視聴者の皆さまからの句

こちらのページでは、視聴者の皆様から応募いただいた俳句をご紹介しています。
毎月ご応募いただいた俳句から5句を選び、EBC Live News「きょうの俳句」のコーナーで放送させていただきます。

2019年9月の
優秀句

放送ではご紹介できなかった「佳作句」はこちら

2019年9月の季語(お題)は
葡萄 です
  • 泣き止めば いつもの葡萄ではないか

    今日の俳句

    2019.09.13 放送

    作者:古勝敦子(京都府)

    夜の食卓でしょうか。悲しいことがあって泣きじゃくったあと、はっと我に返れば、何の変哲もない葡萄が一房、置かれていました。涙にうるんだ視界に、葡萄はみずみずしく光っていたでしょう。つぶやきめいた言葉からは、どこか吹っ切れたような気分が伝わります。いつもの葡萄を食べて、いつもの生活へ戻ってゆく、その一瞬の言葉にできない心の揺れを、ハッと言いとめた一句です。

    (監修:神野)

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  • 砂時計の 砂の静けさ 葡萄垂る

    今日の俳句

    2019.09.12 放送

    作者:ハードエッジ(東京都)

    葡萄が木に垂れ下がるさまを、まるで砂時計の砂のような静けさだと表現しました。砂時計と葡萄、西洋的でおしゃれな取り合わせですね。砂時計は、さらさらとさりげなく、時の経過を告げています。そうして過ぎてゆく時間が、葡萄を実らせ、世界を秋へと押し進めてゆくのです。「垂る」の一語が、ずっしりと熟れてきた葡萄の重量を伝えます。

    (監修:神野)

    音声で俳句を聞く/止める
  • 葡萄園 星は酸つぱく 瞬けり

    今日の俳句

    2019.09.11 放送

    作者:難波朔矢(愛知県)

    昼間はにぎやかだった葡萄園も、夜になると人々が去り、静けさに包まれます。葡萄の熟す秋は、大気が澄んで、星が美しく見える季節。空には大小の星が、葡萄の一粒一粒のように、ぎっしりと輝きはじめました。酸っぱいという味覚を、目で見る光の描写に転用したことで、フレッシュな生命感を表現しました。星も葡萄も、生きているのですね。

    (監修:神野)

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  • マスカット みづうみ遠く 煙りたる

    今日の俳句

    2019.09.10 放送

    作者:岩渕晃三(松山市)

    歳時記の葡萄のページをひらくと、黒葡萄やデラウェアなど、いろいろな品種が載っています。中でもマスカットは、見た目も美しく、味もさわやかですね。この句は高原の風景でしょうか。葡萄棚にマスカットが垂れ下がる彼方に、霧がかった湖が広がります。おおらかな自然の美。湖の淡い水色と、マスカットの淡いみどり色とが、やさしく光り合います。

    (監修:神野)

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  • 牧神の 笛の音高き 葡萄かな

    今日の俳句

    2019.09.09 放送

    作者:犬星星人(今治市)

    ギリシャ神話の牧神パンは、上半身は人、下半身は獣の姿をした神様です。彼はある女神を愛しましたが、彼女はパンの求愛を避け、植物の葦に姿を変えました。パンが携えている笛は、その葦で作ったものです。また、バレエ作品「牧神の午後」は、パンが葡萄を食べ笛を吹き、丘の上でくつろぐ場面から幕が開けます。笛の音色に思いをはせ、牧神にまつわる物語を、格調高くまとめ上げました。

    (監修:神野)

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2019年9月の佳作句

放送ではご紹介できなかった俳句を「佳作句」として少しだけご紹介。

  • 山葡萄岨道遠き疎開の日

    作者:河本俊子

  • ぶどう食べるほどあまやかされてない

    作者:幸田美咲

  • 黎明の葡萄の種を噛み砕く

    作者:山内佑資

  • んだばシャインマスカットでも作るべか

    作者:菅原晋也

  • 親戚のまた親戚のぶどう園

    作者:松本伴子

  • 葡萄皿三十八度の体温計

    作者:三浦新吾

  • 画き了へし黒葡萄食む子規と律

    作者:竹本桂子

  • マスカットと乳歯の抜けた少年と

    作者:じゃすみん

  • 転職や粒の揃はぬ黒葡萄

    作者:栗田修次

  • ぎつしりと詰まる大脳デラウエア

    作者:宍野宏治

  • 母として抱く子の重さ葡萄もぐ

    作者:紅さやか

  • 葡萄照る山の湧き水より上げて

    作者:宇都宮弘恭

  • うれしさは葉がくれ房のぶどうかな

    作者:中矢長宗

  • 葡萄持つ薬師如来や大善寺

    作者:土居信勝

  • 聖書読む父の後ろに葡萄置く

    作者:砂山恵子

  • 授乳終へし口に含ますマスカット

    作者:武智しのぶ

  • 葡萄買ふ看板猫は昼寝中

    作者:奈良香里

  • 妹の結婚話葡萄食ぶ

    作者:みやこわすれ

  • カンバスに葡萄の匂う美術室

    作者:松山帖句

  • 葡萄食ぶあの人を今は忘れる

    作者:城内幸江

  • 大粒の葡萄頬張る好好爺

    作者:佐藤めぐみ

  • 葡萄食む一房二房かみ切る

    作者:畑中萌

  • 走り根は同じ大きさ葡萄の木

    作者:室達朗

  • 一房の葡萄一粒ごとの色

    作者:あさふろ

  • 置き手紙とラップに包まれる葡萄

    作者:五月闇

  • 一人食ふ葡萄の皮の渋さかな

    作者:洒落神戸

  • 褥瘡は浅し葡萄は熟しをり

    作者:向井桐華

  • ぷつりぷつり皮より葡萄出でにけり

    作者:青海也緒

  • 熨斗付けて買われてゆくやマスカツト

    作者:加島一善

  • 手に口にころがる葡萄甘し甘し

    作者:小田寺登女

  • 大福を切ればマントルめく葡萄

    作者:比々き

  • 葡萄狩こんなところで迷ふとは

    作者:松本宏一

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(採用された方には放送日を事前に連絡し、記念品を贈らせていただきます。)
※俳句の募集は、毎月第2月曜日、午後6時から開始します。

応募規約

・応募作品は未発表で、ご自身の作品(著作権がご自身にある作品)に限ります。
・他人の作品に著しく類似、または他人の作品の盗用など、第三者の権利を侵害する可能性があると判断した場合は、応募の対象外とします。
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