こちらのページでは、視聴者の皆様から応募いただいた俳句をご紹介しています。
毎月ご応募いただいた俳句から5句を選び、EBC Live News「きょうの俳句」のコーナーで放送させていただきます。
2023.11.24 放送
水族館でのひとコマです。アシカショーの客席で、焼藷を抱え、ショーが始まるのを待っています。冬の水族館の屋外は寒く、あたたかい焼藷を懐炉(かいろ)のように抱えます。誰と分けるのでしょうか。それとも一人?こんなところにも焼藷はあるのだと、驚き納得させてくれる一句です。
(監修:神野)
2023.11.23 放送
遠距離恋愛でしょう。別れ際に買った焼藷を抱いて、バスや電車に乗り込みます。少しずつ離れてゆく、君との距離。ふところの焼藷はまだあたたかく、さっきまで一緒にいた感触が、まだ残っています。「まだ」のひとことが、いつかは冷めてしまうことを予期してもいて、切なさが募ります。
(監修:神野)
2023.11.22 放送
焼藷そのものではなく、それをくるむ新聞の記事に注目しました。政治家の汚職を告げる紙面が、焼藷の熱でしっとりと濡れています。この湿りけが、汚職という出来事のじっとり暗い印象を、感覚的に言いあてています。甘い蜜を吸うといった常套句も、焼藷の甘さと響き合い、上質な皮肉が効いています。
(監修:神野)
2023.11.21 放送
リア王は、シェイクスピアの書いた戯曲の主人公です。栄華をほこったリア王が没落する悲劇を、現代に上演しているのでしょう。舞台の背景を描いた書割を背に、リア王役の俳優が、焼藷を食べています。生活者としてのなまなましい姿が、荒野をさまよったリア王の切実に、ふと重なります。
(監修:神野)
2023.11.20 放送
道端に売りに来ている焼藷を買ったのでしょうか。そのまま、すぐ近くのガードレールに腰かけ、むしゃむしゃと食べます。冷たい風が吹き抜ける中で、焼藷のあたたかさが、ひときわ心身にしみわたります。ラフな姿がリアルな一句。おいしい焼藷、みなさんならどこで食べるでしょうか。
(監修:神野)
2023.11.17 放送
さつまいもの皮が、よく焼けて罅割れています。もし地球にも罅が入るとしたら、どこからだろうと想像を広げました。地震や噴火といった災害や、各地でやまない戦火を思います。焼藷という身近な素材を通して地球の今を考えることで、自分のこととして受け止める近しさが生まれます。
(監修:神野)
2023.11.16 放送
雇用延長とは、本人が希望すれば定年後も引き続き勤められる、再雇用などの制度を指します。焼藷を食べながら、雇用延長のための申請書を書いているのでしょう。焼藷を買うにも、お金は必要です。生活感の強い季語が、現代の社会に生きる実感を、ありありと引き出しています。
(監修:神野)
2023.11.15 放送
コインランドリーで、洗濯が終わるのを待ちながら、焼藷を食べています。途中、冷たい雨が降る中で、焼藷屋を見つけ、思わず買ったのでしょう。冷えた体をほっと温めてくれる、やさしい甘さ。焼藷が嬉しく感じるシチュエーションを、街角の風景から見つけました。
(監修:神野)
2023.11.14 放送
漫画の主人公は、ピンチになっても、特別な力を発揮して、物語をパワフルに展開させます。現実には、どんな攻撃を受けても立ち上がるなんてことは、なかなかありえません。だからこそ、主人公に憧れるのです。ごろごろして焼藷を食べながら漫画を読んでいる、冬の一日の過ごし方が見えてきます。
(監修:神野)
2023.11.13 放送
寒くなると、あたたかい食べ物が恋しくなります。焼き芋も、そのひとつ。焼いた小石で蒸し上げる石焼き芋もあれば、焚火やストーブで熱して作ることもできます。塾帰りに焼き芋を齧っているのでしょう。暗い夜道でも車にひかれないよう、鞄につけた反射材が、きらきらと光り、日暮れの寒さを深めます。
(監修:神野)
放送ではご紹介できなかった俳句を「佳作句」として少しだけご紹介。
取材終へ焼芋喰らふ新聞部
ペンギンの列が進むや焼藷食ふ
差し入れの焼芋重し面会日
焼藷やフラッシュモブに囲まれる
焼藷を待ち総菜を一回り
焼藷や体操帽の後ろ向き
焼藷の蜜やアボガドロの法則
焼藷食う唇に傷初戦負け
山田姓ばかりの村や芋焼くる
焼藷で許せ凡そ期待に添へぬこと
前髪切って焼藷たべて塾補習
戦の字の新聞石焼藷の黙
焼藷の蜜ふつふつと横恋慕
焼藷や有給消化一日目
焼藷を分けて育休最終日
焼藷の庭へ寮生寄り来たる
半分に割れねば笑ひ合へ焼藷
よろこびのいろ焼藷を割ってほら
焼藷のすこし焦げたる嫉妬の香
焼藷を巻く新聞の告ぐ円安
焼藷や溶岩のごと黒き蜜
分け合えば焼藷は祈りのかたち
焼藷屋来てゐたころの茜雲
焼藷にのせたアイスの溶けはじむ
焼藷の湯気裸電球に届く
焼藷へ外階段を駆け降りて
焼藷を割つて同居を切り出して
焼藷が冷えても友の愚痴を聴く
焼藷食べ食べ熊の目撃談
なけなしの金で焼藷買ふ自由
焼藷を地球最後の日も食べる
焼藷を割つて養育費の話
経理部へ焼藷抱え根回しに
焼藷の分はこれからジム行くし
休講や焼藷買ひに行かへんか
石焼藷追つてベビーカーのダツシユ
焼藷や二十週目が腹を蹴る
焼藷しょっぱい留年決まりし日
焼藷の軽トラ流す「歓喜の歌」
焼藷や還暦のダメージデニム
焼芋のピアスの揺れる焼芋屋
末の子の焼藷二匙離乳食
ずむずむと喉を落ちゆく焼藷よ
焼藷の湯気の届きて雲甘し
焼藷の欠片きらきらと部屋着
風甘し参道脇の焼藷屋
ねんごろに選る焼藷の胴まはり
むべなるかな焼き芋売りのふくよかさ
焼藷や薩摩生まれの義母の家
焼藷と半分欠けてゐる月と
戦争のはなしをしよう石焼藷
焼藷や幼馴染の聞き上手
焼藷に喉甘くなる手をつなぐ
祖母の手とむくやきいもはあつすぎる
焼藷や夕刊来たる音ひとつ
焼芋や住吉神社の朱の鳥居
焼藷の湯気に劇団生の列
このいもは石焼薯になるかたち
焼藷や夜勤の母の走り書
焼藷の蜜が噴き出て紙袋
焼藷をキャラメリゼする日曜日
大谷の顔に包まれ焼藷来
焼藷に蜜がながれる部屋がある
焼藷をふはと頬張る君が好き
あたたかいニュースあたたかい焼藷
焼藷のほのかな酸味片恋す
簡単に焼藷で許せるものか
焼藷はとろとろ君の長話
焼藷を割つてふたりの新居かな
焼藷の皮だけくれる娘かな
焼芋割る「バスコ=ダ=ガマ」を暗記して
負け試合石焼き芋は食べ放題
祖母と見たやきいも色の空はもう
焼藷甘し二人で分け合えばさらに
学校の隅に芋焼くドラム缶
焼藷を買ひ大吉のくじを引く
じやんけんに負けて焼藷買ひに出る
倫敦に手紙焼藷問ふ子規ぞ
介護士や焼藷食べて眠りたい
焼藷を半分食べてと病める友
失恋や母と焼藷分け合いぬ
焼藷や父と法事の打ち合はせ
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応募フォーム、メールアドレス、ハガキの中からご応募ください。メールアドレス、ハガキでのご応募は、お題を含む俳句(ふりがな)・氏名(ふりがな)・住所・電話番号・メールアドレスを記載してお送りください。一人何句でも応募可能です。選ばれた俳句は、EBC Live News「きょうの俳句」コーナーでの放送のほか、テレビ愛媛のホームページ等で紹介します。作者の氏名(ペンネームの場合はペンネーム)、お住いの市町名(ジュニアの場合は学校名)も紹介されます。
(採用された方には放送日を事前に連絡し、記念品を贈らせていただきます。)
※俳句の募集は、毎月第2月曜日、午後6時から開始します。
・応募作品は未発表で、ご自身の作品(著作権がご自身にある作品)に限ります。
・他人の作品に著しく類似、または他人の作品の盗用など、第三者の権利を侵害する可能性があると判断した場合は、応募の対象外とします。
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