こちらのページでは、視聴者の皆様から応募いただいた俳句をご紹介しています。
毎月ご応募いただいた俳句から5句を選び、EBC Live News「きょうの俳句」のコーナーで放送させていただきます。
2025.02.21 放送
Carpe diem(カルペ・ディエム)は古代ローマの言葉で、「今この瞬間を大事に楽しめ」という意味です。人生は短く、未来は分からないからこそ、今を大切に生きることが重要なのだと、古代の人は考えました。私たちの時間とは、薄氷のように儚く脆いものです。壊れて解けてしまう前に、その輝きを見つめます。
(監修:神野)
2025.02.20 放送
聖書の記す天地創造で、神が最初に発した言葉は「光あれ」でした。なぜ神は、この世界に、まず真っ先に光を生んだのでしょう。薄氷は、まるで光のかけらのように、うすうすと輝いています。万物を輝かせる光に目を細め、世界がここにあるということを、眩しく敬虔に受け止めます。
(監修:神野)
2025.02.19 放送
里山の風景でしょうか。切株のそばの水たまりやぬかるみに、薄く氷が張っています。ひんやりとした空気に、春先の日が眩しく差します。大きな切株と小さな薄氷、大小ふたつのものを対比させ、一句にまとめました。簡潔明瞭なリズムがきびきびと快く、春がずんずん近づいてくる気分が高まります。
(監修:神野)
2025.02.18 放送
私が、他の誰でもなく私である理由とは、いったい何でしょう。私の存在理由を自問自答する不安を、今にも解けてしまいそうな儚い薄氷が、感覚的に伝えます。「薄氷よ」と呼びかけているのも、すがるような切なさが滲みます。私らしく生きられる春を願って、薄氷の繊細な光を見つめます。
(監修:神野)
2025.02.17 放送
薄氷は、薄く解けやすいことから、儚い印象の強い季語です。しかし、この句では、夜明けを駆ける鶏と取り合わせ、勢いよく詠み上げました。まだぐっと冷えて薄氷の張る春先の明け方にも、たくましく生きている命があります。のぼりくる日の出の力強さにも、近づく春の躍動を感じます。
(監修:神野)
2025.02.14 放送
埴輪は、死者を弔うため、古墳に埋められたとされています。お墓に眠るその人を思って埴輪が流した涙が、じんわり地面に滲み出し、薄氷となっているのだとしたら。薄氷もまた、水のひとつの形です。命も水も、巡り巡って、この世界を形作っています。薄氷の淡い輝きに、誰かの悲しみを思います。
(監修:神野)
2025.02.13 放送
プラネタリー・バウンダリーとは、地球という惑星の限界を示す言葉です。人間の影響など環境に変化が加わっても、地球がもとに戻って安定した状態を保てるぎりぎりのラインを指します。今、人間は、プラネタリー・バウンダリーを超えようとしています。漂う薄氷の儚さに、壊れそうな地球を思います。
(監修:神野)
2025.02.12 放送
鶏インフルエンザにより、殺処分を余儀なくされている養鶏場があります。本来ならば鶏たちが賑やかに鳴き声を交わしているだろう小屋が、今はしーんと沈黙に包まれています。処分のため去っていった車の轍に、泥が滲み、薄く氷が張っています。命を扱うことの難しさを、薄氷の儚さが、静かに伝えます。
(監修:神野)
2025.02.11 放送
薄く氷の張った裏側に空気が閉じ込められ、気泡が見えることがあります。水と氷に挟まれて、行き場のない気泡は、うずうずと氷の下を動きます。「うずうず」という言葉には、じれったく待つニュアンスがあります。泡の様子を的確に描写すると同時に、解放される春をうずうずと待つ心まで伝わってきます。
(監修:神野)
2025.02.10 放送
氷とだけ言えば冬の季語ですが、「薄氷」は春の季語です。春先に薄く張った氷や解け残った氷を指し、「うすらい」とも「うすごおり」とも読みます。窯でこれからピザを焼くのでしょう。土には薄氷が張り、空気もきーんと冷えています。薪を割る音は空へと響き、あったかい春、熱々のピザが待たれます。
(監修:神野)
放送ではご紹介できなかった俳句を「佳作句」として少しだけご紹介。
色無き夜音無き夜に薄氷は
うすらひの桶に荒砥や樵小屋
薄氷のひかり水晶体の傷
薄氷の中の空気の甘からん
薄氷や住職の子は音大へ
薄氷は風の静脈踏まないで
薄氷をばりばり砕き能登興す
薄氷となる一瞬の音かすか
薄氷を壊して誰も怒らない
薄氷やジャージの裾のほつれたる
おかあさんにゆいつけないでうすごおり
これきりと思い手を振る薄氷
うすごおり災害ごみという遺品
うすらひを明星匂ふみづの傷
薄氷に透けて青める魚の影
薄氷に透けてキュビズムめく緋鯉
会いに行く白猪の渓の薄氷
青年のLUUP薄氷壊しゆく
神棚の小さき湯飲みや薄氷
薄氷や未完成なるパビリオン
薄氷の中に空ありけふ試験
まばたけば眼にうすらひの溶けはじむ
薄氷をはみ出してゐる鳳凰堂
追悼の日の薄氷よ雑踏よ
天狗様ひょいと薄氷渡りゆく
布教者の古き革靴薄氷
背負ふなら花びら一枚薄氷
薄氷や堀のアヒルの喧し
生と死を語る薄氷のベンチ
薄氷やしっかりせよと踏みつけて
青年や蒼き翳なす薄氷
川縁の魚の骸に薄氷
うすらひに櫂をぬきたる舟出かな
薄氷の踏まれて星の現るる
うすらひや船通学の最後の日
ジョギングにいつも会ふひと春氷
うすらひや猫の名前の処方箋
人許すやうに薄氷融けにけり
薄氷や指輪はずしただけのこと
死ぬことが怖くて薄氷やってます
薄氷や唇噛むのよせよ姉貴
薄氷のひかりへ還るまでひかる
人生の余白ばあんと割って薄氷
薄氷や落書き多し飲み屋街
薄氷を踏んで一番列車かな
スパイクに割る薄氷や対抗戦
薄氷をコツンと割りて退職す
薄氷や電子レンジに溶くるチョコ
薄氷や妊娠二ヶ月の夜更
薄氷の解け出す君の召天日
柴犬の踏む薄氷の清さかな
もういいと言へば解けゆく薄氷
薄氷の翅踏みたれば水の聲
うすらひは薄き瘡蓋切株に
薄氷や母が残した裁鋏
薄氷やこころ砕ける音に似て
薄氷や駅への道はこっちだけ
薄氷に穴パレットに指掛けて
ホチキスの針の匂いの薄氷
薄氷芭蕉句集に貼る付箋
薄氷を覗き込む顔みないびつ
薄氷の朝を静かに沸くケトル
薄氷をこはさぬように舟着けり
急ぐほかなく薄氷を踏みにける
太陽を集めるルーペ薄氷
薄氷の溶け泥濘の靴の跡
薄氷の底灯すかに鯉の朱
白波のごとき薄氷屈斜路湖
薄氷へコールタールの欠片投ぐ
テスト果つ今朝は薄氷だったのか
スケボーの宙舞う無音薄氷
火のごとき指うすらひの真ん中へ
うすらひとなりゆく夜の密度かな
薄氷を手に登校の無敵かな
薄氷の気持ちめくカーテンレース
薄氷にならうか風と遊ばうか
早退します薄氷割つてきます
薄氷をよけランニングシューズ行く
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応募フォーム、メールアドレス、ハガキの中からご応募ください。メールアドレス、ハガキでのご応募は、お題を含む俳句(ふりがな)・氏名(ふりがな)・住所・電話番号・メールアドレスを記載してお送りください。一人何句でも応募可能です。選ばれた俳句は、EBC Live News「きょうの俳句」コーナーでの放送のほか、テレビ愛媛のホームページ等で紹介します。作者の氏名(ペンネームの場合はペンネーム)、お住いの市町名(ジュニアの場合は学校名)も紹介されます。
(採用された方には放送日を事前に連絡し、記念品を贈らせていただきます。)
※俳句の募集は、毎月第2月曜日、午後6時から開始します。
・応募作品は未発表で、ご自身の作品(著作権がご自身にある作品)に限ります。
・他人の作品に著しく類似、または他人の作品の盗用など、第三者の権利を侵害する可能性があると判断した場合は、応募の対象外とします。
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