こちらのページでは、視聴者の皆様から応募いただいた俳句をご紹介しています。
毎月ご応募いただいた俳句から5句を選び、EBC Live News「きょうの俳句」のコーナーで放送させていただきます。
2023.03.24 放送
郵便ポストに蝶が来ました。赤いポストに蝶の光がまぶしくこぼれ、春をほがらかに彩ります。ポストは手紙を投函する場所です。その手紙が届く未来を思うとき、自然と、「あした天気になあれ」というつぶやきが生まれました。かろやかな蝶に力をもらって、明日に希望を託します。
(監修:神野)
2023.03.23 放送
亡くなった妻が、今、柩に眠っています。野の花が似合う素朴な人だったのでしょう。彼女に捧げるために摘んだ野の花を、柩にそっと収めると、白い蝶が寄ってきました。花の咲く野原で微笑んでいた、在りし日の妻を思えば、胸が苦しく締(し)めつけられます。蝶の白さが、清らかに、妻の旅路を導きます。
(監修:神野)
2023.03.22 放送
爆撃を受けた戦地でしょうか。何もかも壊され、黒々と焼けた焦土を、蝶が飛んでいます。どこから生まれてきたのでしょう。喪失の上にひらめく、命の光。体を離れた魂が、その奇跡の蝶に触れようと、透明に輝きます。魂がやすらかに眠り、蝶や人々がすこやかに憩える大地が、再生することを祈ります。
(監修:神野)
2023.03.21 放送
二つのものの重さをはかる天秤の、右側に正しさを載せました。そして左側には、蝶。蝶は一見、ふわりと飛んでゆきそうですが、さて、正しさと蝶の命、どちらが重たいのでしょう。ゆきすぎた正義は、他者を排斥することもあります。蝶の軽やかさが、複雑な世界のバランスを、危うく保っています。
(監修:神野)
2023.03.20 放送
郡中線は、松山市駅から伊予市の郡中港をつなぐ、伊予鉄道の路線です。重信川を越えると広がる田園風景。沿線の菜の花に遊んでいた蝶たちへ、電車が近づきます。ぶつかるかと思いきや、ひょいと軽やかに、蝶は電車をかわしました。ほがらかな春の風景です。
(監修:神野)
2023.03.17 放送
その春はじめて見かける蝶を、特に「初蝶」と呼びます。ふと舞い出てきた蝶に、手もとにあったビー玉をかざしました。ビー玉の丸い光の向こうに、飛ぶ蝶が透けて見えます。小さなビー玉のうちに初蝶を捕まえた一瞬を、心の高鳴りそのままに言いとめました。
(監修:神野)
2023.03.16 放送
春は生きものたちの恋の季節です。季語にも、猫の恋、鳥の恋、そして蝶の恋があります。蝶もまた、ひとたび生まれれば、子孫を残すために恋をします。青空はどこまでも開放的で、蝶たちの恋は、何に隠されることもありません。堂々と生を謳歌する蝶の恋を、人間はまぶしく見やります。
(監修:神野)
2023.03.15 放送
童話の主人公・ピノキオは、命を与えられた木の人形です。よく嘘をつくので、そのたび、戒めに鼻が伸びてしまいます。嘘をついて伸びたピノキオの鼻先に、蝶がやって来ました。蝶の止まり木となれるなら、嘘も悪いことばかりではありませんね。謝って鼻が戻れば、蝶も青空へ飛び立つでしょう。
(監修:神野)
2023.03.14 放送
かんなは、材木の表面を加工する道具です。木をかんなで削ると、その皮がするすると薄く剥けます。そのかんなで削った木より、蝶の羽はもっと薄いのだと比べました。日に透けて輝く、蝶の羽の繊細な造型。人間の生活と交差する、蝶の美しさをとらえました。
(監修:神野)
2023.03.13 放送
春になると、羽化した蝶たちが、あたたかな風の中を舞いはじめます。中でも「蝶生まる」という季語は、羽化したばかりのういういしさ、命の尊さを感じさせます。さなぎを出たばかりの蝶は濡れて、光すらひりひりと感じるのかもしれません。むきだしの命に、はじまったばかりの春がうずき出します。
(監修:神野)
放送ではご紹介できなかった俳句を「佳作句」として少しだけご紹介。
菜を洗ふ手押しポンプや蝶の昼
初蝶やエコー写真のここが顔
まだ蝶を追うのゾンビになった君
アフロヘアーひとまはりして蝶のゆく
水軍の鎧や蝶は笑わない
望遠鏡蝶に譲りて望む富士
蝶の方見てる集合写真かな
蝶は日を零しつつ日に毀れつつ
もう会社辞めたいほらね蝶がきた
線量を測る公園蝶しずか
初蝶来海は寂しくないかと来
妊娠の予感果実に紋黄蝶
ゆふ風に檸檬の色の初蝶来
蝶ゆびに止まれば学校行けるかな
蝶すこし浮かせたるらし子の寝息
淋しさはひかりのかたち初蝶来
蝶と蝶からまりながらクレープ屋
胡蝶となら秒速五センチで飛べる
眠たげな土曜のマフィン蝶の昼
フルートの息の小刻み蝶の昼
初蝶来ジャングルジムは冷たい黄
蝶飛んでタイムパラドックスの磁場
青空の重さを飛んで蝶やすむ
触れたるは地球の素肌蝶の恋
こっぴどくフラれた蝶すらよってこない
神の山越え来し蝶のむつみあふ
チョーク投げられたら蝶を見失ふ
花びらの震ふや蝶の重さ分
レッスンのみちくさ蝶と目が合って
凭せたるバットに蝶の羽休む
少年を逃れて白き蝶われへ
初蝶来廃校の日の近づきぬ
もつれ翔ぶ蝶や仔牛は乳を飲む
まどみちお口ずさむ子へ蝶ふわり
蝶生まる学校遅刻した理由
緞帳があがり百万頭の蝶
てふてふやこの真珠はきみの骨
一輪に日を通はせて蝶を待つ
新しき表札の文字白蝶来
算数のテスト紋白蝶の羽化
蝶々を飛ばせてここが水の星
牛の尾をひょいと紋白蝶かわす
蝶と蝶けしてぶつからない人は
キャンディーを色で選んで昼の蝶
蝶ふはりふはりペンキの匂ふ家
菜の葉の上蝶に階ある如く
白蝶の触角震う展翅板
四万十の蝶が潜りし沈下橋
蝶生る仁淀の川の碧さかな
吟行や古地図の上を紋白蝶
帝の剣眠る椿山蝶生まる
就活の試着室より蝶生る
校庭へプリマのやうに初蝶来
接吻の途中に蝶を見失ふ
金色の蝶パンドラの匣の底
フランス語しゃべるみたいに紋黄蝶
花柄や俺も蝶々かもしれぬ
蝶々の夢ばかりなる二度寝かな
春の蝶イグアノドンの顔の前
あゝ我は機械となりぬ蝶の昼
初蝶来折しも句帳新しき
初咲のきゅうりの花に初蝶来
鮎釣りの糸にまつはる蝶々かな
小指立てつまむ焼菓子蝶の昼
青虫は蝶に子供は学生に
豆柴の追ひかけまわす蝶の影
砲弾に倒れし兵士蝶低く
国境も諍いも無き蝶々かな
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応募フォーム、メールアドレス、ハガキの中からご応募ください。メールアドレス、ハガキでのご応募は、お題を含む俳句(ふりがな)・氏名(ふりがな)・住所・電話番号・メールアドレスを記載してお送りください。一人何句でも応募可能です。選ばれた俳句は、EBC Live News「きょうの俳句」コーナーでの放送のほか、テレビ愛媛のホームページ等で紹介します。作者の氏名(ペンネームの場合はペンネーム)、お住いの市町名(ジュニアの場合は学校名)も紹介されます。
(採用された方には放送日を事前に連絡し、記念品を贈らせていただきます。)
※俳句の募集は、毎月第2月曜日、午後6時から開始します。
・応募作品は未発表で、ご自身の作品(著作権がご自身にある作品)に限ります。
・他人の作品に著しく類似、または他人の作品の盗用など、第三者の権利を侵害する可能性があると判断した場合は、応募の対象外とします。
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