきた長い年月を思います。東平の紅葉は、美しく静かに、過去の記憶を包みます。
(監修:神野)
2022.11.14 放送
秋の終わりから冬のはじめにかけて、木々は赤や黄に色づき、美しく照り映えます。紅葉は、日本の秋を代表する風景として、人々に愛されてきました。きれいな紅葉を拾ったとき、ふと、太陽の日差しが香ります。日の光をたっぷり受けた紅葉の赤のゆたかさ。お守りのように、生徒証に挟みます。
(監修:神野)
放送ではご紹介できなかった俳句を「佳作句」として少しだけご紹介。
分校に濡れしにはとり照紅葉
神鹿の雲はしりたる遠紅葉
滑床の猿や紅葉へ呑み込まる
真鍮の鈴の音かろし山紅葉
夜勤明け紅葉まぶしき小径ゆく
もみぢもみぢもみぢぽつんとわたし
老犬の歩かぬ散歩初紅葉
泣きやまぬベビーカー押す夕紅葉
採血の小さき痕あり紅葉川
六地蔵違ふ面立ち照紅葉
修験道閉ざされ紅葉明かりかな
霊場や紅葉明かりの仁王の眼
断層は鏡面めいて夕紅葉
加害者と警察を待つ間の紅葉
紅葉の一本道をキャンプカー
なんでもない退院なにもかも紅葉
紅葉眩し白内障の 手術あと
夕紅葉鈴木しづ子は103歳
本尊へ紅葉は導火線のごと
旧館の天使の壁画蔦紅葉
褒められて木霊きれいな紅葉山
紅葉の安達太良雲の影疾し
住職の掃いて落葉の山きれい
吊橋は猿専用や紅葉山
高裁の桜紅葉に穴あまた
照紅葉黒光りせし馬の尻
山頭火のけはひ庵に柿紅葉
紅葉に鳥めくわれら地動説
もみづるや赤子ゆびさ伊予電車
厩舎へと紅葉の風の吹き溜る
ずっと笑む父母の遺影や紅葉晴
銀杏紅葉明日は解剖学試問
千年の古都蒼天の寺紅葉
ゆんでより順に島の名紅葉山
紅葉の武徳殿より小手の声
初紅葉かしら晩翠荘にカフェ
合歓紅葉母在りし頃の夕風
色付きの夢蘇る夕紅葉
紅葉の小径のベンチ歌集閉づ
網膜に朱をはね返し紅葉かな
新しきリュック明るき紅葉山
源流はもうすぐそこに紅葉山
ルーペ手に化石探検谷紅葉
紅葉や進路指導の午後は晴れ
紅葉から紅葉生るるジップライン
要らんと言い完食の父櫨紅葉
「紅葉きれいだね」面会交流日
ひとつづつ寄り添うひかり初紅葉
蔦紅葉地球の午後をするすると
全山は紅葉もみじや朝の作務
対岸の紅葉へ消ゆる夕鴉
紅葉蹴るからくれなゐの靴のさき
谿紅葉秋を濾過してゐるかたち
石鎚の紅葉目指す母卒寿
暮れ残るカフェの中庭夕紅葉
膝にねこ空へ紅葉を置きにけり
告知後の桜三里にポプラの黄
誰が鬼じゃんけんぽんと桜紅葉
稚き楓いっちょまえの紅葉
トンネルの入口出口紅葉山
谿もみじ俯瞰す島のロープウェイ
紅葉山低音響く火縄銃
紅葉且つ散る土蔵はブックカフェ
プロポーズせし水路閣は紅葉
逆光の紅葉の中へ入る母
鷺一羽岸辺に寄せる薄紅葉
夕紅葉クミンのかをるオーベルジュ
紅葉かつ散る引退の胴上げ
老ゆるとはみな許すこと夕紅葉
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応募フォーム、メールアドレス、ハガキの中からご応募ください。メールアドレス、ハガキでのご応募は、お題を含む俳句(ふりがな)・氏名(ふりがな)・住所・電話番号・メールアドレスを記載してお送りください。一人何句でも応募可能です。選ばれた俳句は、EBC Live News「きょうの俳句」コーナーでの放送のほか、テレビ愛媛のホームページ等で紹介します。作者の氏名(ペンネームの場合はペンネーム)、お住いの市町名(ジュニアの場合は学校名)も紹介されます。
(採用された方には放送日を事前に連絡し、記念品を贈らせていただきます。)
※俳句の募集は、毎月第2月曜日、午後6時から開始します。
・応募作品は未発表で、ご自身の作品(著作権がご自身にある作品)に限ります。
・他人の作品に著しく類似、または他人の作品の盗用など、第三者の権利を侵害する可能性があると判断した場合は、応募の対象外とします。
・テレビ愛媛は応募作品による権利の侵害等に対し、一切の責任を負いません。
頂いた個人情報は、優秀句に選ばれた方への事前連絡並びに記念品をお送りする際にのみ使用させて頂きます。
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