こちらのページでは、視聴者の皆様から応募いただいた俳句をご紹介しています。
毎月ご応募いただいた俳句から5句を選び、EBC Live News「きょうの俳句」のコーナーで放送させていただきます。
2023.02.24 放送
愛媛の中でも、特に標高の高い久万高原町は、雪がよく降る地域です。バスの終点でしょうか。どんどん山道をのぼってゆく車窓に、しずかに春の雪が降りはじめます。終点を降りれば、雪景色の町が。終点という言葉には、冬が終わり春がやってきた、季節の区切りも感じます。
(監修:神野)
2023.02.23 放送
「閑さや」で始まる俳句といえば、松尾芭蕉の〈閑さや岩にしみ入る蝉の声〉が有名ですが、春の雪の静けさもまた、美しく心惹かれますね。夜空を星が流れるように、音なく光りながら、春の雪が降りつぎます。現実を忘れ、眼前の風景に見とれるひとときです。
(監修:神野)
2023.02.22 放送
認知症が進むと、記憶があやふやになり、大切な人のことも少しずつ忘れてしまいます。長い年月をともに過ごしてきた夫の名前も、忘れてしまった妻。その瞳に、春の雪はどんな風に映っているでしょう。冬を忘れたころに降る春の雪が、眠っている記憶をひととき、呼び覚ましてくれるようにも思います。
(監修:神野)
2023.02.21 放送
保育園では、入園が決まったら、まずはお試し保育です。はじめは数時間、慣れてきたら時間を伸ばし、園になじませます。明日から保育園という前日は、預ける側の親も、心配してそわそわしてしまいます。折しも降り出した春の雪が、不安をひんやりと代弁しつつ、きっと大丈夫だと光っています。
(監修:神野)
2023.02.20 放送
桜の咲くころに降る雪のことを「桜隠し」といいます。倭歌とは、大陸から伝わった漢詩に対し、日本固有の詩歌を指します。木簡に書きつけられた言葉の中には、春の雪を詠んだ歌もあったでしょうか。千年の時を超え、美しい言葉の歴史は、今も俳句の中に息づいています。
(監修:神野)
2023.02.17 放送
霊峰・石鎚山は、西条市と久万高原町の境、四国山地に位置する、西日本で一番高い山です。春の雪が降り、稜線も白く染まっていますが、山全体は碧く輝いています。「仰ぎ見る」と言うことで、その遥かな存在感も伝わりますね。光に包まれた石鎚を、春の雪がやさしく彩る、美しい一句です。
(監修:神野)
2023.02.16 放送
巻貝は、らせん状に巻いた殻をもちます。ところが、その貝が、固くきゅっと巻いているのを、もう解きたい、と言ったのです。春の雪がやわらかく降る光の中で、巻貝も、もっと自由に解放されたいと思ったのかもしれません。貝の心に寄り添うことで、春を迎えてのびやかにありたいという人間の心も見えてきます。
(監修:神野)
2023.02.15 放送
春の雪が降る早春は、受験シーズンでもあります。しかし、進学を望んでいても、さまざまな事情から諦めざるをえない若者もいます。今もどこかで、複雑な思いを抱きながら、空を見つめる子がいるでしょう。彼らの進む道に光を灯すように、春の雪が静かに降りかかります。
(監修:神野)
2023.02.14 放送
春の雪は、冬の雪と違い、淡く溶けやすいので「淡雪」ともいいます。帆布とは、絵を描くキャンバス生地のこと。展示する絵を画廊へ運び込む途中、淡い春の雪が降りかかります。その風景自体が、まるで一枚の絵のように、美しく十七音(じゅうななおん)に切り取られました。
(監修:神野)
2023.02.13 放送
立春を過ぎて降るのが「春の雪」です。冬の雪と違い、どこか華やかな印象をもつ季語です。つげの木で作ったつげ櫛は、髪結いの道具として古くから愛用されてきました。木材の質を示す焼き印が、小さく押されています。つげ櫛で髪をとかし、ふと窓の外を見れば春の雪が。静かな早春の一場面です。
(監修:神野)
放送ではご紹介できなかった俳句を「佳作句」として少しだけご紹介。
春雪や一番真珠札入る
理科室のマリモと春雪の夕べ
ストリートピアノや街に春の雪
渡し船三分ぶんの春の雪
春の雪踏んで出生届出す
春雪や塩ラーメンに金の胡麻
春の雪さらさらバスソルトを湯へ
審議荒れたる春雪の永田町
石段に果てたる小鳥春の雪
コンタクト薄く濁れり春の雪
春の雪パラパラマンガ描く友
パドックの老馬いななく春の雪
茶筅で点てるカフェラテや春の雪
犬の名を決めるジャンケン春の雪
棟上げや餅まきすれば春の雪
毎年よお椿さんの春の雪
海に積もるヒマラヤの砂春の雪
退職の花束に消ゆ春の雪
やはらかき日の斑のゆらぎ春の雪
春の雪旅先で買ふビニル傘
阿武隈の春の雪にて貼る切手
ひとすくひの餡を母へと春の雪
春の雪菜っぱ抱ふる飼育員
十三歳の絵の具はブルー春の雪
分校のタイムカプセル春の雪
先生の異動のうわさ春の雪
AIの音声混じる春の雪
母にほふ衣桁や春の雪しづか
母と来し六兵衛坂に春の雪
春の雪双子の片方の逝けり
抹茶塩に海老の天麩羅春の雪
駅舎には桜のポスタ春の雪
産声に応へる乳房春の雪
歪みたるランドルト環春の雪
母象の鼻しなやかに春の雪
ウェディングドレスの試着春の雪
ひとひらの牡丹雪もて文封ず
春の雪果実酒仕込み嫁ぐ姉
淡雪や曇硝子の影は猫
吊橋の途中でやみぬ春の雪
今日ここに着任します春の雪
湯の街に春の雪降る宝厳寺
スワイプの指に解けゆく春の雪
春の雪煎餅にある不器男の句
牛丼に玉ねぎ多し春の雪
択捉の空の匂ひや春の雪
春の雪孤島の医者になった甥
金平糖呉れし町医者牡丹雪
ヘリ飛びて硝煙匂ふ春の雪
春の雪試験の吾子を待つ図書館
頬に触れ息に触れるや春の雪
小天狗の探偵団へ春吹雪
欠席で終わる高校春の雪
春の雪眺めて弦を張る力
春雪や土くろぐろと分譲地
折り紙のきつねの親子春の雪
春の雪告白せよと言うやうに
ペンギンの行進元気春の雪
君乗りしバスは東へ春の雪
出湯の街の傘は紅春の雪
お向かいの猫は濁声春の雪
須磨寺の一絃琴や春の雪
春の雪何のこれしき鬼ヶ城
吉報を待って見上ぐる春の雪
春の雪どの死神も顔がない
丁寧に拭かれたグラス春の雪
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応募フォーム、メールアドレス、ハガキの中からご応募ください。メールアドレス、ハガキでのご応募は、お題を含む俳句(ふりがな)・氏名(ふりがな)・住所・電話番号・メールアドレスを記載してお送りください。一人何句でも応募可能です。選ばれた俳句は、EBC Live News「きょうの俳句」コーナーでの放送のほか、テレビ愛媛のホームページ等で紹介します。作者の氏名(ペンネームの場合はペンネーム)、お住いの市町名(ジュニアの場合は学校名)も紹介されます。
(採用された方には放送日を事前に連絡し、記念品を贈らせていただきます。)
※俳句の募集は、毎月第2月曜日、午後6時から開始します。
・応募作品は未発表で、ご自身の作品(著作権がご自身にある作品)に限ります。
・他人の作品に著しく類似、または他人の作品の盗用など、第三者の権利を侵害する可能性があると判断した場合は、応募の対象外とします。
・テレビ愛媛は応募作品による権利の侵害等に対し、一切の責任を負いません。
頂いた個人情報は、優秀句に選ばれた方への事前連絡並びに記念品をお送りする際にのみ使用させて頂きます。
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