こちらのページでは、視聴者の皆様から応募いただいた俳句をご紹介しています。
毎月ご応募いただいた俳句から5句を選び、EBC Live News「きょうの俳句」のコーナーで放送させていただきます。
2023.09.22 放送
螺灯とは、鉱山の採掘現場で使われた手持ちのランプです。サザエの壺にクジラの油を満たし、灯心に火を灯します。新居浜の別子銅山でも使われていました。螺灯を提げ、暗い坑道へ入ってゆくとき、秋風が火をくすぐり、明かりが揺らめきます。坑道の闇の気配が、秋風とともに、ひんやり体を包みます。
(監修:神野)
2023.09.21 放送
わびしい秋風は、日本らしい情緒をたっぷり含んだ季語です。その秋風を蹴飛ばして、パワフルにドラムを演奏する人がいるとは。秋の寂しさに負けず、自分の力で真っ向からぶつかるスタンスは、爽快です。その迫力に驚きながら、力強く励まされる一句です。
(監修:神野)
2023.09.20 放送
一枚の窓を隔て、外には秋風が吹き、室内には学校へ行けない子どもがいます。今、小中学校の不登校の子どもたちは、全国で二十四万人を越えるといいます。一枚の窓の外には世界が広がっています。彼らがそれぞれ、自分の居場所を見つけられるよう、秋風に祈ります。
(監修:神野)
2023.09.19 放送
今日は正岡子規の忌日です。明治35年の秋、子規は脊椎カリエスによりこの世を去りました。そのころ親友の夏目漱石は、留学先のイギリスに滞在中でした。もう旅に出られない病臥の子規は、漱石がイギリスの様子を知らせる手紙を、楽しみにしていました。秋風が、病床六尺を、涼しく寂しく吹き抜けます。
(監修:神野)
2023.09.18 放送
図書室の風景でしょう。貸出不可の本に貼られる禁帯出のシールが、全集の一冊一冊にも、ずらりと貼られています。全集には、過去を生きた人々の言葉が、誰かに読まれるそのときを、ひそやかに待っています。窓から吹きこむ秋風は、図書室に満ちる静けさを深めます。
(監修:神野)
2023.09.15 放送
道後の上人坂は、一遍上人の生誕地・宝厳寺の参道となっている坂です。かつて正岡子規は、夏目漱石と道後を散策し、宝厳寺の山門で〈色里や十歩はなれて秋の風〉と詠みました。上人坂をのぼりきれば、子規と漱石も感じた秋風が吹いています。百年の時空を超えてしみわたる、今日の秋風です。
(監修:神野)
2023.09.14 放送
秋風には、いろいろな別名があります。その一つが「色なき風」。華やかな色や艶めきのない風という意味で、秋の寂しさをまとう季語です。秋風の中の空瓶は、ほのかに光を帯びています。風の色は失われたけれど、光はまだある、その発見に、今ここにある世界の儚さと尊さが立ち上がります。
(監修:神野)
2023.09.13 放送
畑仕事を済ませたあと、野良着を洗って干しておきました。乾いたら、さっと一抱えにして取りこみます。農業の暮らしの日常ですが、秋風を加えたことで肌感覚が伝わります。秋はみのりの季節、この野良着で収穫する喜びもあるでしょう。秋風のわびしい情緒を、生活実感を核にして、軽やかに詠みました。
(監修:神野)
2023.09.12 放送
石鎚山のふもとにある面河渓谷は、夏も涼しく気持ちのよい景勝地です。留学生に日本の自然に触れてもらおうと、一緒に面河渓まで出かけました。秋が深まると、美しい紅葉も見られます。日本で過ごした記憶として、心に残る風景となりますように。渓谷の秋風は心地よく、ひととき時間を忘れて佇みます。
(監修:神野)
2023.09.11 放送
秋はすべてのものが衰えてゆく、わびしさの募る季節です。秋の風にも、世の移り変わりをしみじみと噛み締める情趣があります。後ろの正面だあれ。子どもの遊びで鬼が振り返ると、そこには秋風が吹くばかり。いたはずの人たちが消えてしまった喪失感は、秋風のまとう寂しさに満ちています。
(監修:神野)
放送ではご紹介できなかった俳句を「佳作句」として少しだけご紹介。
秋風の石を拾ふや山頭火
秋風や0円で売る資格本
秋風や赤翻車魚を釣り上げて
秋風と呼ぶにはかろし午後倦める
金風に吊る「OPEN」のフライパン
あきのかぜ妊婦へ席をゆずる爺
ふつふつと沸きしミルクや秋の風
秋風や電停前の喫茶店
秋の風きっぷうりばもいつか死語
秋風の講堂調律師のショパン
筆談の父の字きれい秋の風
秋風の墓石ライダーだった友
秋風のなぞる磨硝子の星よ
秋風や土掻き起こす耕運機
竹笊を洗つて干せば秋の風
秋かぜや鬣を梳く手をとめて
秋風に赤子の尻の温さかな
トローチの穴はまんまる秋の風
秋風やテスト用紙で作る舟
秋風や打ち上げられし三輪車
犬の尾の皆秋風を指していて
秋風のさらさら攫う詩のページ
新主将跳んで秋風のレシーブ
堤防に夕星蒼し秋の風
赤茄子の根っこ長しや秋の風
鈴に舞う巫女の小袖へ秋の風
角島の長き橋より秋の風
小流れに日輪崩れ秋の風
秋風や珈琲色の仔牛の眼
坂の名は浄瑠璃坂ぞ秋の風
擦りむいた膝に秋風さらららら
秋風が痛い始末書もう二枚
靴底のすり減る角度秋の風
秋風やジャスミンティーの好き嫌ひ
秋の風しないよブーケトスなんて
金風やマリオネットの糸弾み
秋風や父のプラモを売りに行く
金風を通す長浜の赤橋
秋風や渡船場までの石畳
秋風に削る鉛筆HB
満員の相続サロン秋の風
()とか「」とか秋の風
秋の風そより養豚試験場
年下の上司は優し秋の風
アキレス腱伸ばす店番秋の風
秋風やサガン読んだのは十七
色なきかぜ戦争遺跡の無言
秋風や戦死公報野良に受く
秋風やノルマンディーに並ぶ墓碑
秋風の見ゆるグルドの平均律
相部屋のひとりとなりぬ秋の風
長靴に凭れ象の子秋の風
折り鶴のふと飛ぶ気配秋の風
味噌蔵の深き匂ひや秋の風
秋風の色足す塗りたてのベンチ
口開けて入れる目薬秋の風
秋風やガトーショコラの苦さよし
マニキュアを塗り直す指秋の風
女子旅は京都大原秋の風
バイクで切り裂いた秋風が痛い
秋風に深呼吸して転職す
秋風を割ってドクターイエロー来
秋風に放る真新のターボジャブ
秋風を抱へ損ねし抱つこ紐
俳句甲子園打ち上げ風は秋
秋風や猫の孤太郎十五歳
約束の岬へ秋の風渡る
けたたましく通るチンドン秋の風
秋風の集まつてくる渋谷駅
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応募フォーム、メールアドレス、ハガキの中からご応募ください。メールアドレス、ハガキでのご応募は、お題を含む俳句(ふりがな)・氏名(ふりがな)・住所・電話番号・メールアドレスを記載してお送りください。一人何句でも応募可能です。選ばれた俳句は、EBC Live News「きょうの俳句」コーナーでの放送のほか、テレビ愛媛のホームページ等で紹介します。作者の氏名(ペンネームの場合はペンネーム)、お住いの市町名(ジュニアの場合は学校名)も紹介されます。
(採用された方には放送日を事前に連絡し、記念品を贈らせていただきます。)
※俳句の募集は、毎月第2月曜日、午後6時から開始します。
・応募作品は未発表で、ご自身の作品(著作権がご自身にある作品)に限ります。
・他人の作品に著しく類似、または他人の作品の盗用など、第三者の権利を侵害する可能性があると判断した場合は、応募の対象外とします。
・テレビ愛媛は応募作品による権利の侵害等に対し、一切の責任を負いません。
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